ジャパン・プラットフォーム(JPF) 公式ブログ

緊急人道支援組織、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)のブログ。NGO・経済界(経団連、企業など)・政府(外務省など)が連携し、国内外の緊急人道支援を実施。寄付金・募金受付中。

『国際NGOと福島の談話タイム - 忘れない、福島こころのケア続けるプロジェクト- 』のご報告

東日本大震災被災者支援において、国際NGOと地元のNGOがゼロから信頼関係を築きあげ、ともに地元に根ざした支援活動をしてきたJPFでは、談話シリーズとしてともに連携してきたパートナーがトーク形式で、支援現場の生の声を届ける会を開催してきました。

2016年3月28日(月)に開催した『国際NGOと福島の談話タイム - 忘れない、福島こころのケア続けるプロジェクト *1– 』 には、福島で活動を続ける方々もたくさん来てくださいました。

談話シリーズ3回目の今回も、一方通行の情報発信ではなく、参加者の皆さんの本音の“つぶやき”を取り入れながら、一緒に「自分はどう感じるのか」「これから何をするのか、しないのか」考えることのできる機会となりました。

開始前には皆さんに付箋とペンを配布し、疑問や感想など「つぶやき」を自由に付箋に書いていただくようお願いしておきました。

世界の医療団と相馬広域こころのケアセンターなごみによる、相双地域での活動開始から現在までの軌跡の報告では、混乱の中、被災しながら、また葛藤しながら活動を続けてきたご本人たちの生の声をお届けできたと思っています。

当日お話のあった、日々の活動の中で福島特有の事例を一つ紹介します。

喪失感、先の見えなさ、孤独などから特に男性はアルコールに依存しがちな傾向があるとのこと。通常なら断酒を勧めるところ、福島のように人の繋がりが無い状態ではその対応は逆効果になりうる可能性もあるため、まず人との繋がりを取り戻すことを優先し、丁寧に声掛けをしながら信頼関係を築いたうえで対応を見極めているということでした。

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「お酒から回復するぞ!」と題した手作りの「すごろく」を活用して、悩みを共有し合い回復へ進むルートを示すなど工夫がされています。

お話の後は、東北のお菓子を食べながら進めた「アナログツイッター」。

今やJPF国内事業部のイベントの名物企画、ここまで書き溜めた「つぶやき」を壁に貼っていただき、話題を整理しながら参加者全員で意見を出し合います。

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「こころのケア」以外にも福島特有の「つぶやき」が多く寄せられました。

一部をご紹介します。

  • 一般の方にもっと関心をもってもらうにはどうすればよい?
  • 放射能についての正しい情報が必要
  • 放射能の健康への被害・影響の不安
  • 避難者、特に区域外は難民です!
  • なぜ、こころのケアが必要なのか?問題の本質はどこにあるのか?
  • それぞれの取り組みをつなげて、ノウハウとパワーを上手く活かせたらよい。
  • 今後、支援をどう変えていくのか?出口が見えないまま続けていくのは悩ましい。

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他にもたくさんの真剣で切実なつぶやきが寄せられ、様々な視点で福島について考える機会となりました。

あの時間が、参加して下さった皆さんに「何か」を感じていただける機会となれば非常に嬉しいです。

今後もこのような企画を続けて行きたいと考えておりますので、引き続き宜しくお願いします。

JPFウェブサイトやFacebookを引き続きチェックしてください!

