ジャパン・プラットフォーム(JPF) 公式ブログ

緊急人道支援組織、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)のブログ。NGO・経済界(経団連、企業など)・政府(外務省など)が連携し、国内外の緊急人道支援を実施。寄付金・募金受付中。

「第4回 災害時の連携を考える全国フォーラム」に参加してきました

こんにちは。はじめまして。

1月からジャパン・プラットフォーム(JPF)東京事務所に入りました小泉と申します。「共に生きる」ファンド助成事業や九州地方被災者支援事業の事務局サポートをしています。どうぞよろしくお願いします。

早速ですが、521()22()2日間、JVOAD(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク/✳1)が主催する「災害時の連携を考える全国フォーラム」(場所は両国です)に参加してきました。

(✳1)JVOAD=全国災害ボランティア支援団体ネットワーク。2011年の東日本大震災の際、事前の連携体制が十分に構築されていなかった事により現地での支援団体やボランティアの調整が困難だった反省を踏まえ2016に設立された。「支援者間の連携の促進と支援の調整を目的とした団体 

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 2日間の開催で、参加者は昨年を更新し、626(暫定/登壇者を含む) だったそうです。フォーラムに参加して、災害に備える上で役に立つ知識を得てきましたので、中から幾つかご紹介したいと思います。

2日目の全体セッションで、昨年の西日本豪雨災害の際の広島での取組みについてレポートがありました。

テーマは「大規模災害に備えた地域のネットワーク」で、広島で中心的な役割を担ったNPOや地元の社会福祉協議会の方、地元の防災士のネットワークの方、また東京から駆けつけたNPOJVOAD顧問で大学教授の方達がそれぞれの立場で取り組まれ経験された事をパネリストとして発信されました。

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災害発生後は、被害の状況把握や被災地域の把握、避難が必要な人達への迅速な支援が必要になります。広島の場合、NPO法成立前から先駆け的にNPO 支援センターとして設立され、NPOや企業、市民と共に社会的課題に取り組み、それを社会に発信して来た「(特活)ひろしまNPOセンター」が行政や社会福祉協議会と連携しつつ迅速に災害ボランティア本部を立ち上げて運営をした事や、また地元の社会福祉協議会が普段から地域住民と話の出来る関係作りに取り組んでいた事があり、駆けつけたボランティアを他機関と連携しつつ適切に被災者に繋げる事が出来た事などの成功例がありました。 f:id:japanplatform:20190531113358j:plain

地元防災士ネットワークの方から、近くの中学校を避難所にと行政に働きかけ認可された事から中学生のボランティア参加が生まれ、その後中学校の授業に防災の時間が組み入れられた話があり、現在もそれが続いている事な ど、地元での密なコミュニケーションが災害への備えや実際に災害が起きた時にも生かされるモデルになるような事例など含め、東京から駆けつけたNPOを含め成功例がありました。ただ、一方で、住民の情報を得るには行政の制限があるため、民間レベルでは限度があり、具体的な情報が得られなかったために被災者への支援まで至らなかった話や、また行政の中でも情報共有出来なかったと言う反省、情報会議・ネットワーク会議の視点が外部の支援者目線になってしまっていた、最も被災者の情報を持っているのは地元住民なので、地元住民からの情報を得る事が大切、など今後に活かされる、または改善が必要な意見もありました。  

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印象に残ったエピソードとして、温かいものや栄養のある野菜などを被災者に食べて貰いたいと避難所に持参しても、衛生上の問題から行政から許可がおりず被災者に届ける事が出来なかったと言う話が何度かありまし た。避難生活が長期化する場合には、冷たいものしか食べられない事で健康上の影響が出てくると言う指摘もあるので、改善が必要な課題に思われますが、衛生面を懸念する行政側との間で、深い議論が必要だと言う意見もありました。

今回の全国フォーラムでは、2日間に跨って20の分科会が行われました。そのうち「食と栄養」と言う身近なテーマの分科会について簡単にお伝えします。

先ずは、オープニングで(公財)味の素ファンデーションより、「災害発生後、【食と栄養】軸で起きる課題は問題山積み」との問題提起がありました。

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例えば、温かい食事の提供はとても大切だそうです。実際にイタリアでは、政府が災害用キッチンカーを約50台保有し、48時間以内に温かい茹でたてパスタやピザ、ステーキや野菜等が組み合わされた機内食のような食事が被災者に届くようです。イタリア程でなくても、アメリカの場合、太陽光パネルを装着したソーラーキッチンカー(ソーラーからの電気は主に冷蔵庫や電気に使用) が200万円から400万円で購入出来るようです。災害多発国の日本には、そのどちらも無いですが、このままでいいの?と問題提起されています。ただ、行政も頑張って下さっている、でも限界があるので、異なる強みを持った組織が集まって、【食・栄養】にまつわる課題解決に向け官民学連携活動を始めたようです。『出典:JVOAD主催第4回災害時の連携を考える全国フォーラム分科会#17 発表資料より』

