ジャパン・プラットフォーム(JPF) 公式ブログ

緊急人道支援組織、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)のブログ。NGO・経済界(経団連、企業など)・政府(外務省など)が連携し、国内外の緊急人道支援を実施。寄付金・募金受付中。

熊本地震支援事業モニタリングを実施

6月10日~13日と7月3日~6日の日程で、現在実施している熊本地震支援事業(JPF「九州地方広域災害被災者支援」)のモニタリングのため、JPF職員と外部専門家が現地に入りました。

発災から3カ月がたつ今でも、被災地では余震が続き、さらに大雨による土砂災害等も心配されています。また、暑さもまし、熱中症対策等が必要となっています。

避難状況では、5月初旬より避難所の統廃合が始まり、徐々に避難所は減少しています。仮設住宅の建設も急ピッチで進められ、6月中旬からは一部仮設住宅への入居も開始されました。

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©JPF 6月中旬 大規模仮設住宅が建設中でした

被災地域では、熊本市、益城町などにおいてJPF加盟NGOの支援事業が進められています。

JENは、熊本市内で避難所の屋外にテントと入浴車を配備し、避難所の高齢者/介助が必要な方を対象に入浴サービスを実施しました。(入浴支援は6月26日で終了)

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©JPF JENによる訪問入浴サービスの様子(入浴支援は6月26日で終了)

また、世界の医療団は、発災後、小児科医とともに事前調査に入りました。その中で、子どもたちの心のケアが必要であると判断し、子どもケアを開始。阿蘇郡西原村で就学時を対象とした遊べる場所を提供する、親子カフェを土日に開催しています。臨床心理士、小児科医との専門家を配置し、遊びながら見守りを行い必要なケアに繋げています。

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©JPF 世界の医療団スタッフへのヒアリングの様子

セーブザチルドレン・ジャパンは、発災後すぐに子どもたちが自由に遊べる子ども広場を開催し、それと同時に早い段階からニーズ調査を行ってきました。現在、JPFからの助成金を活用して、余震も続く被災地の子どもたちへ防災に対する意識啓発のため、益城町の学校や学童に対して、防災用品セット配布を行っています。

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©JPF 小学校に寄贈された防災頭巾

現在、避難所から仮設住宅への移行フェーズにかかっており、それに伴い、今後、支援の内容も変わっていくことが予想されます。また、倒壊した家屋の瓦礫等もまだ残っている状況で、撤去のための人手も必要です。

各加盟NGOの専門性を活かした支援が、引き続き期待されます。

ジャパン・プラットフォーム国内事業部 谷内田


 

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「テンカラ」始めました

こんにちは、岩手担当の高久です。

いよいよ今年も渓流釣りのシーズンがやってきました。私は物心ついた時から叔父さんに釣りに連れて行ってもらっており、気が付いたら釣り歴も30年近くになってしまいました。今まで、仕事等でいろいろな場所で生活をしてきましたが、ほぼ例外なく、各地で釣りをしてきました。オーストラリアではシドニー湾でのフラットヘッド(コチ)釣りに没頭し、モルディブでは地元の釣り好きのおじさんたちとともに夜な夜な船で沖に出て、80センチを超えるフエフキダイやスナッパー(タイ)などを釣り上げてきました。また、岩手では地元のNPO団体の仲間に、氷上に穴を開けて釣りを楽しむワカサギ釣りに連れて行ってもらいました。

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そんな無類の釣り好きの私ですが、釣りの中で最も好きな釣りは「渓流釣り」です。山々に囲まれた渓流の中で竿を出すだけで心が癒されます。また、警戒心の強いヤマメを相手に、忍者のようにポイントに近づき、シンプルな仕掛けで魚との駆け引きを楽しめるのが最大の魅力だと思っています。岩手には素晴らしい渓流釣りのポイントがたくさんあり、渓流釣り好きの私にとっては最高の場所だと思います。

 