当日の様子はJPFホームページ内イベントページにも掲載しています。

*1:同プロジェクト4回目の事業(2016年1月1日~12月31日)は、NTTドコモグループならびに社員有志一同からの寄付金の一部が第23回「共に生きる」ファンドを通じて活用されています。

 


 


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地域支え合いの仕組み「地域共生ホームねまれや」〜被災者支援から地域福祉へ〜

こんにちは。岩手担当の高久です。

岩手では、現在災害公営住宅の建設が急ピッチで進められ、仮設住宅から災害公営住宅への移行がピークを迎えています。仮設住宅から新たな地域への移転に対して、安心して生活を始められるよう、コミュニティ形成支援や自治会等運営サポートなどのニーズが高まっています。コミュニティを新しく形成するための支援では、支援団体には住民の主体性・自主性の発揮を促すかたちでの活動が求められます。同時に、震災復興支援のみならず地域福祉の観点をしっかり取り入れた支え合いの体制を構築し、被災者や障がい者、高齢者などが地域の中で安心して生活ができる仕組みにシフトさせていくことが重要になっています。

今回は、大槌町大ヶ口地域で、災害公営住宅の新たなコミュニティ形成支援を実施しながら、地域全体で被災者、高齢者、障がい者、などを支えあっていくための仕組みづくりに取り組んでいる団体、ワーカーズコープ大槌地域福祉事業所の活動を紹介したいと思います。

2013年9月に大槌町大ヶ口一丁目に災害公営住宅が完成しました。こちらの災害公営住宅には、震災以前から大ヶ口地区に住んでいた方と、他地区から移り住んできた方が入り混じっており、新たなコミュニティ形成のサポートが急務でした。ワーカーズコープは、2013年12月より大ヶ口一丁目災害公営住宅集会所を活用し、サロンや、各種イベントなど、地域住民の交流機会を創出する活動を実施しています。地域住民の主体性を育むため、災害公営住宅に新たにできた自治会役員をサポートしながら、地域の方に寄り添いながら活動しています。2015年度より、本活動はジャパン・プラットフォーム(JPF)の「共に生きる」ファンド事業として助成させていただいております。

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ワーカーズコープは、災害公営住宅に移り住んで新たな生活を開始した方と、もともとその地域に住んでいた方が垣根を越えて交流し、地域全体でお互いに支えあえる体制づくりにも取り組んできました。2016年2月には、被災経験や障がいの有無に関わらず、子どもから高齢者まで地域の住民が集える場、「地域共生ホームねまれや」を開設しました。具体的な事業としては、介護保険の通所介護や、日中一時支援(障がい者・児)、学童保育、地域食堂などの活動を一つの施設で実施しています

 

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ジャパン・プラットフォームとしては、関心のある企業さんにお声がけをし、机や椅子、家電などの開設にあたり必要となった備品の支援のサポートを行いました。

大槌町では、震災後の人口が震災前に比べて24.1%減と、他の沿岸12市町村の平均9.6%減と比べてもかなり人口が流出していることが分かります※。

若者世代の流出が多く町全体の高齢化が進む中、被災者支援事業から地域福祉にうまくシフトしている事例であり、素晴らしい取り組みだと思います

いわて復興インデックス報告書(第15回)より

www.pref.iwate.jp

ワーカーズコープ東北復興本部 事務局長 古澤様からのコメント

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ワーカーズコープは2012年から大槌町に入り、「支援」ではなく、住民が主体となって自分達の町に必要な活動を一緒になって創り上げることを目的に活動を行ってきました。現在、大槌と釜石に暮らす6名の仲間が共に働いています。私たちが目指すことは

「地域の様々な小さな困りごとに応えられる活動やつながりをつくること」

です。そのためにも活動を継続できる基盤づくりが重要です。今、その基盤づくりに向かう移行期をジャパン・プラットフォームさんに支えてもらいながら取り組んでいるところです。

いつも、本当にありがとうございます。これからも大槌町に暮らす皆さんと共に住みやすい町づくりに一歩ずつ取り組んできますので、どうぞ、よろしくお願い致します

 

ジャパン・プラットフォーム 国内事業部 岩手地域担当 高久


 


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【お知らせ】3月28日開催 国際NGOと福島の談話タイム -忘れない、福島こころのケア続けるプロジェクト-