続いて、国際災害栄養研究室の笠岡(坪山)宜代先生の「災害時の食と栄 養~改善のために出来ること~皆さんの力が必要!」のお話がありました。災害時での食事は重要との事ですが、例えば糖尿病患者でも食事で血糖値の悪化が抑えられるようです。災害時でも、避難所での食事だからと諦める必要はなく、健康に悪いものを我慢して摂る必要は無いと言う事です。そうはいっても、ではどうやって避難所や避難時の食事で工夫をする事が出来るのか?と言う疑問は出てきます。先生の示す避難所の栄養不足や栄養格差を改善するヒントとして、以下の5つが提示されています。

 1. 避難所規模を大きくしすぎない。温かい食事をだす(ガス・調理環境)

 (避難所規模が大きいと、温かい食事は供給しにくい。  

 2. 何かしらのオカズをだす。

 3.栄養士がレシピを作った炊き出し

 4.避難所間で連携。給食センター方式

 5.快適なトイレ環境

『出典:JVOAD主催第4回全国フォーラム分科会#17 発表資料より』

3. については、栄養士が炊き出し献立を作成すると、乳製品・果物の回数が増えると報告されています。日本には、DA-DAT(日本栄養士会災害支援チーム)と言う組織があるようで、2011年の東日本大震災以降は災害毎に発災直後から現地に対策本部を設置して一定期間滞在しています。緊急な課題に対応している可能性もありますが、必要に応じて相談してみるのも良い方法かも知れません。

(✳2)DA-DAT(日本栄養士会災害支援チーム)――――――――――

東日本大震災をきっかけに、大規模自然災害発生時、迅速に被災地での栄養・食生活支援活動を行うために、2012年に設立。国内外で大規模災害が発生した地域において、避難所、施設、自宅、仮設住宅等で被災者に対する栄養に関する支援活動が出来る専門的なトレーニングを受けた栄養支援チーム。―――――――――――――――――――――――――――――――――――

最近では、避難所の食事にお弁当を出すようになり、避難所の食生活は進化し続けているようです。それでもおにぎりやパン、カップ麺などに頼る事もあるようですから、炭水化物が多くて栄養に偏りが出る問題は依然変わりません。そして、同時に、個人的な都合、健康上の理由で配られる食事が摂れない人がいるという個別の問題もあります。全体の問題として、栄養が偏った食事を長期に摂る事から来る栄養不足の問題、菓子パンを沢山食べる事による血糖値の上昇、肥満や虫歯の問題、そして更に深刻なのは、個人の健康上の理由による個別の問題(災害弱者)なんだそうです。避難所の1/3は何らかの理由で食事に困っている被災者がいると言う話もあり、中には周囲と違う事情がある事を言い出せない人も多くいるとか。個別の事情を抱える妊婦、乳幼児、高齢者、持病を持つ人たちを把握する事や、繰り返し呼び掛けて自ら申告して貰う努力が必要のようです。

そしてもう1つ、地域の物流の拠点を把握しておく事がオススメだそうです。実は、避難所の近くにある事も多い地域の物流拠点には、医薬品、食品、衛生用品、生活用品が集まっているので、そこから入手出来ると食生活や生活の改善がはかれるとのこと。避難所の中でスタッフや周囲の人たちと相談をして、地域の物流拠点を調べて利用出来れば生活が改善できるかも知れませんね。『出典:『JVOAD主催第4回全国フォーラム分科会#17 発表資料より』

印象に残った内容を本当に部分的に簡単にお伝えしてきましたが、以上でJVOAD主催の全国フォーラムについてのご報告は終わりにします。拙い文章でしたが、お読みいただきありがとうございました。

紙面の都合で、最後に少しだけになりましたが、自宅の小さな庭や近所で生き生きと育つ植物たちと、知り合いが育てている薔薇をご紹介します。

 