私が渓流で釣りをする場合に、エサ釣りがメインになりますが、場所やシーズンによってはルアーで大物を狙ったりもします。いつも釣りに行く前に
「今日はルアーにするか、エサ釣りにするか」
の選択が迫られ、その日の気分や天候、ポイントなどにより釣りのスタイルを決めています。さらに、今年からは新たな釣りスタイルに挑戦してみました。
それは、「テンカラ」です。テンカラとはヤマメやイワナなどの渓流魚を一本の毛ばりで釣る、古くから日本に伝わる釣法です。仕掛けはとてもシンプルで、竿とラインと毛ばりのみです。

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先日、釜石市の川にテンカラ釣りを試しに行きました。ラインのわずかな重みと、竿のしなりを利用して毛ばりを的確にポイントに飛ばすこの釣法は、難易度が高く、最初はなかなか思うように毛ばりを飛ばせませんでした。しかし、何度も竿を振っているうちに徐々にコツをつかんできました。そして、待望のヤマメがヒットしました。

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「大自然の中で竿を振り、毛ばりを飛ばし、魚を釣る」
という子どものころから憧れていた釣りに初めて挑戦し、釣り上げた時の感動はとても大きかったです。その後も順調にイワナ、ヤマメを釣り上げ、満足の一日でした。

 

釣りを終えた後は、南部曲がり家の古民家を改修しホースセラピーを行っている団体さん、「三陸駒舎」さんに立ち寄り、ヤマメ、イワナをお裾分けしてきました。(ついでに、私も馬に癒されてきました。)

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テンカラ釣りのもう一つの魅力は、毛ばりを自分で巻くことです。
専用の針に、鳥の羽や動物の毛などを巻き付けて、水生昆虫等に似せて毛ばりを作ります。毛ばりで頭のいいヤマメを釣り上げる喜びに加え、自分で作った毛ばりで釣るという喜びがあります。早速私も道具を揃え、自分で巻いてみました。

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次回は、この毛ばりで大物を狙いたいと思います。

岩手での釣りシーズンは9月まで。しばらくの間週末は、エサ釣り、ルアー釣り、テンカラ、、、「今日はどれで釣ろうか」といううれしい悩みを抱えながら渓流釣りを楽しみたいと思います。


 


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大船渡「居場所ハウス」 災害公営住宅等への移転 地域側からの温かい受け入れ

こんにちは。岩手担当の高久です。

岩手では、災害公営住宅の建設が急ピッチで進められ、2016年4月時点で全体の54%が完成しており、19%がすでに着工しています。(社会資本の復旧・復興ロードマップ平成28年4月26日公表)この様な状況の中、各地の支援団体の災害公営住宅のコミュニティ形成支援の動きも活発になっております。

新しく災害公営住宅等に転居してきた住民にとっては、近隣にどのような方がいるのか、どのような施設があるのかなどわかりません。また、地域の人たちと良い関係が築けるのかなどの不安があります。このため、災害公営住宅等のコミュニティ形成においては、災害公営住宅等周辺地域(以下、受け入れ地域)の人たちと、新たに転入してくる方の交流の場が重要になります。さらに、受け入れ地域側の住民たちが主導して、新たに転入してくる方への歓迎会などを実施することが理想的とされています。しかし、受け入れ地域側にキーパーソンがいなかったり、転入してくる住民に対して受け入れ地域側の規模が極端に少なかったりするなどさまざまな理由からこのような動きはあまりできていないのが現状です。

大船渡末崎町にある「居場所ハウス」について紹介

今回は、災害公営住宅等への移転者を受け入れ地域側の住民が主体となって歓迎交流会を実施した貴重な事例として大船渡末崎町にある「居場所ハウス」の事例を紹介いたします。本活動はジャパン・プラットフォーム(JPF)の「共に生きる」ファンド事業として助成させていただいております。