ジャパン・プラットフォーム(JPF)は、 2011年の東日本大震災直後より現地入りし、被災された方々・地元NPO・支援団体・自治体などと情報共有、連携しながら、東北で支援活動を展開してきました。東日本大震災から6年目を迎える今、いまだ、約17万4,000人*1が避難生活を続け、そのうちの約9万8,000人*1は福島県の避難者です。また、福島の震災関連死は約2,000人*2を数えており、震災関連の自殺者が宮城、岩手では減少傾向にある一方、福島では増加傾向にあります。

当日は、JPFが日々活動を共にする特に医療や心のケアを継続してきたNGOと、福島の人々が抱えている複雑で見えにくい課題と現状について、現場の生の声をお届けします。 第3部では、東北のお菓子を食べながら皆で談話タイム。震災から6年目を迎えるこの時期、桜の咲き始める東京で、福島で今起きていることについて一緒に考えてみませんか?

*1:平成28年2月26日発表 復興庁、*2:平成27年12月25日発表 復興庁

 

イベント概要

日時
2016年328日(月) 
14:00~16:00(開場13:30)
場所
カトリック麹町聖イグナチオ教会 信徒会館3階 アルペホール
(東京都千代田区麹町 6-5-1)
JR中央線・総武線、東京メトロ丸ノ内線・南北線
「四ツ谷駅」下車すぐ
定員
先着50名程度
お申し込み
2016年3月24日(木)〆切 (参加無料)
こちらより申込みフォームにご記入ください
または、以下メールにてご連絡ください。
(氏名、ご所属、電話番号、E-Mailを明記下さい)
fukushima@japanplatform.org
主催
特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム
お問合せ
JPF国内事業部 斎藤、谷内田、坂巻
TEL:03-6261-4751

 

プログラム

第1部 14:00~14:50
JPF活動紹介とビデオ上映

JPF国内事業部の活動の紹介と、スタッフが自ら集めた福島の被災者と支援団体のビデオメッセージを上映します。

第2部 14:50~15:10
現場からの報告

国際人道支援の経験を活かし福島で支援を続ける国際NGOが、現地パートナーとこれまでの「-忘れない、福島こころのケア続けるプロジェクト-」*3活動をトーク形式で振り返り、具体的な過程や課題、さらに海外人道支援の経験からノウハウを活かせた点や気づきを紹介します。

*3:同プロジェクト4回目の事業(2016年1月1日~12月31日)は、NTTドコモグループならびに社員有志一同からの寄付金の一部が第23回「共に生きる」ファンドを通じて活用されています。

  • 世界の医療団(特定非営利活動法人 メドゥサン・デュ・モンド ジャポン)
    世界各地への医療・保健衛生分野の専門スタッフの派遣など、人道医療支援に取り組む国際NGO。福島県相双地区への医療専門家派遣事業を2012年から継続している。
  • 相馬広域こころのケアセンターなごみ
    沿岸北部の「相双地域」の精神科医療保健システムを回復するため、相馬市(避難指示等対象区域外)に、2012年1月に設立。行政から「一般社団法人 福島県精神保健福祉協会」が請け負っている「心のケアセンター」の相馬、南相馬、相双支部としての役割を果たしている。

第3部 15:10~16:00
談話タイム

東北のお菓子を食べながら、登壇者とJPFスタッフ、参加者のみなさんで自由に意見交換をしましょう。

 

 


 


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3.11東日本大震災から五年~あの日・あの時、そして、今・これから…~

東日本大震災から五年、この間、人それぞれ、さまざまな「あの日・あの時」があったことと存じます。東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げます。
ご自身が被災された方々、ご家族や大切な方を失ってしまった方々。そして、自分に何ができるかを考え、何らかの支援をされた方々。早かったと言えば早かったし、長かったと言えば長かった。
個人の人生においても、国・社会にとっても、きわめて特別な五年間だったように思います。