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写真はすべて(c)JPF 

地域時事業部 小泉

「交流の場作りと心のケア」セミナーを開催~心の拠り所となる場を目指して~

3月13日、ジャパン・プラットフォーム(JPF)加盟団体であるMdM(世界の医療団)の主催、ふくしま連携復興センター、みんぷく、及び相馬広域心のケアセンターなごみ(なごみ)の共催として、避難指示解除になった福島県浜通りにある富岡町文化交流センター学びの森で「交流の場作りと心のケア」セミナーを開催しました。

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心のケアプログラム MdMコーディネータから挨拶

JPFは今回、ふくしま心のケアセンターと共に後援団体という立場から本セミナーに参加しました。

当日、交流の場作りを行う支援団体、福島大学相双地域支援サテライト、Next Commons Lab南相馬、曹洞宗復興支援室、ふくしま心のケアセンター、NPO法人ビーンズ、みんぷくのコミュニティ交流員、川内村の保健師さん等約40名の方々が参加しました。 

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サロン活動やコミュニティ交流活動の現場の方々に多数お越し頂きました。

MdM(世界の医療団)はJPFの助成事業として、心のケアの専門家である精神科医や専門看護師、臨床心理師、社会福祉士を福島の浜通り避難指示解除地域に派遣してきました。

そして、クリニックや心のケアセンター、仮設集会所、復興公営住宅集会所、コミュニティ拠点等で多岐に渡り活動を展開してきました。内容も診療レベル、集団活動レベル、サロン活動・交流の場作りレベル、訪問活動レベル等のさまざまな階層で住民に溶け込んだ活動を実施してきました。 

セミナーでは、MdMの米田祐子さんの挨拶に続き、「集団活動を通しての こころのケア」についてなごみの立谷洋さんとMdMの 横内弥生さんからこれまでの経験を共有いただきました。

その後、「避難指示解除地域の集まる場」での支援活動の事例紹介がMdMの小松原ゆかりさんとなごみの伏見香代さんの掛け合いで行われました。

そして、「若者の社会参加を促す支援」について、なごみの西内実菜さんから発表がありました。

休憩を挟んで、「グループワークによる学び、 経験、 課題の共有-住民との接し方、交流の場づくり-」として参加者の中で、グループごとに話し合いを実施しました。

和気あいあいと和やかな雰囲気の中でセミナーは行われ、アンケート結果も「とてもためになった」という好意的な意見が多数よせられました。 

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グループワークの後の情報共有

福島は特に浜通りの避難指示解除が相次いで行われ、帰還が進む相馬地区及び双葉地区からの避難者を多く受け入れている、いわき等では地域づくりのニーズと併せて、こころのケアのニーズが高まっていくことが予想されています。

そこで、こうした専門家と繋がりながら交流の場やコミュニティベースで、心のケア活動の裾野を広げていくことがさらに重要になってきています。 

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心のケアの物づくりの作品展示

今回のような繋がりが発展し、ネットワークが広がることで、より多くの人達による何気ない交流の場が増え、心の癒しを得られるようになれば良いと感じました。 

東日本大震災から8年、今でも現地では生活基盤や環境の激変に伴うストレスや疲労、移転のたびに新たなコミュニティを築いていかなければならない精神的負担など、被災者の方々は多くの課題に直面しており、心の拠り所となる場が求められています。

今回のセミナーがその一助になればと願っています。 

 

写真は全て(C)JPF

JPF地域事業部(福島担当) 山中 努

福島県浜通りの今とこれから (3/5 JPF主催 復興庁コーディネート事業報告会を開催しました)

■8回目の3.11を迎えて

 今月の11日で、東日本大震災発災から8年が経過しました。

堤防や公営住宅などの、いわゆるハード面における復興の順調な進捗が語られる一方、今なお続く在宅被災者の課題、山積みされている除染土やその再利用、先の長い廃炉への道筋など、『復興の終わり』と『終わらない復興』の双方が強調された情報が3月に集中して報道されたように感じました。

 ■ジャパン・プラットフォーム(JPF)の福島での活動と報告会の開催

 JPFでは、2011年から続く東日本大震災被災者支援 に加え、復興庁の被災者支援コーディネート事業を活用しながら、福島の避難指示解除地域でのコミュニティ再生の支援と福島県域で広がる可能性のある生活困窮などの支援者ネットワーク形成のサポートを2017年度から行っています。

  3月5日にはこの1年間の活動を総括して、私どもが事業を通じて関わりを持つ9つのネットワークに関する活動の状況報告を都内で開催しました。

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復興庁の事業を通じて、地域と行政の協働に関わることができた

