ジャパン・プラットフォーム(JPF) 公式ブログ

緊急人道支援組織、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)のブログ。NGO・経済界(経団連、企業など)・政府(外務省など)が連携し、国内外の緊急人道支援を実施。寄付金・募金受付中。

災害時の食支援ネットワーク研修—セカンドハーベスト・ジャパン(休眠預金活用事業)

食品応援パッケージを作成/鹿島郡中能登町/2024.11.21 ©2HJ

災害時の食支援ネットワーク構築に取り組むJPF加盟NGO、セカンドハーベスト・ジャパン (2HJ) がJPF休眠預金活用事業の一環として、2024年11月20日から22日の3日間、能登半島で支援関係者向けの研修会を実施しました。山口や広島などで活動するフードバンク団体や防災士を中心に、10名ほどが参加しました。

初日:地元と支援団体の連携

研修初日は、JPF加盟NGOのパルシック(PARCIC)と連携する重蔵神社(輪島市) の担当者から、「地元と支援団体の連携による食支援」について活動内容が共有され、活発な意見交換が行われました。

熱心な意見交換が行われた/輪島市/2024.11.20 ©JPF

2日目:食品応援パッケージ作成と寄り添う支援の姿勢

2日目の午前は、2HJが中能登町で拠点にする倉庫で、フードバンクジャパン七尾とフードバンクとやまの2団体が、「地震発災当時の状況と団体としての動き、どのような役割を持って活動にあたったか」を話しました。この中で、フードバンク七尾の方が語った「ものは直るが、心は治らない。(被災者に出会ったら)寄り添ってあげてほしい。」という言葉が、参加者の心に深く響きました。被災者支援において、物資だけでなく心に寄り添う姿勢の大切さを改めて考えさせられる一場面でした。

続いて、被災した方々に届けるための「食品応援パッケージ」を作成しました。最大4,500箱(1,500世帯に3回)を配付する予定です
倉庫では、JPFに支援いただいているコマツのフォークリフトが重要な役割を担っていました。フォークリフトのおかげで荷物をたて積みでき、平置きと比べて保管物資の量を増加させることができます。必要とする物資の大量保管をすることで、支援団体への食品供給量の増加につながっています。

お昼休憩を挟んだ後、フードバンク能登(鳳珠郡穴水町)に移動し、「フードバンクとしての現在活動と今後の被災自治体との連携」をテーマにした報告が行われました。

希望者に配付される食品応援パッケージ/鹿島郡中能登町/2024.11.21 ©JPF

3日目:珠洲市での現地視察

最終日は、珠洲市の視察です。珠洲市健康増進センターで「避難者の訪問巡回事業と食支援の連携」をテーマに、担当の方にお話しいただきました。

寄り添う支援を目指して

3日間の研修を通して、参加者は被災地の現状に触れ、復興が思うように進んでいない現実を痛感し、支援の課題や難しさをあらためて感じていました。また地域連携の重要性を再認識し、自団体の災害時の行動を見直すきっかけになったという声がありました。

今回の経験を通して、支援の現実と課題を肌で感じることができ、今後の支援の在り方についても、具体的なイメージを描き始めている様子が印象的でした。JPF、2HJは、今後も関係団体と連携し、研修で得たことを支援に活かしていきます。

※JPF助成事業(能登半島地震被災者への食料支援事業)



多言語対応の相談会を初開催 — 移住連の活動紹介(休眠預金活用事業)

移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)」は、JCIE(日本国際交流センター)とJPF(ジャパン・プラットフォーム)が共同で実施する「アウトリーチ手法による外国ルーツ住民の自立支援」事業(アウトリーチ事業)の実行団体の一つです。