私は、あの日、3月11日、官邸で東京電力福島第一原発事故を受けて、総理が周辺地域への避難指示を3km、10km、20kmと拡大していく瞬間に立ち合っていました。命を預かる者の責任の重さからか、総理の荒い息遣いが隣にいる私にも伝わってきました。
二日後の3月14日、私はヘリコプターで市ヶ谷の防衛省を飛び立ち、ちょうど水蒸気爆発した直後の福島第1原発3号機の上空を通り、内閣府防災大臣政務官として、政府現地対策本部のおかれた仙台へ入りました。それから約2ヶ月間東日本の被災地に留まり、政府現地対策本部の本部長代行として、総理指示によって、①被災状況の確認、②住民の安全確保・早期の避難対策、③ライフラインの確保、交通網の復旧、④住民への的確な情報提供等に、全力を尽くせとの命を受け、被災者支援の初動対応で指揮を執りました。
その後、新設された復興庁の初代復興大臣政務官を併任し、応急仮設住宅の居住環境整備を目的とするプロジェクトチームを立ち上げ、2011年8月4日の第1回会合では「震災関連死は必ず増えるだろうから先回りして万全の対策を」と指示を出しました。

あれから五年、私は二度の選挙と落選を経て衆議院議員を引退しました。そして、今、再び仙台の地で、今度は人道支援の国際NGO、ジャパン・プラットフォームの一員として、東日本大震災の被災者支援に携わっています。もちろん、五年前には想像もしていなかったことです。
いま、震災関連死※は福島では1979人と増え続けており、岩手・宮城と合わせると3352人にのぼります(2015年12月25日 復興庁発表)。阪神淡路大震災の教訓から見ても必ず増加してくることがわかっていただけに、先回りして万全の対策を、という指示がいかされなかったことが悔やまれます。政治は結果ですから、その責任の一端は私にもあると考えています。

今、JPFの国内事業部長・東北事務所長として、これからやりたいことが3つあります。
1つは福島等で続く震災関連死に何としても歯止めをかけたいこと。震災関連死には必ず予兆があるはずです。地元NPOと連携して、心身の不調を訴える方々の心のケアと居住環境の改善につながる支援を強化したいと考えています。
もう1つは五年前、私が期せずして立ち合った、国の「避難指示」が、遂に解除される局面を迎えつつある福島での対応です。「帰還する人々・悩む人々」、さらに子どもの健康不安等さまざまな理由で「帰還を選択しない・できない人々」に対しても、JPFはあくまで人道支援という視点で多様な住民の意思を尊重し、公平・公正・中立な支援を心がけなければならないと考えています。
そして、最後の1つが東日本の教訓を生かし防災・減災につなげる為の検証です。東日本大震災被災者支援を節目ごとに振り返り、しっかりとした検証を積み重ね、次の災害に向けて被災者支援のあり方の改善に取り組みたいと考えています。

JPF 国内事業部長 兼 東北事務所長
阿久津幸彦

※震災関連死:東日本大震災による負傷の悪化などにより死亡し、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき当該災害弔慰金の支給対象となった者
(2012年5月復興庁発表)

 


 


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「一次産業の底力で中間的就労を加速させるシンポジウムin石巻」に参加

「一次産業の底力で中間的就労を加速させるシンポジウムin石巻」に参加してきました。

会場は石巻魚市場、震災後に再建されアジア最大級の規模を誇ります。

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震災6年目を迎える東北の総人口は900万人を下回り*1、4年連続の減少となり減少率は過去最大となっています。人口流出の原因の一つとして地域の基幹産業回復の遅れがあり、稼働年齢世代の流出が特に顕著となっています。

事業を再開した地元企業は多く、特に水産加工業などではこれまで地域住民で担っていた軽作業など人手不足で事業規模を震災前の水準に戻せないという問題も発生しています。

また震災以前から地域の若者が、地域の誇りでありアイデンティティでもあった一次産業への関心が薄く、人口流出が加速し地域の基幹産業の担い手が減少している現状も続いています。