JPFではネットワークの支援として、

1.浜通りの避難指示解除地域においては、まだ少ない居住者同士や支援者とのつながりを作ることにより、一度は止まってしまった地域コミュニティの再生を促進することを目的としており、

2.県域においては、2020年の復興創生期間を待たず減っている外部からの支援に加え、長引く避難生活や、様々な支援制度の終了による生活環境の変化や困窮に陥ってしまいそうな方々が増えてしまう可能性があり、4つのテーマ※1に絞り、支援者のネットワーク形成を行っています。

           ※1:4つのテーマ:生活困窮者、心のケア、子ども食堂、子育て女性

限られた数の住民や支援者のつながりを作ることにより、連携しながら地域コミュニティの再生や大小さまざまな課題に向き合っていける、外部からの支援の受け皿にもなれるような仕組みを残すことが目的です。

 このようなネットワークは、それ自体では一見、効果が見えにくいため、今回の報告会では浜通りで活動されている方々、とくに各地域でのネットワーク形成に関わられている関係者にご登壇いただき、現場に暮らし活動する者として、人と人のつながり、ネットワークによってどのようにコミュニティ再生が行われているか、お話を頂きました。

 ■浜通りの今 3年目の“ゼロからの”まちづくり

 震災からは8年経っていますが、福島県の浜通り(福島県は会津、中通りを合わせ、大きく3つの地域に分かれています。)、特に福島第一原子力発電所から20km圏内の避難指示が出された地域や放射線量が高かった地域は、避難指示解除からはまだ3年しか経過していません。JPFは復興庁の予算を活用し、重点的にその地域に関わっています。

また、『避難指示解除』 と言っても、地域のすべての場所が解除されたわけではなく、浪江町などは未だ8割近い町域が『帰還困難区域』のままです。

そして人口についても、各自治体の住民登録データでは、震災前の人口の7割から8割程度の住民が居住されているように見えますが、実際には震災前の5%から6%程しか居住されていない町もあります。

文字や数字だけの情報では、なかなか復興の実情がつかみにくいのではないかと思います。

  このように、浜通りでは一度停止したコミュニティの再生が始まったばかりのところで、今まさに“ゼロ”から地域づくりを始めているところです。

 各市町村ではまちづくりに力を入れ始めているところであり、また幸いなことに、住民側からまちづくりやコミュニティ再生に取り組まれている方々がおられ、

 官民問わない情報交換の場や産品づくりを通じた見守り、地元の情報収集、地域外から来られる方々の受入れなど、様々な活動をされています。 

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家庭菜園と産品づくりの組合せで行われる小高の見守り体制を紹介

 報告会では私どもが関わっている9つのネットワークの活動状況の報告に加え、南相馬市小高区から廣畑裕子さん、浪江町から和泉亘さん、双葉郡(富岡町)からは平山勉さん※2にお越しいただき、コミュニティ再生についてお話いただきました。 

 三人の方々からは地域の現状や人口が少ない町で行う町の魅力を活かした活動を紹介いただきましたが、共通しておっしゃっていたことは、『自分たちの地域の事は、自分たちで発信しなくてはいけない』という事でした。

 新しい地域づくりを行う中で、地域を問わず多くの方々に関わって頂きたい一方、福島や浜通りに関する情報は、発信される主体によっては現状とのズレが大きく取り上げられてしまうことが多いそうです。 

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双葉郡の内側からの情報発信を続ける双葉郡未来会議、 ふたばいんふぉの活動の活動紹介

 JPFでは次年度も定期的に被災地の情報を伝える場を設けていきたいと考えております。

 

※2:今回登壇いただいた方々について(活動のご紹介)

・南相馬市小高区 :廣畑裕子さん おだかぷらっとほーむ(http://3bplus1-odaka.jp/

・浪江町:和泉亘さん なみとも (https://futabafuture.com/2018/07/27/voice029/)

・双葉郡(富岡町):平山 勉さん 双葉郡未来会議(https://futabafuture.com/

 ふたばいんふぉ(https://futabainfo.com/

 

写真はすべて(C)JPF

 

ジャパン・プラットフォーム(JPF)地域事業部 藤原 航

 

地元主導の復興を目指して:熊本で、「助成金の獲得セミナー」を開催しました。

もうすぐ3年を迎えるジャパン・プラットフォーム(JPF)熊本地震被災者支援では、地元で復興を担う皆さんへのお手伝いの一つとして、2019年が明けた112日(土)に、くまもと災害ボランティア団体ネットワーク(KVOAD)と共催で「助成金の獲得セミナー」を開催しました。