「居場所ハウス」は子ども、若者から高齢者までさまざまな世代が共生交流できる場として地域の方々が中心となり運営されています。周辺にはすでに5つの仮設住宅があり、仮設住宅と周辺住民の方の交流の場として様々なイベントなどを実施してきました。、この周辺にさらに2棟の災害公営住宅が建設され、防災集団移転により転入される方を合わせるとおよそ100世帯が新たに転居してくることになりました。そこで、去る4月16日に、新たに転入された方/される方々への歓迎交流会を実施しました。交流会では、音楽ライブや日本舞踊披露などを行いました。

居場所ハウス館長、鈴木軍平様より、歓迎交流会の様子をレポートしていただきました

2016年4月16日(土)、「居場所ハウス」の周囲等に高台移転された方々/される方々(自力再建、防災集団移転、災害公営住宅へ入居の方々)との交流歓迎会を開催しました。高台移転によって新たな土地での暮らしをスタートさせる方々に対して、「居場所ハウス」がどのような役割を果たせるのかを考えた時、まずは高台移転された方々/される方々に、『「居場所ハウス」がどのような場所なのか』、『どのようなメンバーが集まっているか』を知ってもらう必要があると思いました。このような考えから今回の歓迎交流会を企画しました。

歓迎交流会には、居場所ハウスのスタッフ・ボランティアが総勢43名集い、「笑顔で楽しくにぎやかに」をモットーとし、それぞれの役割を持ち各コーナーの運営を担当しました。

交流会開始前から居場所ハウス恒例の朝市を開催し、居場所ハウスの農園で地域の人たちが育てた無農薬野菜や、地域の皆さんで造った手芸品、新鮮な魚や衣料品、郷土食品(かま餅・まんじゅう・おふかしなど)の販売が行われ、地域の人々に買い物を楽しんでもらいました。

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朝10:00、いよいよ歓迎交流会が開始されました。

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ステージでは、町内在住のミュージシャンや舞踊家による歌や踊りが披露されたほか、参加者には、昔から地元に伝わる「おふるまい料理」として、くるみ餅・うどん・煮しめなどを振る舞いました。

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会場では、居場所ハウスオリジナルの焼き鳥、焼きそば、無料のホタテ焼きなどの屋台や、子ども向けに景品付きの風船割り、ヨーヨー釣り、サイコロころがしなどのコーナーを設けて多彩な催しとなり、150人以上の来場者で賑わいました。

交流会では、自らも中学3年で被災し家を失いながらも、踊りで被災者を励まし続けた同町出身の青年舞踊家「さすけ」さんが飛び入り参加し、震災後の思いを語りながら、来場者を大いに楽しませたり力づけてくれました。

もちつきでは、防災集団移転や災害公営住宅などの住民がつき手を担当し、つきたての餅を皆で一緒に味わい堪能しました。

また移転者の方々への記念品として、木工細工を得意とする新しい仲間(移転者の一人)に手作りしてもらった木の表札をプレゼントして、大変喜ばれました。

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まとめ ~地域支え合いの仕組みづくり~

以上、居場所ハウス館長、鈴木軍平さまによる居場所ハウスで行った歓迎交流会のご紹介でした。

災害公営住宅や防災集団移転などで新たな地域へ転入される方に対して、地域側の住民たちが温かく迎え入れるという心温まる報告でした。

JPFの東日本大震災支援は6年目を迎えました。岩手、宮城では助成金「共に生きる」ファンドは今年度で終了予定となっており、JPFが地域に対し助成金というかたちでサポートできる最後の年となりました。私は、岩手担当として、現在のフェーズにおいて大切なことは、「被災された方々が仮設住宅などの仮住まいから災害公営住宅等の恒久住宅へ移転し、新たな地域において地域の支え合いの中で安心して暮らせるための仕組みづくり」が大切だと考えております。今回の居場所ハウスの活動は、地域支え合いの仕組みづくりのきっかけとなる好事例だと思います。

