ジャパン・プラットフォーム(JPF) 公式ブログ

緊急人道支援組織、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)のブログ。NGO・経済界(経団連、企業など)・政府(外務省など)が連携し、国内外の緊急人道支援を実施。寄付金・募金受付中。

6年間に思いを巡らせながら夜空を見上げた日

こんにちは。福島担当の山中です。

福島県浜通り双葉郡では昨年から今年度にかけて避難指示解除がたて続けに行われ、それに伴い伝統的な夏祭りや花火大会も浜通り沿岸部を中心に開催されることが多くなっています。今年のお盆にも、川内村、富岡、浪江等で夏祭り、盆踊り、花火大会が開催されました。私も富岡の花火大会に参加しましたが、県外や県内の内陸部にある避難先の遠方から車で来られている方も多く、それぞれのこれまでの6年間に思いを巡らせながら故郷の夜空を見上げているようでした。

津波の被害だけでなく、放射能と除染、汚染物処理という課題を克服しなければならなかった福島県浜通り沿岸部の土地も様々な様相を見せてきました。
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▲東日本大震災地震津波の被害を受けた富岡駅周辺の風景 (c)JPF

一時は放射能汚染物質減容焼却炉や仮置き場で埋め尽くされることもありました。

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▲避難指示解除準備に向けて設置された仮設の放射能汚染物質減容焼却炉 (c)JPF

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▲除染された放射能汚染物質を入れた袋を並べた仮置き場 (c)JPF

もうずっとこのまま、この殺風景な景色のままなのだろうかと思ったこともありました。

ようやく6年半たって、何とか花火が上がっても違和感のない景色になりました。
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▲富岡の花火大会 3月11日撮影(c)JPF

しかし、帰還率はまだまだです。例えば富岡の帰還率はわずか約1%とも報じられています。年間20mSv(ミリシーベルト)という基準で避難指示が解除されたために、線量がいまだに高い地域も残っており、若い世代の役場職員をはじめ殆どの人は郡山等から通ってきています。冬になると雪で峠の道もさらに険しくなり、通勤の過労や事故も懸念されています。帰還者の殆どは高齢者が中心とも言われており様々な課題が浮き彫りになってきています。外から富岡や浪江の復興のために貢献したいと働き盛りの若者が思っても、家賃や物価が東京並みに高く、住めるのは廃炉、除染関係者だけという状態が続いています。

ようやく祭りや花火ができるようになり、復興のスタートラインに立った浜通り沿岸部の相双地域ですが、課題は山積みです。一方で課題先進地域とも言われ、一度に日本中、世界中の課題が集約されたこの場所で、それに立ち向かう取り組みが今後の日本の変革に寄与していくという思いで活動されている方々も一定数いらっしゃいます。そうした方々を疲弊させ、孤立させてしまわないように、持続可能性を担保するために新たな連携の枠組み、仕組み作りが求められています。JPFの地域担当もそうした動きに対して前に出ることなく、後から支えていけるよう一層努力していきたいと思います。

地域事業部(2017年4月1日より、国内事業部から名称を変更しました)
山中

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熊本出張こぼれ話1

こんにちは。地域事業部の坂巻です。

JPF熊本地震被害者支援(九州地方広域災害被災者支援) 事業の業務で、毎月2回くらい東京事務局から熊本市に出張しています。
震災から1年が過ぎた熊本市では、城は20年間におよぶ復元工事が進んでいますが、市内にはまだ半壊のままとなっている建物が残っています。f:id:japanplatform:20170814172537j:plain熊本城

f:id:japanplatform:20170814172719p:plain熊本市唐人町

でも目につくのは、震災の影響を受けた建物ばかりではないんですよ。
そこで今回のブログでは、熊本の風景から感じたこと・調べてみたことをお話します。

熊本市をまわっていると、立派な建物の眼科、歯科、精神科などの単科医院の看板も目につきます。

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水前寺あたりの医院の広告

?と思い調べてみると、なんと熊本市は政令指定都市20市中、人口10万人あたり病床数が1710.4床、医師数が321.3人と第1位(出典:熊本市市勢要覧2015 P33)。
そこで、熊本市の中心である中央区と面積、人口密度が似ている横浜市緑区と比較してみました(出典:日本医師会 地域医療情報システム http://jmap.jp/cities/detail/city/43101)。