一般的に災害が発生すると、発災直後の緊急期から復興に向かう時期になるにつれ、助成団体や企業などが実施する助成金の公募が少なくなる傾向があります。しかし、被災者それぞれが抱える個別の深刻な困りごとが見えてくるのは、仮設住宅を出る被災から2年を過ぎた頃で、この時期こそ、丁寧な支援活動が必要となります。

そのために、地元の支援活動団体を対象に、必要な資金を相応しい助成団体から獲得するための「秘訣」を、JPFの被災者支援にいつもアドバイスをいただいている、東洋大学の松丸亮教授に解説していただきました。

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わかりやすい講義をしてくださる松丸先生 ©KVOAD


参加者は9団体、16名で、午前中は申請書類の書き方や、助成団体を選ぶポイントを勉強しました。面白い試みとしては、ある助成団体に申請したものの「採択されなかった申請書」を実例として紹介し、どこがどう良くなかったのかを細かく説明していきました。

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真剣に聞き入る参加者の皆さん ©KVOAD

 午後は、「なぜ助成金が必要なのか?」「なぜ自分たちが支援活動をするのか?」という足元を見るところから始め、そのうえで抱えている課題と理想とのギャップを可視化し、人材やお金を投入すると被災者にどう裨益するのかということを、体系立てて計画を作っていく、「ロジックモデル」のグループワークを実施しました。

 今回の課題では、「みなし仮設住宅の住民への支援」を例として取り上げました。

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全員で確認しながら課題を抽出し、解決に導く作業 ©KVOAD
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自分たちで、解決までの体系づくりに挑戦 ©JPF

申請書では、課題から解決までの流れを、一本筋を通して説明することで、助成団体に「この支援は被災者の方々にとって必要な支援だ!」、「この支援は是非実施してほしい!」と思わせることができます。

また、他の団体や、得意分野の違う支援者同士が繋がることで、カバーできる範囲が広がり、より丁寧に被災者に接する支援が可能となり、皆で力を合わせることで何倍もの力を発揮できることがあります。「繋がること」の効果を実感していただけたのではないかと思っています。

当日の様子は、動画でも紹介しています。

https://www.youtube.com/watch?v=hJQDGPeMKkE&t=2s

 JPFはこの他にも発災当初から、被災地支援の知見を復興に携わる支援者へ伝えていく活動に、力を入れてきました。

2017年には、熊本を支える地元団体向けに、「復興経験と知見をつなげる」ための座学研修を開催し、参加者の中から、東北、神戸、中越など過去の被災地への視察と、活動資金を助成しました。

https://www.japanplatform.org/contents/kumamoto_workshop/

 その座学研修の23講義の内容をまとめ、JPFのWebサイトでもご紹介しています。

  • 地元主体の復興経験と知見を伝える講座のエッセンスがまとまった「熊本地震被災者支援 記録誌」が完成しました。

https://www.japanplatform.org/programs/kyushu-disaster2016/documents.html

興味のある講座だけダウンロードすることも可能です。使い方は、【活用のヒント】をご参照ください。

熊本地震だけでなく、西日本豪雨や北海道胆振東部地震の被災者支援や、今後災害が発生した時の復興に向けた備えとして、大変参考になる内容となっています。是非、Webサイトを覗いていただき、グループワークや勉強の機会などにご活用ください。

 JPFは、2019年も熊本の皆さんを応援していきます。

 

ジャパン・プラットフォーム(JPF)地域事業部 齋藤 真樹

今も求められる福島でのボランティア:災害復興支援ボランティアネット

今回は福島県浜通り避難指示解除地域のボランティア状況について、ご紹介したいと思います。

みなさんの中には、東日本ではボランティアがもう要らなくなったと思っている方も多いのではないでしょうか?

