ジャパン・プラットフォーム(JPF) 公式ブログ

緊急人道支援組織、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)のブログ。NGO・経済界(経団連、企業など)・政府(外務省など)が連携し、国内外の緊急人道支援を実施。寄付金・募金受付中。

シリア紛争人道支援:ヨルダンでみてきたこと

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「1ヶ月前に産まれたんだよ。」私が写真を撮らせてほしいというと、そう言ってまだ首が据わっていない赤ちゃんの写真を撮れるように見せてくれました。赤ちゃんを見るおばあちゃんの表情は慈愛に満ちており、生まれてきた命に対する確かな愛情を感じ取ることができました。すべての人が新しい生命に対して普遍的に持っている愛情、私は一時(いっとき)カメラのシャッターを切るのも忘れて一緒に赤ちゃんを見つめていました。

場所はヨルダンのザルカ。今から9ヶ月前、ジャパン・プラットフォームがシリア紛争人道支援の出動をすべく準備に取りかかっているとき、私はジャパン・プラットフォーム加盟団体の公益社団法人日本国際民間協力会で働いておりました。この家族は2ヶ月前にシリアのダルーアから国境を越えてヨルダンにいらっしゃいましたが、私たちが聞き取り調査を行ったとき、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の存在も知らず、周りにいるヨルダン人からいろいろな援助をもらいながらぎりぎりの生活をしているところでした。

この家族のようにシリアから周辺国に逃れ難民化した方は、7月末現在、既に180万人を超え今年の年末には345万人を超えると予想されています。紛争の影響は直接難民・避難民化した方だけではなく、ホストコミュニティと呼ばれる受け入れ国の方々にも多大なる影響を与えます。またシリア国内ではさらに680万人もの方が国内避難民化する等の理由で支援が必要になっています。

かかる事態を受けてジャパン・プラットフォームは昨年11月に出動を決定し、現在8つの加盟団体が出動し緊急人道支援を行っていますが、紛争が終息する気配は未だ全く見えず、さらに多くの支援が必要とされています。国連によると、エジプト・イラク・ヨルダン・レバノン・トルコの周辺国及びシリア国内で2013年末までに必要な支援額は43.9億ドル以上あるのに対して、そのうち資金のめどがついたのはわずか35%に過ぎないと危機を訴えています。

冒頭の赤ちゃんをご覧になった皆様はどのようにお感じになりましたでしょうか。きっとおばあちゃんとその場にいた私が感じたのと同じように皆様もお感じになったのではないかと存じます。

紛争において最初に犠牲となるのは、この赤ちゃんやお母さんのような脆弱な人々です。シリア紛争人道支援に対する皆様からの温かいご支援を宜しくお願い申し上げます。

国連難民高等弁務事務所(UNHCR)とジャパン・プラットフォームは、来る8月3日(土)午後2時から4時半まで、国連大学、ウ・タント国際会議場において、シンポジウム「シリア危機: 日本の人道的役割- いま私たちにできること -」を外務省の後援も得て主催致します。たくさんの方のご来場をお待ちしております。


ジャパン・プラットフォーム 月岡

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灯油ヒーター等の越冬支援物資の配布。毎日ひっきりなしに支援を求めて難民が配布センターに押し寄せて来ていました。

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ザアタリキャンプ内で越冬支援物資の女性用伝統イスラム服配布のモニタリングの様子。写真左が月岡。

写真はすべて©NICCO Yu Tsukioka撮影

【シンポジウムご案内】シリア危機:日本の人道的役割-いま私たちにできること-
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