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熊本市中央区と横浜市緑区の10万人あたりの数を比較すると、熊本市中央区は病院数が約5倍、一般診療所病床数が約12倍、精神病床数は約13倍、病院病床数は3倍、医師数は約5倍、歯科医師数は約2倍です。なるほど医院・病院が目に付いた訳です。
しかも立派な入院設備がある眼科とか歯科医院が多いんですよ。レストランかウェディング場かと間違うような素敵な建物。

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熊本市中央区呉服町の眼科(病床19)

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熊本市中央区子飼本町の眼科口腔病院(病床24)

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熊本市中央区水前寺の皮膚科医院(入院設備なし)

ジャパン・プラットフォーム(JPF)は、復興に向けて歩み続ける熊本への伴走をまだまだ続けていきます。東京から熊本への出張も続く予定です。
でも、これだけ医療が充実している熊本でなら、「いざとなったら入院してもいいかなあ」なんて考えてしまいました。

地域事業部(2017年4月1日より、国内事業部から名称を変更しました)
坂巻

※写真はすべて(c)JPF

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豪華絢爛!仙台の七夕まつりはまもなくです

こんにちは。東北事務所の今野です。

東北事務所は、杜の都・仙台を象徴する並木道の一つ定禅寺通りに面したビルにあります。
春は青葉まつり、夏は七夕まつり、秋はジャズフェス、冬は光のページェントなどイベントが開催され、事務所の窓から楽しむことができます。f:id:japanplatform:20170727185928j:plain写真提供:(C)仙台七夕まつり協賛会

 
その中で歴史が古い仙台七夕まつりが来週(8月6日・7日・8日)、開催されます。
「仙台七夕まつり協賛会」のウェブサイトによると、仙台七夕は、伊達政宗公の時代から続く伝統行事として受け継がれているそうです。
笹飾り、パレード、踊り、グルメなどが楽しめ、多くの人が集まるお祭りなんですよ。
とりわけ、仙台駅前からの中央通りと一番町通りのアーケード街の笹飾りは豪華絢爛です!

しかし残念な事に、震災前までおこなわれていた動く七夕パレードと、昨年までおこなわれていた天の川回廊が、今年は定禅寺通りでおこなわれないそうです。
事務所の窓から見るのを楽しみにしていただけに残念。f:id:japanplatform:20170727190141j:plain
写真提供:(C)仙台七夕まつり協賛会

一方、仙台の郊外でも素朴な笹飾りで七夕を楽しんでいる商店街が多くあります。
私の地元の小さな街では、小さな笹飾りをおよそ2m間隔で約800mにわたって飾り、街ゆく人たちを楽しませてくれます。
その風景は、仙台七夕まつり協賛会のHPでも見つけました。
こちらの写真です↓↓。かわいいでしょ。
http://www.sendaitanabata.com/outline/feature

最後に一つ願いごと。
七夕まつりの期間は、1回は雨が降ることが多く、和紙の吹き流しが色落ちしたり他の飾りも型崩れしたりするので、作ってくれた人や見に来てくれた人がかわいそうになってしまいます。
今年は雨が降りませんように。

地域事業部(2017年4月1日より、国内事業部から名称を変更しました)
今野

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多くの方からお寄せいただいた寄付を適切に活用させていただくために

こんにちは!東京事務所の川村です。
暑い日が続いていますね~。
夏本番はこれから、仙台から引っ越してきた私は
もう仙台の涼しい夏が恋しいです。

さて、今回は、「共に生きる」ファンドの助成事業が終了した後の
会計報告の手続きについてご紹介したいと思います。
ご寄付などを通してご支援くださった皆さんや助成を受けた団体の皆さんも
あまりご存じないのではないかと思います。

「共に生きる」ファンドで助成した事業が終了すると、
助成を受けて事業を行った団体さんから2種類の報告書を
提出していただきます。
ひとつは事業の内容について記載する事業終了報告書、
そしてもうひとつは助成金を充当した支出についての会計報告書です。

この会計報告書では、
助成決定時に助成金を何にどのくらい使用したかの支出一覧と
その証憑(領収書や契約書など)も全て提出していただき、
外部審査員による審査を経て決定した事業の予算に沿って、
適切に使用されたか、その使途や支出方法はJPFの定めるガイドラインに
沿っていたかを確認しています。f:id:japanplatform:20170718113625j:plain
※留意点をまとめた会計ガイドライン(c)JPF