居場所ハウス 館長 鈴木軍平様からよりコメントをいただきました

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歓迎交流会で生まれた、新しい住民・仲間との「つながり」『絆』を大事にして、様々なイベント等を通して、孤立の防止・心身のケアにつながることを期待しています。初めての交流会ではありましたが、転居者の皆さんや地域の方々が、笑顔で楽しそうな光景を見て、これからのコミュニティの形成に向けた力をもらい、大きな励みとなりました。

本企画はJPF「共に生きる」ファンドの助成金により行われたもので、おかげさまで上記のように充実した内容で開催することができましたことをJPF様には大変感謝しております。またJPF 様を支援くださっている企業の皆様方にも厚く御礼を申し上げます。今後も住民を中心として、心を込めて「居場所ハウス」の運営を継続していきますので、ホームページなどで活動を見守っていただき、ご指導等いただけましたらありがたいと思っております。


 


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被災地のお祭りに是非ご参加ください<仙台青葉まつりご紹介と熊本・大分地震に寄せて>

JPF東北事務所のある仙台では、5月14日、15日と仙台青葉まつりが開催されました。仙台青葉まつりは江戸時代に始まった仙台3大まつりのひとつです。

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昭和40年代後半から長年途絶えていたまつりを‘市民がつくる市民のまつり’として昭和60年に復活させたもので、今年で32回目だそうです。近隣町内の山鉾と、時代絵巻巡行、仙台すずめ踊りが定禅寺通りを練り歩きます。定禅寺通りの欅並木は新緑が美しく、その名の通り青葉の中でのお祭りです。

JPF東北事務所は定禅寺通り沿いのビルの6階にあり、欅並木を見下ろすロケーションとなっています。

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仙台3大祭りは、「青葉祭り」、「七夕祭り」、「光のページェント」ですが、全てメイン会場は定禅寺通りです。週末に書類整理をしに事務所に立ち寄ったのですが、祭囃子に誘惑されお祭り観覧となりました。事務所からの風景を動画で撮影しましたのでご覧ください。


仙台青葉まつり【ジャパン・プラットフォーム国内事業部ブログ】


仙台青葉まつり2【ジャパン・プラットフォーム国内事業部ブログ】


仙台青葉まつり3【ジャパン・プラットフォーム国内事業部ブログ】

仙台生まれ、仙台育ちの私がJPF職員として宮城の復興に関わることができ、卒業した小学校区内にある職場に通い、子どもの頃に参加していたお祭りを職場から眺める。東日本大震災の経験もあり一段と故郷に対する思い入れも深くなり、祭りを眺めるだけで様々な感情がこみ上げてきます。祭りっていいものですね。

話は変わりますが、熊本地震現地調査の第2陣として4月22日から5月2日まで大分、熊本に行ってきました。

移動の車中は、熊本のローカルFMを聞いておりました。
地元パーソナリティの方々の「みんなでがんばりましょう」というメッセージや、地元の方々を勇気づける音楽を聞いていて、被害のありようや支援の状況は異なるけれども、被災された熊本・大分の方々の苦しみや痛みは、東日本大震災の時となんら変わり無いと感じました。

今回、被災された方々のことを考えると、もっと何かできることがあるのではないかと考える毎日です。JPF東日本大震災被災者支援事業は現在進行形であり、来年度事業としてこれまでの東日本大震災被災者支援事業の検証を行う予定です。東日本事業でできたこと、できなかったことをしっかりと検証し、次の広域災害に経験として活かすことができるよう宮城地域担当としての仕事をきっちり果たしていきたいと気持ちを新たにしています。

今年、もしくは来年行われる熊本のお祭りは特別なものになるはずです。仕事ではなく観光で温泉に入って美味しいものを食べながら、熊本のお祭りを見に行きたいと思っています。なお、8月5日(金)、6日(土)に予定されている熊本「火の国まつり」は、会場の状況を確認調査中のため、開催を検討中とのことです。

www.hinokunimatsuri.jp

大きな震災を経験した後のお祭りには特に気持ちがこもっています。

仙台3大祭り以外にも、定禅寺ストリートジャズフェスティバルや、仙台よさこいまつりなど仙台はお祭りがたくさん開催されます。岩手、福島でも、多くのお祭りが行われます。今年の夏は被災地のお祭りへ是非ご参加ください。

