ジャパン・プラットフォーム(JPF) 公式ブログ

緊急人道支援組織、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)のブログ。NGO・経済界(経団連、企業など)・政府(外務省など)が連携し、国内外の緊急人道支援を実施。寄付金・募金受付中。

災害時の「食」を支えるために ─ ネットワークづくりの今(休眠預金活用事業)

ジャパン・プラットフォーム(JPF)では、2024年度の休眠預金活用事業として、災害時に必要な食料支援を円滑に行うためのネットワーク構築に取り組んでいます。

災害が起きたとき、「食」は命と暮らしを支える基盤です。しかし、その支援がすべての人に同じように届くとは限りません。だからこそ、平時から顔の見える関係を築き、災害時に支援が届きにくい、脆弱な立場に置かれやすい方々にももれなく食料が届けられるよう、日常から機能する仕組みを整えておくことが重要です。

本事業では、南海トラフ地震による甚大な被害が想定されている中部・近畿地方を対象に、ネットワーク構築を進めています。実行団体として参画しているのは、次の3団体です。

それぞれ異なる立場と専門性を持つ団体が連携することで、災害時により脆弱な状況に置かれやすい人々への支援について、多角的な視点から知見を整理することを目指しています。

中間評価を通じた学びと改善

本事業は3カ年計画で進められており、現在は2年目に入っています。この節目で実施されるのが「中間評価」です。

休眠預金事業に取り組む団体では、活動の成果を単なる実績として確認するだけでなく、社会にどのような変化(インパクト)をもたらしたのかを把握・検証する「社会的インパクト評価」を重視しています。この評価は、事業開始前の計画段階から、実施中、そして終了後に至るまで継続的に行われ、事業の質を高めながら成果の最大化を目指す仕組みです。

その中で中間評価は、事業期間の途中でこれまでの取り組みを振り返り、進捗や成果、そこから見えてきた課題を整理する重要な機会です。さらに、評価を通じて得られた学びをもとに、残りの期間でより効果的・効率的に成果を創出するため、事業設計や実施方法の見直しを行うことを目的としています。

本事業では、残り約1年半の期間を見据えながら、連携のあり方や具体的な活動内容を再検討し、めざす目標に着実に近づいていけるよう取り組んでいきます。

対話を重ね、連携によって生まれる支援を探して

個別の団体ごとに事業や評価に取り組むことも可能ですが、本事業では災害時にJPFと実行団体同士が連携して支援にあたることを目指しています。そのため、平時から対話や議論の時間を大切にしています。

今回も中間評価の開始にあたり、各団体が集まり、課題と解決方法についてともに考え、意見を交わす機会を持ちました。会場はJANPIAさんの会議室をお借りし、約2時間半にわたる密度の高い話し合いを行いました。

限られた時間の中で議論しきれない部分もありましたが、こうした対話の積み重ねが連携をより強固にし、実効性のある支援体制の構築につながります。
事業はこれから後半戦に入ります。それぞれの強みと知恵を持ち寄りながら、誰ひとり取り残さない食料支援の仕組みづくりに、引き続き取り組んでいきます。

(冒頭の写真は、当日の会議の様子©JPF)

 

 

災害支援の現場で生かす スフィア基準とPSEAH研修を実施しました(休眠預金活用事業)

災害時の支援では、被災者の生活や尊厳に深く関わるからこそ、支援の質や配慮のあり方がこれまで以上に問われています。こうした背景を踏まえ、国際的に共有されている人道支援の基準を日本国内の現場でも活用していくことが重要になっています。

2025年度、JPFでは休眠預金活用事業として実施している複数の事業を横断し、合同研修を開催しました。本研修には、2023年度・2024年度通常枠の災害支援事業に取り組む実行団体、そして2023年度活動支援団体枠の支援対象団体が参加し、人道支援の国際基準である「スフィア基準」および「性的搾取・虐待およびセクシャルハラスメントからの保護(PSEAH:Protection from Sexual Exploitation and Abuse and Sexual Harassment)」について学びました。

今回の研修の目的は、基準を“知識として理解する”だけでなく、各団体が日々の活動と結びつけながら「自分たちの現場でどう実践するか」を具体的に描けるようになることです。研修はJQANに委託し、スフィア研修は同団体が主催する通常研修に参加する形で実施。PSEAH研修は、日本国内の事例を中心に特別構成で行われました。

スフィア基準は、人道支援における質と説明責任を確保するための国際的な指針であり、近年は日本の災害対応でも注目が高まっています。対面で実施したスフィア研修では、講義に加えて寸劇を取り入れ、参加者が支援現場をよりリアルに想像しながら学べる工夫が凝らされていました。参加者が積極的に議論に加わり、実践を意識した深い理解につながりました。また、各団体が自らの活動にどのように基準を取り入れるかを考えるアクションプラン作成にも取り組みました。