この確認作業を一緒に担当してくださるのが
太陽有限責任監査法人の皆さんです。
助成団体から提出された会計書類一式を、
プロの目で確認してくださっています。
順次届く報告書を月1回のペースで確認しています。

「提出された証憑は1件1件全て拝見しております。
経理のマンパワーが少ない団体さんもいらっしゃると思うので、
経理書類の作成は大変な作業だと思います。
継続して助成を受けている団体さんは、回を重ねるごとに改善が見られ、
会計報告もしっかりしてきていると感じています。
適切な会計報告をすることは、団体としてもよりよい形で説明責任を
果たすことにつながると思います。」と小林さん。

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※7月の確認作業の様子。左奥が小林さん。(c)JPF

この後、疑問点や修正が必要と思われる点をまとめて、
団体にフィードバックします。
何度かのやりとりを経て、最終的な助成金充当額を決定し、
残金があれば返却していただきます。確認の過程で、
団体の会計処理について改善した方がいいなと思う点があれば、
それもお伝えするようにしています。
具体的には、支出の記録の取り方や証憑の整理、
人件費の支払いに係る契約や
勤務記録に関することなどです。

大量の証憑を確認するのは正確さを求められ、根気のいる作業ですが、
多くの方からお寄せいただいた大切な資金が適切に活用されているかを
確認するため、また、「共に生きるファンド」の助成を通じて
団体の会計処理の力づけに繋がればという想いで取り組んでいます。

地域事業部(2017年4月1日より、国内事業部から名称を変更しました)
川村

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第2回JVOAD全国フォーラムに行った日のこと

こんにちは!JPF東京事務所の田中です。
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5月26日(金),27日(土)の2日間でJVOAD(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク)主催のフォーラムに参加してきました。会場は両国の国際ファッションセンター(KFC)ホールでした。相撲中継はテレビで結構見るのですが、両国駅に降り立つのは初めてです。
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駅のホームからは国技館の屋根が見えました。

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東口の改札を出ると目の前に横綱横丁がありました。

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駐輪場も横綱(よこづな)だと思いきや、こちらは横網(よこあみ)でした。

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会場付近は海抜1.0mだそうです。

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国技館では大相撲5月場所が開催されていましたが、金土の二日間とも午前8時10分で切符は売り切れとのことでした。

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(写真が少しピンボケですみません)
稀勢の里が横綱に昇進して横綱が4人となったので国技館の売店で売っている相撲トランプのキングの絵柄が揃ったそうです。本場所開催中は切符を持っていないと売店に入ることができないとのことで買うことができなかったので、記念に後日買いに来ることにしました。

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初日のオープニングのパネルディスカッションには私どもの地域事業部の阿久津部長が登壇しました(真ん中が阿久津部長)。

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お昼はタイムリーに放映されたアド街ック天国で紹介されていた、横綱横丁にあるトンカツの有名店「はせ川」に行ってみました。

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「盛り合せロースカツ定食」を注文してみました。ランチなのでリーズナブルなお値段でいただくことができました。「ロースカツは塩とワサビで食べてみて下さい」と言われたのでそうしてみました。「こんなに美味しいなんて、びっくりしました!」とお店の人に一言述べてお店を後にしました。流石行列ができるトンカツ屋さんは違います。

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初日の分科会はJPF企画の分科会4に参加しました。

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軍手持参で朝から準備のお手伝いをさせていただきました。

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タイムキーパーもやらせていただきました。

今回のJVOAD主催の「災害時の連携を考える全国フォーラム」には500人を超える方々が参加していただきました。JVOADのフォーラムにご興味がある方は、こちらのサイトをご覧になってみて下さい。
 

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夜はまた何かのテレビ番組で紹介されていた気がする、横綱横丁にある「ぎょうざ会館」に行ってみました。席に着くといきなり「何枚ですか?」と問われました。何のことかと思ったら「ぎょうざ会館」なので基本食べ物は餃子なので、「餃子何皿にしますか?」という意味でした。「2枚と瓶ビール」と告げて到着を待ちました。

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2枚頼んだので律儀に2枚重ねたお皿に乗って餃子がでてきました。
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何人かの人がレバニラ炒めを頼んでいたので私も便乗して頼んでみました。