ジャパン・プラットフォーム国内事業部 三浦

 

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【熊本・大分地震】現地の状況と報告

先月は、熊本、大分で起きた地震被害の現地状況を把握しニーズに応じた今後の対応のため、第一陣として本震のあった4月16日から11日間に渡り被災地に入っていました。

特に第一震ですぐに出た倒壊家屋数(その時は20)について、第二震の本震ではなかなか情報が出なかったこともあり、インフラの被災状況、家屋等の倒壊状況、そして避難所の状況等を確認しつつ、既に入っている関係団体にニーズを繋ぎながら初動調査を行いました。

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(C)JPF

インフラについては水道、電気、ガスが断絶していたので、衛生と治安が懸念されました。

倒壊家屋について、全壊家屋はもちろんのこと、半壊、さらにはひび割れ、傾き、瓦落ちといった状況が広範囲に渡って広がっていることがすぐに確認され、避難生活の長期化が予見されました。

避難所の状況のアセスメントには、東日本大震災の際の学びより、国内事業部の地域担当たちが協力し、人道支援の現場において支援者が守るべき国際的な最低基準となっている“スフィアスタンダード”をもとに作成していたアセスメントシートを活用することができました。トイレの数、女性に対する配慮など、国際的な基準を大きく下回る状況も見受けられ、改善を促せるような情報共有をしました。

今回は余震が長く続き、時間をおいて倒壊した家屋もありました。また、家屋が残っていたので一度戻ったタイミングで亡くなられた方もいらっしゃいました。指定避難所以外にも市役所、県庁、公民館、宗教施設、公園、空き地、至る所の広場、スペースが避難所になっていました。

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避難所となった熊本市役所の様子(C)JPF

東日本大震災の時と違い、(後から聞いた話ですが、)地震に対して全く準備がされていなかったせいか、公的機関の調整も機能していなかったと思われ、それぞれがバラバラの認識の元、バラバラにあたふたしながら動いていた感じがします。

医療もメディアに取り上げられ注目を浴びている避難所には、何チームも日赤、DMATなどの公的な医療団が入っていました。

しかし避難者で溢れている(1500人から2500人規模)にも関わらず、
「調査には来るが全部素通りされ、看護学生がボランティアでできるかぎりの支援を行っている」
といった状況もありました。そうしたニーズを加盟NGOに共有し、(行政機関などにも了解を得つつ)、支援に入って頂いきました。(熊本市中央区にはJPF加盟NGOのADRA Japanが支援に入ってくださいました。) 

また、衛生面での管理も徹底されておらず(手洗い、アルコール、うがい、マスク)、感染症の懸念がありました。震災直後だからまだしょうがないと思いながら避難所を回っていたところ、すぐにインフルエンザ発生の情報が入りました。
こういった情報も東日本大震災の「共に生きる」ファンドで恊働してきたキャンナスなどに連絡すると、すぐにそこから看護師が現地に入ってくださることになりました。
また、避難所の中が乾燥しているので、インフルエンザ対策として加湿器が必要な状況をJPFの渉外部と共有し、すぐに協力企業様から加湿器のご提供をいただくような連携も実現できました。

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(C)JPF

物資に関しては、米、水、毛布は比較的早く充足されたとされていますが、それ以外のNFI(Non Food Item)には充足の偏りがありました。

また米、パン、カップラーメンばかりが続き、たんぱく質、ビタミンが不足している避難所もありました。コンビニなどの流通が早めに復旧したり、地元の野菜や食材を集めて炊き出しをしたりしているところは、まだ良いのですが、その両方がないところもありました。
そういったところのニーズを加盟NGOのAAR Japan[難民を助ける会]や「共に生きる」ファンドで連携をしてきていた共生地域創造財団などにご協力頂き、迅速に対応していただくこともありました。