一方、オンラインで実施したPSEAH研修では、国内の具体的な事例をもとにした解説やグループディスカッションを通じて、活発な意見交換が行われました。性的搾取や虐待といったテーマは重いものですが、災害時には特に弱い立場に置かれやすい人々を守るために欠かせない視点です。参加者からは「これまで意識できていなかった課題に気づいた」「組織としての対応を考える必要性を実感した」といった声が寄せられました。

今回の研修を通じて、参加団体においては人道支援基準への理解が深まったのではないかと思われます。JPFは、災害支援に取り組む団体の基盤強化やスキルアップを今後も継続的に支援し、現場での実践につながる取り組みを進めていきます。

対面スフィア研修@JQAN/JANIC

PSEAH研修@JQAN/JANIC

JPFの休眠預金事業

www.japanplatform.org

 

災害時の「食」を支えるために 2024年度休眠預金活用事業で取り組む、災害時の食支援ネットワークづくり(休眠預金活用事業)

ジャパン・プラットフォーム(JPF)では、2024年度休眠預金活用事業として、災害時に必要な食料支援を円滑に行うためのネットワーク構築に取り組んでいます。

災害が起きたとき、「食」は命と暮らしを支える基盤です。
一方で、その支援がすべての人に同じように届くとは限りません。だからこそ、平時から顔の見える関係を築き、災害時に脆弱な立場に置かれてしまう方たちにも、もれなく食料が届けられるよう、平時から機能する仕組みを整えておくことが重要です。

2021年度事業で培った知見と、能登半島地震での実践

本事業の土台となっているのが、2021年度休眠預金活用事業です。
この事業では、中国・四国・九州地方において、災害時の食料支援ネットワークを構築しました。このネットワークは、能登半島地震の発生時に迅速な支援につながり、実際の現場で機能する仕組みとして活用されました。

その経験と現場で得られた知見を整理したものが、『フードバンク団体による災害時における食の支援実施ガイドブック』です。実践から生まれたこのガイドブックは、災害時にフードバンクは「どう動くべきか」を具体的に示しています。

中部・近畿へ。広がるネットワークと多様な視点

2024年度事業では、南海トラフ地震による甚大な被害が想定されている中部・近畿地方を対象に、ネットワーク構築を進めています。

本事業の実行団体は、以下の3団体です。

  • 2021年度事業から継続して取り組む中核フードバンク

セカンドハーベスト・ジャパン

  • 全国のこども食堂や地域ネットワークを支える

全国こども食堂支援センター・むすびえ

  • 静岡県や東海地方を中心に、食料支援や相談支援を行う

POPOLO

フードバンク、こども食堂、相談支援。
それぞれ異なる立場と専門性をもつ団体が加わることで、災害時により脆弱な状況に置かれやすい人々への支援について、多角的な視点から知見を整理できることを目指しています。

本事業では、2021年度事業で作成したガイドブックをベースに、こうした多様な視点を反映させながら内容をアップデートさせていきます。

ガイドブック作成に向けたキックオフミーティング

1月9日、今年はじめての対面でのミーティングを実施し、ガイドブック作成に向けたキックオフを行いました。各団体がこれまでの経験や課題意識を共有し、今後どのような視点で知見を整理していくかについて、活発な議論が交わされました。

ミーティングの様子 ©JPF

本事業は3年間の取り組みで、現在は1年目にあたります。
今後、2年目・3年目にかけて、各実行団体がそれぞれの事業地でネットワーク構築をさらに進めると同時に、そこで得られた知見やこれまでの災害支援経験を言語化し、現場で使えるガイドブックとしてまとめていく予定です。

災害時に脆弱な立場に置かれる人たちにも、もれなく食を届けるために

本事業で重視しているのは、高齢者、障がい者、在宅避難者など、災害時に支援が届きにくい方々への対応です。

発災直後の混乱期だけでなく、復興期までを見据え、どのように食料支援体制を構築していくのか。現場で得られた実践的な知見を整理し、次の災害に活かすことを目指しています。

今後も、本事業の進捗やガイドブック作成の過程をお伝えしていきます。
災害時の「食」を支える仕組みづくりが全国に広がっていくよう、実行団体とともに取り組んでいきます。

 

子ども食堂で防災キャンプ(休眠預金活用事業)