移住連は、8月24日に茨城県常総市で外国ルーツを持つ方を対象とした相談会を開催しました。この相談会は、移住連がアウトリーチ事業の中で実行団体として取り組む「新移民時代型支援ネットワーク構築事業」の一環で、移住連はこれまで、ベトナム語での相談会は実施してきましたが、多言語対応は初めての試みです。
今回の相談会は、茨城NPOセンター・コモンズ、カトリックさいたま教区オープンハウスの協力のもと行われました。会場となったえんがわハウスは、温かい雰囲気で、相談者がリラックスして話すことができました。

会場となったえんがわハウス©JPF

初の多言語対応、オンライン・対面・電話での柔軟なサポート

今回の相談会では、ベトナム語、クメール語、ポルトガル語、英語など、8言語での相談を受け付けました。就労に関する相談や生活困窮に関する相談が多数寄せられ、オンライン、対面、電話による対応が行われました。相談内容に応じて、専門知識を持つ支援者や弁護士、通訳が複数で対応しました。一件一件、丁寧な相談が行われ、中には1時間を超える相談もありました。

1つ1つの相談に数人体制で応じる©JPF

事前には30件近くの申し込みがあり、当日にも飛び込みでの相談がありました。10時から14時までの開催時間で、30件の相談に対応。また、即時に解決が難しい問題については、継続的な相談対応や他の団体との連携によるフォローアップが検討されました。

担当者からの一言

本事業の主担当である移住連の安藤さんは「外国人労働者が集住する北関東という地域性のためか、労働問題に関する相談が多かったです。多言語にしたことで、コミュニティ毎で相談の特徴も少なからず把握できました。群馬から直接会場に来られた方も数名いらっしゃいました。ひきつづき、地域で活動する団体や移民コミュニティのメンバーの方たちと一緒に、複合的課題に対応できる支援ネットワークの構築に取り組んでいきたいです」と語っています。

移住連の安藤さん(手前)©JPF

このような活動を通じて、外国ルーツを持つ方々が地域社会で安心して生活できる環境が整うことを願っています。JCIEとJPFも、本事業の資金分配団体として、引き続き実行団体の活動をサポートしていきます。

能登での支援状況をYouTubeで公開(休眠預金活用事業)

JPFのYouTubeチャンネルで、2021度休眠預金事業の一環として実施している能登での食支援活動を紹介する映像を公開しました。今回の映像は、JPF加盟NGOであり、本事業の実行団体の一つでもあるセカンドハーベスト・ジャパン(以下、2HJ)が、能登での支援活動を行っている様子をおさめたものです。

今年1月にもYouTubeでご紹介した通り、発災直後2HJは災害支援団Gorillaなどと連携し、炊き出し支援を実施しました。今回の映像は、今年5月に撮影したもので、緊急支援がひと段落した後の現地の支援状況や、2HJが中能登に設置した食支援拠点の整備状況をご覧いただけます。また、現地で活動する他の支援団体との連携の様子も紹介しており、地域の支援ネットワークが構築されている様子がわかります。

 youtu.be

 

復興の道は一朝一夕にはいかない現状において、支援団体がどのように支援を続けているのかをご覧いただけると思います。

JPFは今後も、YouTubeチャンネルで、休眠預金事業を含む様々な取り組みを発信していきます。

関連動画:2024能登半島地震 被災地報告 #6「石川県七尾市:避難所の炊き出し」

youtu.be

外国ルーツ住民の自立支援:シャンティ国際ボランティア会の活動紹介(休眠預金活用事業)

JPFは、休眠預金活用事業(2022年通常枠)として、日本国際交流センター(JCIE)と共同で「アウトリーチ手法による外国ルーツ住民の自立支援」事業を実施しています。この事業には全国から6つの実行団体が参加し、外国ルーツを持つ方々の悩みや問題の改善・解決に取り組んでいます。

今回は、JPF加盟NGOであり、本事業の実行団体の一つでもあるシャンティ国際ボランティア会の活動をご紹介します。

公益社団法人シャンティ国際ボランティア会は、2020年から日本国内に住む外国ルーツの方々への支援を開始しました。2022年通常枠の事業では、これまで東京都豊島区で実施してきた外国ルーツ住民支援の持続性を高めるとともに、周辺地域である練馬区にも支援モデルの波及を目指しています。