また、避難所によっては、震災直後から加盟NGOのピースウィンズ・ジャパンなどが女性専用のスペースを確保したり、同じく加盟NGOのセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが子どもの居場所、遊び場を確保したり、国際的な基準、価値観に沿った形で避難所支援している様子も伺えました。

現在は自宅に帰れる人と帰れない人が明暗を分け、避難所の統廃合と集約が進んでいます。さらに希望する避難所に入れなくなる人も多数いたり、避難所の運営スタッフが圧倒的に足りなかったりと、混迷を極めています。

こうした、避難所支援に対する行政、災害対策本部からの協力依頼が、JPFやJPFも参画しているJVOADを通してNPO/NGO側に来ており、加盟NGOのピースボート災害ボランティアセンターアジア協会アジア友の会等がこの動きに協力しています。

もともと熊本は、過疎地域で行政職員も少なく手が回らず、交代要員がいない為に疲労がピークに達しており、あわせて高齢者率も高いため、支援スタッフへの支援と高齢者支援を積極的に行っていく必要があると思われます。こうした支援者への心理社会的支援として加盟NGOのプラン・ジャパンや「共に生きる」ファンドで連携してきた世界の医療団などが対応しており、また高齢者支援に関しても加盟NGOのジェンADRAJapanが積極的に介入しております。

避難所の環境改善に向けては、企業の皆さまと連携しながら、洗濯機や冷蔵庫などニーズに合わせた調整も継続して行っております。

今回、改めて痛感したのは、今や日本はどこでも地震がありうるので、そのための備えをしなければならないということです。東海地震や東南海地震に対しては、既に訓練も頻繁に行われ、備蓄や連携体制の強化にも積極的に取り組んでいるとのことです。しかし今回の教訓は、災害が予見されていない、強調されていないところでも大災害はありうるので、そのための備えをしなければならないというところです。行政間の連携調整体制、情報交換体制(国、県、市区町村)、分野別の連携調整体制(医療、保健、流通、食糧、食料以外の物資)の構築は、もちろん不可欠です。そしてさらに個人、地域単位でも、災害発生直後3日から1週間分の水、食料(最近では栄養バランスのとれたレトルト食品や非常食も豊富)、毛布、寝袋、テント等は日ごろから準備できるのではないでしょうか。そういった状況を踏まえてこそ、NPO/NGOの得意分野を生かした活動もさらに効果的になってくると思われます。

ジャパン・プラットフォーム国内事業部 山中

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九州地方広域災害支援、現地入りしたスタッフからの報告

4月14日(木)から九州地方で続発している地震によって被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

JPFは4月16日(土)にスタッフ2名が出動し、これまでに現地の状況調査や支援団体間での情報共有等を行いました。現在、支援ニーズに応じた今後の対応を検討しています。また、JPF加盟団体は、現地に入り、各団体の専門性を活かした支援活動を開始しています。

熊本県熊本市益城町では、多くの家屋が倒壊し、道路の陥没が見られます。
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熊本県熊本市益城町の様子① ©JPF

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熊本県熊本市益城町の様子② ©JPF

JPF加盟団体 AAR Japan[難民を助ける会]は、熊本県益城町飯野小学校で自衛隊・NPO法人ピースプロジェクトと協力し、朝・夜に炊き出しを行っています。
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JPFスタッフ(写真左)熊本県益城町飯野小学校にてAARスタッフ(写真右)にヒアリングを実施 ©JPF

JPF加盟団体 ピースウィンズ・ジャパンとCivic Forceはこれまでに、災害救助犬・レスキューチームによる南阿蘇村で捜索活動を実施し、また4月17日より、益城町総合運動公園芝生広場にバルーンシェルター2基を設置して避難所として活用を開始しました。
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益城町総合運動公園芝生広場のバルーンシェルター ©JPF