ところが、避難指示が解除され、帰還が進む福島県浜通りの南相馬市小高区や浪江町では、今まさにボランティアが必要とされています。

ジャパン・プラットフォーム(JPF)では、「共に生きる」ファンドを通して、こうした今も続く福島県浜通りのボランティアニーズに対応している、「災害復興支援ボランティアネット」の活動を支援しています。

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災害復興支援ボランティアネットのボランティアセンター立ち上げ時から使用している支援車両

災害復興支援ボランティアネット(以下、ボランティアネット)では、今でもボランティアの依頼が殺到し毎日問い合わせがきているのですが、慢性的なボランティア不足のため、なかなか対応が間に合っていないとのことです。最近では浪江町への帰還者が増えてきており、依頼がさらに増えているとのことです。避難指示が解除されて1年以上になる浪江町では現在までに800人が浪江町に帰還していると言われていますが、実は1000人以上の方が既に住んでおり、自治会の方によると夜間人口は1400人程いるという情報もあります。

とくに帰還する前に家とその庭を綺麗にしてもらいたいという依頼がボランティアネットには多く寄せられており、浪江町役場も積極的にボランティアネットのパンフレットを設置したり、問い合わせ先を紹介したりしているそうです。町役場から直接、同団体のボランティアセンターに依頼があるケースも増えているとのこと。

同時に、頻発している日本国内各地での災害対応により、多くのボランティアスタッフが分散しており、人員不足に陥り、なかなか作業件数が減らないという実態があります。冬場を迎え、ますますボランティアが減るのではないかと心配されています。

一方、企業や民間団体の中には予算を組んで1年に何回か来てくれる組合や、重機持ち込みで来てくれる団体もあり、大変心強いそうです。福島県の新人研修でも、行政職員としては行けないので、有志として参加しているケースもあるそうです。

南相馬小高区では、清掃作業の8割程は終了しているそうですが、逆に空き家で雑草等の手入れがされていない所が目立つ状況で、害虫や害獣など市街地の生活環境整備は急務となっています。しかし、依頼者からの要請がないと手をつけられないという状況もあります。同団体では、害獣対策のため柿の木などの果樹の木伐採の依頼も受けているそうです。

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害獣がエサを探しに来たり、巣を造ったりする茂み

帰還はしないが、自宅を綺麗にしておきたいという人も多く見うけられます。

仮設に住んでいる方の中には鬱になってしまい片付けができない人が多く、引っ越しもできない状況もあります。住まいを綺麗にしてもらったという情報が人伝てで流れて自分も綺麗にしてもらいたいという気持ちになる人が多いそうです。荒れ果てた家を綺麗にしてもらったことで、避難者の心も整理されスッキリすることが多いとのこと。

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生い茂る草木を刈り込んだところ

似たような流れで、同じ地域の人が帰還したから、自分も帰還しようと思う方も増えており、自分の家も綺麗にして欲しいと依頼が増えているそうです。

ボランティアさんと話をしたいからか依頼者本人も一緒に草むしりをするというケースも出てきており、自立を促すきっかけにもなっているそうです。

同団体では、放射能汚染のために殺傷指示が出た牛を飼い続けている「希望の牧場」の飼料なども、刈った草を選別して供給しており、地域でもさまざまな所から感謝されています。

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牛のエサ用と暖房のペレット用の見本

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草や枝を粉砕し牛のエサ用と暖房のペレット用に粉砕

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殺傷処分指示の出た牛を生かし続けている「希望の牧場」

みなさんも我こそはと思う方は、是非一度、災害復興支援ボランティアネットにお問い合わせください。

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活動中のボランティア

 

写真はすべて(C)JPF

ジャパン・プラットフォーム(JPF)地域事業部 山中 努

【熊本地震被災者支援:火の国会議200回目の節目を迎えて - 復興の経験を次につなげるKVOADの活動】

特定非営利活動法人 くまもと災害ボランティア団体ネットワーク(以下「KVOAD」)が熊本地震発災直後から、支援団体や地域団体などの情報共有や課題解決を主な目的とし開催してきた「火の国会議」が、2018117日に200回を迎え、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の公式Facebookでも紹介しました。

https://www.facebook.com/japanplatform/photos/a.146936028725762/1993383127414367/?type=3&theater

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2018/12/4 第204回 熊本「火の国会議」会議の様子 ©KVOAD

今年は、西日本の豪雨災害や、北海道胆振東部地震など、大きな災害が多発し、被災地熊本の状況をなかなか発信できずにいましたが、復興期をむかえ仮設住宅(建設型および借上型)から、再建した自宅や災害公営住宅など恒久住宅への転居という大きな波が来ようとしている現地の様子を、ご紹介したいと思います。

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私たちの頼れるボス。超多忙にもかかわらずいつも早起き、KVOAD代表理事 樋口さん ©KVOAD

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司会はお手の物。南阿蘇村住民の生活再建支援にも取り組む、KVOAD宮崎さん ©KVOAD

現在、仮設住宅に入居する方の数は、約10,000世帯、23,000人で、発災から1年後の昨年4月の約47,000人、2年後となった今年の4月の約38,000人に比べるとかなり減っています。