この事業では、社会福祉協議会(社協)や弁護士、地域の支援団体と連携し、互いの特色を生かしながら地域の支援ネットワークを構築することで、外国ルーツ住民の持続可能な支援を目指しています。

練馬区でのフードパントリー・相談会

7月3日、東京都練馬区において、練馬区社会福祉協議会の事務所を会場に、フードパントリー・相談会が行われました。これまで練馬駅周辺で開催していた相談会ですが、社協事務所での開催は、豊島区も含め、今回が初めてです。

事業担当の村松さんからのコメントもいただきました。
「社協事務所で開催することで、担当以外の多くの職員さんに活動を直に見ていただき、事業への理解を深めていただけたことも大きな収穫でした。」

©シャンティ国際ボランティア会

©シャンティ国際ボランティア会

シャンティ国際ボランティア会は、今後も引き続き、生活に悩みを抱えていらっしゃる外国ルーツ住民のためのフードパントリー・相談会を開催する予定です。

このような活動を通じて、外国ルーツを持つ方々が地域社会で安心して生活できる環境が整うことを願っています。JCIEとJPFも、本事業の資金分配団体として、実行団体の活動を引き続きサポートしていきます。

「つながり」で変えていく在留外国人支援 アウトリーチ事業 第3回連携会議(休眠預金活用事業)

JPFは、休眠預金活用事業(2022年通常枠)として、日本国際交流センター(JCIE)と共同で「アウトリーチ手法による外国ルーツ住民の自立支援」事業を実施しています。この事業には全国から6つの実行団体が参加し、外国にルーツを持つ方々の悩みや問題の改善・解決に取り組んでいます。

6月7日、8日の二日間にわたり、大阪府生野区のいくのパークで「アウトリーチ事業 第3回連携会議」を開催しました。この会議は、実行団体のほか、在留外国人支援に取り組む地域の支援団体や個人が集まり、在留外国人の質の高い支援のために、どのように「つながり」を築いていくかをテーマに行いました。

初日は、エコマップを使ったワークショップと公開パネルディスカッションを行い、2日目にはフィールドワークを実施しました。

会場となった「いくのパーク」小学校の跡地を活用している ©JPF

1日目の第1部:エコマップを使って「連携」を考える
会議の初日、第1部では「エコマップを使って『連携』を考えてみる」というクローズド・ワークショップが行われました。実行団体は、自分たちの活動がどう地域と関わっているか、他の団体とどのようなつながりを持っているかをエコマップで視覚化しながら、地域との連携の重要性を再確認しました。

エコマップを使って「つながり」を考えるワークショップの様子 ©JPF

1日目の第2部:公開パネルディスカッション
第2部では、地域でのつながりを活かした取り組みを紹介する公開パネルディスカッションが行われました。東京都豊島区・練馬区で外国人支援に取り組む公益社団法人シャンティ国際ボランティア会の村松清玄氏と、兵庫県神戸市で活動する認定NPO法人まなびとの中山迅一氏が、それぞれの地域に根付いた活動の成果と課題について報告しました。
続いて、「ともに生きる」地域づくりに向けた座談会が開かれ、生野区長の筋原章博氏やNPO関係者、企業が、20年後の生野区の未来を見据えた議論を行いました。

地域の課題と未来について議論する公開パネルディスカッション ©JCIE

2日目:フィールドワーク
2日目はフィールドワークとして、生野区のコリアタウンや国際市場を巡り、ガイド役のIKUNO多文化ふらっとのスタッフから、外国ルーツ住民との共生の歴史や現在について学びました。参加者は現地の文化と多文化共生の歴史を肌で感じることができました。

