もうすぐ3年を迎えるジャパン・プラットフォーム(JPF)熊本地震被災者支援では、地元で復興を担う皆さんへのお手伝いの一つとして、2019年が明けた1月12日(土)に、くまもと災害ボランティア団体ネットワーク(KVOAD)と共催で「助成金の獲得セミナー」を開催しました。
一般的に災害が発生すると、発災直後の緊急期から復興に向かう時期になるにつれ、助成団体や企業などが実施する助成金の公募が少なくなる傾向があります。しかし、被災者それぞれが抱える個別の深刻な困りごとが見えてくるのは、仮設住宅を出る被災から2年を過ぎた頃で、この時期こそ、丁寧な支援活動が必要となります。
そのために、地元の支援活動団体を対象に、必要な資金を相応しい助成団体から獲得するための「秘訣」を、JPFの被災者支援にいつもアドバイスをいただいている、東洋大学の松丸亮教授に解説していただきました。
参加者は9団体、16名で、午前中は申請書類の書き方や、助成団体を選ぶポイントを勉強しました。面白い試みとしては、ある助成団体に申請したものの「採択されなかった申請書」を実例として紹介し、どこがどう良くなかったのかを細かく説明していきました。
午後は、「なぜ助成金が必要なのか?」「なぜ自分たちが支援活動をするのか?」という足元を見るところから始め、そのうえで抱えている課題と理想とのギャップを可視化し、人材やお金を投入すると被災者にどう裨益するのかということを、体系立てて計画を作っていく、「ロジックモデル」のグループワークを実施しました。
今回の課題では、「みなし仮設住宅の住民への支援」を例として取り上げました。
申請書では、課題から解決までの流れを、一本筋を通して説明することで、助成団体に「この支援は被災者の方々にとって必要な支援だ!」、「この支援は是非実施してほしい!」と思わせることができます。
また、他の団体や、得意分野の違う支援者同士が繋がることで、カバーできる範囲が広がり、より丁寧に被災者に接する支援が可能となり、皆で力を合わせることで何倍もの力を発揮できることがあります。「繋がること」の効果を実感していただけたのではないかと思っています。
当日の様子は、動画でも紹介しています。
https://www.youtube.com/watch?v=hJQDGPeMKkE&t=2s
JPFはこの他にも発災当初から、被災地支援の知見を復興に携わる支援者へ伝えていく活動に、力を入れてきました。
2017年には、熊本を支える地元団体向けに、「復興経験と知見をつなげる」ための座学研修を開催し、参加者の中から、東北、神戸、中越など過去の被災地への視察と、活動資金を助成しました。
https://www.japanplatform.org/contents/kumamoto_workshop/
その座学研修の23講義の内容をまとめ、JPFのWebサイトでもご紹介しています。
- 地元主体の復興経験と知見を伝える講座のエッセンスがまとまった「熊本地震被災者支援 記録誌」が完成しました。
https://www.japanplatform.org/programs/kyushu-disaster2016/documents.html
興味のある講座だけダウンロードすることも可能です。使い方は、【活用のヒント】をご参照ください。
熊本地震だけでなく、西日本豪雨や北海道胆振東部地震の被災者支援や、今後災害が発生した時の復興に向けた備えとして、大変参考になる内容となっています。是非、Webサイトを覗いていただき、グループワークや勉強の機会などにご活用ください。
JPFは、2019年も熊本の皆さんを応援していきます。
ジャパン・プラットフォーム(JPF)地域事業部 齋藤 真樹