 【応急仮設住宅等の入居状況(H30.10.31現在) 】http://www.pref.kumamoto.jp/common/UploadFileOutput.ashx?c_id=3&id=25562&sub_id=3&flid=168870

特に今年は、自宅を再建し仮設住宅を出る方の動きに勢いが出てきており、建設型仮設住宅の約4割に空きが出ているとのことです。

借上型住宅(みなし仮設住宅)の提供期間も、熊本市では来年4月以降、ほんの一部の世帯を除き、延長が認められないことが決まっています。

今後、災害公営住宅の整備も進みますが、行政は、生活再建の目途が立たない世帯に対して、個別に対応していくとのことです。 

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この日は、いつもの情報共有会議の後の検討課題として、見守り支援者からの視点から熊本YMCA藤川さんより、御船町地域支え合いセンターの事例紹介がありました。 ©KVOAD

このような事態に備えて、JPFと協働で支援活動を担っているKVOADは、当初から変わらず県や市町村、支援団体、被災者からの情報を収集して、先手を打つ支援を日々考えています。

そんな熊本の支援団体の動きのうち、特徴的な活動を紹介します。

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参加した支援団体の皆さん ©KVOAD

①熊本地震での震災復興支援の足跡やノウハウを今後に繋げたい

~くまもと災害ボランティア団体ネットワークへの資料整理・分析プロジェクト~

https://www.panasonic.com/jp/corporate/sustainability/citizenship/pnsf/probono/kvoad.html

これは、KVOADがPanasonicさんのプロボノ支援を受けて、火の国会議の全議事録をデータベース化し、災害が発生した際にいつ、どんな困りごとが多く発生するかという変化を蓄積したものです。例えば、「避難所」というキーワードは最初の6か月、「入浴・トイレ・衛生」は5か月、「ブルーシート」は3か月、毎回のように会議の議題としてあがりましたが、それ以降はほとんど話題にあがらないということを、一目で把握できます。災害発生後、時間の経過とともに変化するキーワードを導き出すことで、今後災害が発生した際にどんな課題があるのかを早めに予測でき、他の地域での災害でもおおよそ同じような変化となることを見越し、支援策を前もって準備することができます。

 ②「むすぶっくプロジェクト」

https://www.kvoad.com/2018/10/blog-post_23.html

被災者が生活再建などのためにまとまって暮らしていた仮設住宅から引っ越し、新たな環境での生活を始めると、それぞれが違う場所で生活することで支援が届かなくなり、困りごとがあったときに気軽に相談できる相手がいなくなってしまいます。そこで、新しい生活環境でも繋がりを切らずに支援が受けられるよう、被災者と地元の支援団体をつなぐ「支援の手引き書=むすぶっく」の作成を進めています。「新しい災害公営住宅などで再びコミュニティを作るきっかけが無い」、「引っ越ししたいけど大きな荷物をどう処理したらいいのかわからない」、などの困りごとの解決をどこかに相談したいという時に、辞書のように使ってもらえる情報誌になります。

 

その他、JPFでは、来年2019年1月に、支援関係者向けに【支援活動計画作成のポイントと、事業計画書/終了報告書類の書き方講座】の開催を予定しています。

JPFは、2017年からKVOADとの協働で、熊本が地域のチカラで復興できるよう「地域力強化」を支援方針に掲げ、施策の一つとして「地元の中間支援団体の発掘と立ち上げ事業」を行い、2017年は5団体、2018年は2団体に助成しています。

https://www.japanplatform.org/contents/kumamoto_tsunagu/

残念ながら事業の採択に至らなかった団体もありました。その理由として、「被災者のニーズにヒットする支援事業の計画をどう立てていいかわからない」、「内容が伝わる事業計画書をどう書いていいかわからない」という状況があることがわかりました。その解決のため、地域で今後も支援を担う団体向けの、「ニーズを把握した、被災者のためになる事業の作り方と、書類の書き方」をJPFxKVOADならではのやり方で、一緒に学ぶ機会としたいと思っています。

詳細については、決まり次第告知しますので、是非ご参加ください。

 

ジャパン・プラットフォーム(JPF)地域事業部 斎藤 真樹

子ども達に伝えたい故郷、川内の原風景 ~イワナ釣り体験授業~

 ジャパン・プラットフォーム(以下JPF)では、復興庁被災者支援コーディネート事業を活用して、福島県浜通り避難指示解除地域のネットワーク体の基盤強化、人材育成を行っています。