多文化共生を体験するフィールドワークの様子 ©JPF

生野区の背景
生野区は人口約13万人のうち、2割強が外国籍という多文化共生の地域です。特に韓国・朝鮮籍の住民が多い一方で、近年はベトナムや中国、ネパールからの移住者も増加しています。

今回の連携会議は、在留外国人支援と多文化共生を巡って、地域の変化を生み出すために「つながり」がいかに重要かを再認識する機会となりました。

今後も、JCIEとJPFは多セクターとの連携を深めながら、在留外国人支援に取り組んでいきたいと思っています。

 

災害時の食料支援体制構築 2HJが福岡と熊本で意見交換会を実施(休眠預金活用事業)

JPFは2021年の通常枠休眠預金活用事業において、高齢者、障がい者、外国人、乳幼児を抱える家族など、災害時に支援から漏れがちな方を重点的な対象とした、発災時から復興期までの食料支援体制の構築に取り組んでいます。

この事業の実行団体の一つであるセカンドハーベスト・ジャパン(以下、2HJ)は、2022年6月から中国地方で災害時の迅速な食品支援体制の整備に取り組んでいます。さらに、2023年9月からは九州地方でも食品支援体制の整備を進めています。

2HJは九州地方の支援者や団体と連携して食料支援体制の整備を行うために、5月13日に福岡、14日に熊本で意見交換会を開催しました。JPF事務局も福岡での意見交換会に現地参加しました。

意見交換会には、地域で活動するフードバンク団体、災害支援団体、ホームレス支援団体、社会福祉協議会、企業など、現地参加・オンライン参加合わせて10団体程が集まりました。各団体は、自分たちの得意分野を活かした災害時の連携について活発に議論しました。

3時間にわたる会議では、具体的な連携方法や実践的なアイデアが多数出されました。このような連携は、災害発生時に急に構築できるものではなく、平時からの関係づくりが重要です。今回の会議は、実効的な連携に向けた大きな一歩となりました。

福岡で行われた意見交換会の様子©JPF

 

 

能登の被災地での支援活動を視察して(休眠預金活用事業)

能登半島の被災地では、発災後3カ月が経過しましたが、依然として炊き出しや食料支援が不可欠な状況が続いています。特に公的支援の届かない可能性のある方々への食料確保が課題です。そんな中、私たちは休眠預金活用事業で能登での食支援に取り組む2つの実行団体の支援活動を視察しました。

セカンドハーベスト・ジャパン(2hj)では、寄贈食品を中心に被災地に食材を提供し、炊き出しの支援や食料支援を行っています。特に仮設住宅や在宅避難者への直接支援を通じて、被災された方の経済的負担の軽減を目指し、北陸のフードバンク団体等と協力しながら持続可能な支援体制の構築に取り組みます。

また、全国フードバンク推進協議会/フードバンク岩手は、現地の行政などと連携しながら被災地における支援が困難な災害弱者を中心に食料支援を行っています。長期的な支援を見据え、現地スタッフ増員や地域資源を活かした支援体制の構築に注力しています。

今回、私たちは2hjの中能登の拠点や全国フードバンク推進協議会の穴水の拠点を訪れ、活動状況を確認しました。

2hjの倉庫には、全国の企業等から寄贈された食品が運び込まれていました。この食品を直接被災者に届けるだけでなく、現地で活動する支援団体にも提供し、連携して支援活動を行うことで、より多くの方に食料を届けようとしています。

2hjの倉庫には、寄贈された食品が届けられています©JPF

一方、全国フードバンク推進協議会/フードバンク岩手では、穴水に拠点を設け、現地出身の新規スタッフと共に、物資支援に取り組んでいます。

全国フードバンク推進協議会のチームが、物資支援に向かう様子©JPF

被災地での支援活動はまだまだ必要ですが、これらの団体の取り組みにより、地域の復興に向けた一歩が踏み出されています。

www.japanplatform.org

関連映像

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