一方、震災を起因とした社会環境や家庭環境の変化などにより心の不調を抱えたり、社会的居場所を失ってしまい学校を中退したり、家に引きこもるようになったりする若者が被災地では増加しています。このような若者に社会との接点を持ち続けてもらい、スムーズな就学と就労環境を整備し、地域産業の担い手になってもらうという事業を認定NPO法人Switchが運営するユースサポートカレッジ石巻NOTEが行っています。

働きたいという意思がある人がいて、働いて欲しい職場がある。そのふたつの社会課題を共に生きるファンドを通じ「いしのまき若者未来志向型インターンシップマッチング事業」として行っています。

自ら働いて給料を得、生活を自立させることは被災者の復興にとって欠かすことのできない要素です。一方 ハローワークなどの通常の就労相談窓口からの就職が難しい方々も多くいます。

Switchは一人一人の希望や都合に合わせた就労までのサポートや、就職後も継続的に就労できるよう定期的にフォローアップも行っています。例えば、面接の練習、履歴書の書き方、就労に合わせた生活のリズムを取り戻す機会の提供などです。

この就労支援の一環で、本格的な就労の前に農作業や水産業を体験し、、同じ目的に向かって力を合わせて作業することで生産の喜びを感じ、規則正しい生活のリズムを取り戻し、次の人生への第一歩を踏み出せるようにする、いわゆる中間的就労という試みがあります。

今回のフォーラムは、地元企業、また就労支援を行っている団体の両面から中間就労や就労支援についての実例の紹介と共に会場も交え、意見交換がなされました。

登壇者のみなさま

(左から、株式会社田伝むし 木村様、湊水産株式会社 倉本様、公益財団法人共生地域創造財団 多々良様、一般社団法人FishermanJapan 島本様)

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コーディネーターを務めた特定非営利活動法人まなびのたねネットワーク 伊勢様

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東北の基幹産業である一次産業においては震災の影響で失った販路の回復がまだまだ進んでいません。宮城県内のプレハブなど仮設店舗から退去した業者のうち、半数近くがが廃業するなど厳しい状況が続いています。被災地の生業、特に一次産業の復興無くして、地域の持続的復興は成し得ません。

また、少子高齢化が進む日本において、地域の中で地域との接点が薄くなっている若者が地域に参画できる機会となる中間的就労は、今後日本全体でも大変重要な取組となると感じています。

Switch理事長の高橋さんが最後の挨拶で「地域の力で、若者も含めて、みんなが暮らしていける世の中にしていく必要がある。」とおっしゃっていました。

 Switch理事長 高橋さん

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東日本大震災をきっかけとした社会課題解決のモデルが、日本全体の社会課題解決に繋がっていくことが東日本の復興に繋がると信じています。
今後も地域担当としてできることを精一杯やっていこうと改めて感じたフォーラムでした。

ジャパン・プラットフォーム国内事業部宮城地域担当 三浦

 


 


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*1:※2015年 総務省 国勢調査より

写真で見る福島の避難指示解除・解除準備

今回は、福島の避難指示解除・解除準備の特徴的な珍しい写真をご紹介します。

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2/5に福島大学災害復興研究所主催の「ふくしま被災地スタディ・ツアー」に参加してきました。

先の写真は飯館村にある放射能汚染物質の焼却炉です。まるで昔見た「未来少年コナン」に出て来たインダストリアのようです。

飯館村では、福島市、伊達市、国見町、川俣町、南相馬市、の放射能汚染物質の処理を一括して行うことになりました。
この施設は一定の年数を決めて処理をする期間限定の仮設施設だそうですが、破砕を繰り返し廃棄物の分量自体を小さくする「減容」により、廃棄物量を減らしているとのことでした。一日の処理能力は240t/日(120tx2炉)、24時間連続運転で、処理対象物は36万t*1とのことです。