帰りは吉祥寺で途中下車しました。
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昨年亡くなってニュースになった「井の頭自然文化園のゾウのはな子」の銅像が出迎えてくれました。

吉祥寺では、もう10年以上前から時々行っている「カオス」というバーで赤のグラスワインを飲みました。このバーのオーナーバーテンダーさんは「クローバープロジェクト」というネーミングで東日本大震災の復興支援活動をされています。ご興味のある方は以下のサイトをご覧になってみて下さい。

7月30日(日)には吉祥寺でクローバープロジェクトのチャリティコンサート(マジシャンも出演します)が開催されます(上記のサイトにも掲載されています)。この日私もチケットを購入しました。

次の日もフォーラム2日目で朝が早かったので、赤ワインはほどほどにして早めに帰途に着きました。

地域事業部(2017年4月1日より、国内事業部から名称を変更しました)
田中

写真はすべて(c)JPF

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「持続可能な暮らしの足を考えるフォーラム」が開催されました。

今年度より宮城に加えて岩手も担当することになりました三浦です。

少し前の話になりますが、昨年度末に「持続可能な暮らしの足を考えるフォーラム」が岩手、宮城、福島の3県で開催されました。こちらは宮城県石巻市で活動し、ご自身での移動が困難な住民の方を病院などへ送り届ける移動支援を行う団体、Rera(http://www.npo-rera.org/)がJPF共に生きるファンドを活用して実施したフォーラムです。

私も運営のお手伝いをさせていただきましたのでフォーラムのようすをご紹介させていただきます。

みなさま、「暮らしの足=移動」について考えたことありますでしょうか?
人は移動なしでは生きていけません。通勤も通学も通院も買い物も必ず移動が付いて回ります。旅行もデートもお墓参りだって移動無くして不可能です。家の外に出なくてもトイレやベットまで必ず移動します。

呼吸するように無意識に移動しているため、あらためて移動について考えたことがある方は少ないと思います。そんな日常ではあまり意識することがないけど実はとてもとても大切な「暮らしの足」について考えるフォーラムが開催されました。

岩手、宮城、福島それぞれの県で50人を超える参加者があり、行政、社協、企業、NPOなど様々立場の方々で活発な意見交換がなされ、参加された方々からは「勉強になった」、「みんなで考えなければならない問題だ」、「継続して開催してほしい」などの声がありました。

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ここでフォーラムが開催された背景について、少しご説明をします。
東日本大震災では多くの車が流され家庭や公共の足が奪われました。津波や原発事故の影響で道路が寸断されたり、応急仮設住宅や災害公営住宅、防災集団移転など居住地が大きく変わったりして、役所や学校、病院などの公共施設も移転を余儀なくされました。そのようなさまざまな原因で暮らしの足を支える復興支援活動が必要になりました。

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6年たった被災地ですが、震災前のような暮らしの足は復活していません。少子高齢化が10年進んだといわれる被災地においても、震災前と同程度の公共交通網を整備することは難しい状況です。そもそもバス停や駅まで歩けない高齢者や公共交通機関を利用できない障害をお持ちの方は、公共交通機関があるだけでは暮らしが成り立ちません。家族や近所、友人知人の送迎が必要になりますが、災害公営住宅などへの移転で核家族化が進み、地域コミュニティ形成もまだまだこれからという被災地では多くを期待できません。障害をお持ちの方や、通院が不可欠な高齢者など社会的に弱い立場の方が、移動できずに生活困窮に陥るケースが出てきています。明日食べるものを自分で買うことができない、友達にも会いに行けない、ご先祖様のお墓参りにもいけない。病院に通うなど生きるために必要な最低限の移動しか行えない方が実際に多くいらっしゃいます。公共交通や福祉の制度、家族の送迎など地域の中の移動手段をフルに活用して移動困難者を無くしていく必要がある、そのための第一歩となるべく開催されたのが今回のフォーラムになります。

暮らしを支える移動は大きく3つに分けられます。
ひとつはバスなどに代表される公共交通、
ひとつは施設利用者や障害をお持ちの方が利用できる福祉制度による移送、
ひとつは家族や隣近所による住民主体の送迎です。

すべての移動困難者を支える公共交通は、これからの世の中では期待できません。もちろん、福祉制度や住民が単独で担える移動困難者は限られます。公共交通事業者と福祉事業者、地域住民がそれぞれの事業でできることできないことを理解し、少しずつ補い合わなければ地域の中の移動困難は無くなりません。