熊本県総合運動公園では、物資分配のためにボランティアの姿も見られます。
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熊本県総合運動公園の様子 ©JPF

現地は余震も続いており、まだまだ予断を許さない状況です。

多くの方が地域の避難所や車中での避難生活をされており、食料・物資の支援を必要としています。

現在、JPFは九州地方広域災害被災者支援のプログラムに寄付金の受付を行っています。

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『国際NGOと福島の談話タイム - 忘れない、福島こころのケア続けるプロジェクト- 』のご報告

東日本大震災被災者支援において、国際NGOと地元のNGOがゼロから信頼関係を築きあげ、ともに地元に根ざした支援活動をしてきたJPFでは、談話シリーズとしてともに連携してきたパートナーがトーク形式で、支援現場の生の声を届ける会を開催してきました。

2016年3月28日(月)に開催した『国際NGOと福島の談話タイム - 忘れない、福島こころのケア続けるプロジェクト *1– 』 には、福島で活動を続ける方々もたくさん来てくださいました。

談話シリーズ3回目の今回も、一方通行の情報発信ではなく、参加者の皆さんの本音の“つぶやき”を取り入れながら、一緒に「自分はどう感じるのか」「これから何をするのか、しないのか」考えることのできる機会となりました。

開始前には皆さんに付箋とペンを配布し、疑問や感想など「つぶやき」を自由に付箋に書いていただくようお願いしておきました。

世界の医療団と相馬広域こころのケアセンターなごみによる、相双地域での活動開始から現在までの軌跡の報告では、混乱の中、被災しながら、また葛藤しながら活動を続けてきたご本人たちの生の声をお届けできたと思っています。

当日お話のあった、日々の活動の中で福島特有の事例を一つ紹介します。

喪失感、先の見えなさ、孤独などから特に男性はアルコールに依存しがちな傾向があるとのこと。通常なら断酒を勧めるところ、福島のように人の繋がりが無い状態ではその対応は逆効果になりうる可能性もあるため、まず人との繋がりを取り戻すことを優先し、丁寧に声掛けをしながら信頼関係を築いたうえで対応を見極めているということでした。

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「お酒から回復するぞ!」と題した手作りの「すごろく」を活用して、悩みを共有し合い回復へ進むルートを示すなど工夫がされています。

お話の後は、東北のお菓子を食べながら進めた「アナログツイッター」。

今やJPF国内事業部のイベントの名物企画、ここまで書き溜めた「つぶやき」を壁に貼っていただき、話題を整理しながら参加者全員で意見を出し合います。

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「こころのケア」以外にも福島特有の「つぶやき」が多く寄せられました。

一部をご紹介します。

  • 一般の方にもっと関心をもってもらうにはどうすればよい?
  • 放射能についての正しい情報が必要
  • 放射能の健康への被害・影響の不安
  • 避難者、特に区域外は難民です!
  • なぜ、こころのケアが必要なのか?問題の本質はどこにあるのか?
  • それぞれの取り組みをつなげて、ノウハウとパワーを上手く活かせたらよい。
  • 今後、支援をどう変えていくのか?出口が見えないまま続けていくのは悩ましい。

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他にもたくさんの真剣で切実なつぶやきが寄せられ、様々な視点で福島について考える機会となりました。

あの時間が、参加して下さった皆さんに「何か」を感じていただける機会となれば非常に嬉しいです。

今後もこのような企画を続けて行きたいと考えておりますので、引き続き宜しくお願いします。

JPFウェブサイトやFacebookを引き続きチェックしてください!

当日の様子はJPFホームページ内イベントページにも掲載しています。

*1:同プロジェクト4回目の事業(2016年1月1日~12月31日)は、NTTドコモグループならびに社員有志一同からの寄付金の一部が第23回「共に生きる」ファンドを通じて活用されています。

 


 


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