 その一環として、以前もこのブログで紹介した福島県川内村での「川内コミュニティ未来プロジェクト会議」(避難指示解除になった川内地域の繋がりを取り戻すために立ち上がったネットワーク体の一つ)を支援しています。ここでは、避難指示後にバラバラになってしまった子どもたちを繋ぐ「ふるさと学習」を、川内村内外の支援団体と婦人会など地元組織と連携・調整しながら準備してきました。

 この企画では、自然と共存してきた川内の文化、アイデンティティを深く掘り下げることで、新しいこれからの川内の在り方を探ると共に、それを原発事故で分断された子どもたちとの繋がりを取り戻すために体系化し、オルタナティブ教育として伝えていきます。これは原発事故により多大な被害を受けた川内で、住民が再び立ち上がる力を生かし、新しい川内をつくり、さらに何があってもへこたれず、それを守っていくためのレジリエンスモデルのプロジェクトとしてJPFではとらえています。そのために住民目線、村人目線、子ども目線でのニーズに合致したキャパシティービルディングを行っていきます。(ちなみに川内村だけでなく、川内地域ということで近隣の同じく避難指示解除になった、都路村等からも協力に来ていただいています。)  

 前回、私のブログでもお伝えしましたが、「川内っ子を育む井戸端会議」と称して川内村のみなさんにお集まり頂き、川内にとって大切なこと、伝えていきたいことを話し合ってもらいました。

 そして、それから実際に始まった川内ふるさと学習の第一回として、川内地域の人々の生活に深く根差すイワナを体験学習の題材に取り上げました。

 川内は縄文土器も多く出土し、太古から人々が豊かな自然と共存して暮らして来たことが伺えます。夏井川と木戸川が上流でぶつかり合いせき止められることで、餌となる川虫が多く生息し、イワナなどの川魚が数多く生息します。植物の種類も多く、キノコ類も数多く、木の実も豊富なことも背景にあると考えられます。炭となる原料の木の種類も多く、炭火は80年来日本一と言われており、イワナを取って炭火で焼いて食す暮らしは、昔から川内村のアイデンティティそのものであり、食べ方も他の地域にないほど多様です。たとえばイワナ飯やイワナ汁、蕎麦のつゆもイワナのだし汁を使ったり、また囲炉裏の上に藁をつるしてイワナを刺し、常に蒸していたりしたそうです。もちろん囲炉裏端には串刺しにしたイワナが火に立てかけてあるのが常でした。

こうした川内村が川内村である生活を体験するためにまず、今回の「第一回ふるさと学校」のテーマとしてイワナ釣りの体験授業を行いました。

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イワナ釣りを体験する子どもたち

 講師の先生からは、文化の面、生態の面からお話を伺いましたが、川内のイワナは一万年前、縄文時代に海から川を上ってやってきてそのまま住みつき、独特の模様を持つようになったそうです。縄文時代から人々は川内で主要なたんぱく源としてイワナを取って食べてきたそうです。

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みんな大好き、西山先生からのご挨拶

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イワナについてのお話を聞く子どもたち

 お話しを聞いた後、子どもたちはみんなでイワナ釣りを体験し、釣ったイワナを調理して食べました。

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イワナを捌くのも初めて
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イワナを塩焼きに!

 婦人会の方々が作ってくださったイワナ汁、イワナ飯もとてもおいしかったです。

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イワナ飯を作る婦人会の方々

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イワナ汁もできました!
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自分で釣ったイワナ料理を満喫する子ども達!いただきます。

 今回この企画を行った場所は、川内村にある「いわなの郷」というところですが、イワナも養殖で管理され、放射線量もモニタリングポストで可視化されていて、安心できる子どもの遊び場、居場所としても機能しているという声も聞かれました。福島県外や福島県内の飯館村などからの参加者もありました。

参加者の中で子ども同士仲良くなり、自由に遊びを見つけて川遊びしたりしていました。

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川遊びのようす

自分たちで小川をせき止めたり、イワナの稚魚を捕まえてきてそこに放流したりして、なかなかみんなで川遊びということもあまり機会がないようで、子どもたちも目をきらきらさせながら元気いっぱいにはしゃいでいました。

 

▼前回の「川内コミュニティ未来プロジェクト会議」に関するブログは、こちら

「子どもに何を伝えたいですか? ~川内っ子を育む井戸端会議~」

 

写真は全て(C) JPF 

 

ジャパン・プラットフォーム(JPF)地域事業部 山中努