公共交通や福祉、地域住民としての立場を超えて暮らしの足を考える第一歩となるのが「持続可能な暮らしの足を考えるフォーラム」。住民の取り組み、行政の取り組み、NPOの取り組みを紹介し合い、地域の移動をどうしたらよいのか会場全体で考える。そのような場が岩手、宮城、福島で各一回設けられました。

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震災を起因とした地域の課題の中には、日本全国で共通の課題となっているものも多く、そのような課題の解決には多くの方の知恵と実践の積み重ねが必要になります。本フォーラムをきっかけとして東北での暮らしの足の実践がより深いものになり、全国に広がっていって地域の課題解決に結びつけばと願っています。

地域事業部
三浦
※国内事業部は4月1日より地域事業部となりました。
※写真はすべて(c)JPF

6月1日、「たらちねクリニック」オープン!

 5月8日にこのブログでお伝えしたジャパン・プラットフォーム(JPF)が助成する「認定NPO法人NPO法人いわき放射能市民測定室 たらちね」(以下、たらちね)の活動の続編です。

 2017年5月21日(日)に、いわき市内のたらちね事務所で「たらちねクリニック」の内覧会が開催されました。関係者、報道陣、スタッフ含めて約50名が集まり、手作りで温かい会となりました。

 まずは、常勤医師の藤田操院長による沖縄三線と歌でスタート。
 藤田先生はたらちねクリニックの前に「NPO法人沖縄・球美の里」のある沖縄県久米島で勤務されており、「安里屋(あさとや)ユンタ」という沖縄民謡の「小名浜バージョン」を聞くことができました。 

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 続いて、来賓であるいわき市の清水敏男市長はじめ、医療機器関係者、支援者・団体、地域の方々など、様々な分野の応援団が、たらちねへの熱い想いをスピーチ!
 清水市長からは、たらちねがクリニックを本当に作ってしまったことへ驚きと、これからはここが安心の拠点となる、というお言葉がありました。

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▲清水いわき市長

 他の来賓からも、このクリニックに大きな期待と希望が寄せらました。

 そしていよいよ手作りのリボンによるテープカットの後、内覧が始まりました。

 たらちねは、今回の開設のために部屋を拡張するなど改装したそうです。内装は子どももリラックスできるスペースとなるように工夫。待合室は青空の壁紙とし、診察室は、心を落ち着かせる効果があると言われているピンク色をベースにしています。また、支援企業であるdōTERRA Japanさんの素敵なアロマの香りに癒されます。

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 藤田先生はあっという間に記者たちに囲まれ、特に甲状腺検査については熱心な質問を受けていました。

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 このクリニックの特長は、甲状腺検査と内部被ばく検査が充実していることです。子どもたちをはじめとする地域の人々が、自分自身の健康に留意し、将来にわたって心身の状態を良好に保つための手助けをすることが目的です。そのため、患者さんが小さな心配事も話せる環境を作り、できる限りの対応をしていきたいとクリニックは考えているそうです。

 また、他の医療機関との連携はもちろん、常勤医師の藤田先生の他、東京から小児科医の黒部信一先生、小児精神科医学がご専門の渡辺久子先生の診察日も設けています。スタッフも、診察前後のフォローや接し方などのトレーニングを重ねています。

「まちのお医者さん」として、どんな方でも気軽に受診していただけます。遠方からのお越しも歓迎です(予約されることをお勧めしているそうです)。

 もちろん、今まで通り出張による甲状腺検査も行っていくそうです。 

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▲たらちねクリニックのメンバー

 クリニック開設の決意からオープンまで、たくさんの方々の協力があり、思いが実ったことをとてもうれしく思っています。

「未来のために自分たちで考え、自分たちの力で具体的に問題に取り組んでいる姿」。今回のクリニック開設でも、そんなたらちねの姿が見えました。

【たらちねクリニック】
(6月1日から通常の診察が可能となります。)
福島県いわき市小名浜花畑町11-3 -3F
内科 小児科
診療時間は、9:00~12:00、14:00~16:30(土日祝休み)
※予約をお勧めしますが、無しでも受診していただけます。
予約と問い合わせは、電話0246-38-8031まで。

 JPFは、今後も福島の方々の支援を続けていきます。

JPF地域事業部 斎藤
※国内事業部は4月1日より地域事業部となりました。