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これはスタディ・ツアーのバスで移動中に撮った浜通り6号線沿いの廃炉作業中の福島第一原子力発電所3号機です。ロボットを使って放射能汚染物質の瓦礫を取り除いたり、廃炉作業に充てたりしようと計画していますが、まだ実験中でなかなかうまくいかないとのことです。もちろんここは帰還困難地域です。

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これは富岡町の放射能汚染物質処理場です。トラックに搬入されるところですが、2重扉になっていたり、厳重に下のコンクリートで漏れないようになっていたり、さまざまな工夫がされているそうです。

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日付が前後しますが、1/31には避難指示解除になった楢葉に新しくできた仮設の復興診療所に行ってきました。今年2016年2月1日に開所しました。

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こちらは清潔感溢れる診察室

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こちらはふたば復興診療所のオープニングに合わせて行われた地域包括ケアのシンポジウムです。昨年4月に避難指示解除になった楢葉ですが、戻ったのは高齢者ばかりで人口の5%くらいです。これからどのように、医療、介護などの福祉、ケア体制を確立していくかが大きな課題です。

福島は未だに約10万人の人が避難生活を強いられ、震災関連死は約2000人*2自殺者は平成27年1月から12月まで19人*3で昨年度より4人増えています。震災関連の自殺者は宮城、岩手は震災直後から減少傾向である一方、福島では増えています。帰還後のインフラ整備が進まない中、特に健康を守る支援に注目していきたいと思います。

 

ジャパン・プラットフォーム福島地域担当 山中

 


 


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*1:「飯舘村蕨平地区対策地域内 廃棄物等処理業務(減容化処理)」事業概要IHI環境・日揮・熊谷組 廃棄物等処理業務共同企業体 (環境省 福島環境再生事務所 発注)

*2:平成27年12月25日発表 復興庁

*3:平成28年2月10日発表 内閣府

被災地の支援団体間を繋ぐ連携調整の検証事業

東日本大震災におけるJPFの支援活動は、「共に生きる」ファンドを通じた地域団体への助成事業が主ですが、この他にも支援に関わる組織間の連携調整の支援やこの震災の経験を次の災害時へと繋げる対策事業を行っています。

tohoku.japanplatform.org

災害が起こると、行政・NPO/NGO/市民団体・企業等が復旧・復興支援のため被災地で活動しますが、多様な組織が関わることで、情報の混乱や、支援の局所的な過剰供給・不足が起きることもあります。

連携調整では、このように現地で支援活動を行う組織間のコミュニケーションを円滑にすることで、情報共有・支援調整・協働を促進し、情報を整理し支援の偏りの是正に繋げていくのです。

JPFはこれまで、連携調整の支援として、県域レベルでは「ふくしま連携復興センター」「みやぎ連携復興センター」「いわて連携復興センター」などの団体の運営支援を、また市町村レベルでも福島県いわき市や岩手県宮古市などの中間支援組織を対象に、「共に生きる」ファンドを通じた資金助成を行ってきました。

この他にも、東日本大震災の被災各地では、地域内の支援組織同士が会議を独自に開催したり、地域組織が参加するネットワークが成立してきました。

このような支援組織同士が集まるネットワーク組織/協議体の存在は、阪神・淡路大震災の時はあまり見られなかった動きです。

現在JPFは、(公財)神戸都市問題研究所と協力して、地域のネットワークの活動に参加した団体へのアンケート調査を実施し、ネットワークとして役割を担った団体にヒアリングを行い、東日本大震災での連携調整について検証する事業を進めています。

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写真:ネットワーク検証の様子(ワークショップ形式で議論を進めます)

今後も大規模・広域災害が起きる可能性は非常に高いと指摘されています。

東日本大震災において各ネットワークが果した役割と機能について明らかにし、連携調整の知見を、今後の国内災害支援を迅速かつ効果的に展開するための施策へと繋げていきたいと考えています。

 

ジャパン・プラットフォーム国内事業部 東京事務所 谷内田

 


 


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