JPFは今年25周年を迎え、記念動画を作成しています。その一つとして、2024年度の休眠預金活用事業で実行団体として活動する全国こども食堂支援センター・むすびえが支援した、愛知県岡崎市の子ども食堂「いちほし小町」での防災キャンプの映像を公開しました。

https://youtu.be/KNf8QJjdfeg

youtu.be 

2025年8月、子ども食堂に集まる小学生から高校生までの10人が1泊2日のプログラムに参加しました。キャンプでは、防災クイズで楽しく学んだ後、岡崎市消防本部の協力を得て、地震災害を想定した訓練を体験しました。命を守るためにはどのような行動をとればよいのかを教えてもらい、火災時を想定した煙の中を進む体験も行いました。マスコットキャラクターのレッサーくんも登場し、子どもたちは大盛り上がりでした。夜はテントを張り、模擬避難所生活を体験。災害時を想定してビニール袋を使った炊飯やドラム缶風呂も行いました。子どもたちにとって、夏休みのよい思い出にもなったのではないでしょうか。

JPFの2024年度休眠預金活用事業では、災害時に必要な食料支援を行うためのネットワークつくりに取り組んでいます。今後も、実行団体の取り組みを紹介していきます。

 

災害時の食の支援ガイドブックが内閣府のXで紹介されました(休眠預金活用事業)

このたび、内閣府公式X(旧Twitter)にて、弊団体が発行した『フードバンク団体による災害時における食の支援実施ガイドブック』が、休眠預金事業の優良事例として紹介されました。

本ガイドブックは、2021年度休眠預金活用事業の一環として、実行団体であるセカンドハーベスト・ジャパン、全国フードバンク推進協議会(フードバンク岩手とのコンソーシアム)の皆さまと共に作成したものです。

多くの方々のご協力のもと完成した本ガイドブックが、このような形で取り上げられたことを、関係者一同、大変ありがたく受け止めております。

内閣府公式Xの投稿はこちら

本事業では、発災直後から復興期を見据えた食料支援体制の構築を目的に、特に高齢者・障がい者・在宅避難者など、災害時に支援が届きにくい方々への対応強化に重点を置いて取り組んできました。本ガイドブックは、事業期間中に発災した能登半島地震への対応も踏まえ、現場で得られた実践的な知見を整理したものです。

災害時における食の支援が、誰ひとり取り残されることなく届けられるよう、JPFは今後も、関係機関と連携しながら、平時のネットワークづくりや情報発信、防災・減災への取り組みを進めてまいります。

 

 

難民支援と地域の関わりを学ぶ2日間― 名古屋での公開シンポジウムと実行団体連携会議(休眠預金活用事業)

ジャパン・プラットフォーム(JPF)は、日本国際交流センター(JCIE)と共同で、休眠預金活用事業(2022年通常枠)「アウトリーチ手法による外国ルーツ住民の自立支援」事業を実施しています。東京・大阪・名古屋を拠点とする5つの実行団体が参加し、外国にルーツを持つ人々が、地域で安心して暮らし、自立できる社会の実現を目指しています。

2025年7月9日・10日の2日間、名古屋にて本事業に関連するイベントを開催しました。9日に行われたシンポジウムは、名古屋で難民支援を行う実行団体「名古屋難民支援室(DAN)」の設立日(2012年7月9日)にあわせて実施されたもので、東海地域に暮らす難民の現状と、課題の改善に向けた地域での取り組みを広く伝える機会となりました。

1日目|シンポジウム「For Refugees, With Refugees―地域と難民、そして私たち」

7月9日に開催された公開シンポジウムでは、東海地域に暮らす難民や難民背景を持つ人々の声、そして彼らを支える地域の実践に焦点を当て、対話が行われました。

なかでも印象的だったのは、難民のホーリーさん(ニックネーム)との対話です。DANの支援を受けながら、5年の歳月をかけて難民認定を得た彼は、認定後も就労など生活面での課題が続いていることを率直に語ってくれました。それでも、新しい人生のスタートラインに立ったばかり、と前向きに歩み続ける姿に、多くの参加者が胸を打たれました。

参加者からは「サポートする側、される側ではなく、一緒に学び、変わっていくことが町や社会の変化につながると分かった」「日本に難民の方がいることすら知らずに過ごしていた。まずは知ることが大切だと感じた」といった感想が寄せられ、難民とともに生きる社会の可能性を考える貴重な時間となりました。

シンポジウムで行われたリレートークの様子©JCIE

2日目|実行団体連携会議とフィールドワーク

2日目の午前中には、実行団体5団体が一堂に会し、事業の最終年度に向けて、成果と今後の展望を見据えた連携会議が行われました。

「この事業でどのような変化が生まれたのか」「その変化をどう持続可能なかたちにしていけるのか」といった視点から、中長期のインパクトを見据えて、戦略と戦術の両面から活発な意見交換がなされました。

連携会議にて、SVAの発表©JPF

午後には、名古屋市北区にある地域交流拠点「ソーネOZONE」を訪問。施設を運営するNPO法人わっぱの会の代表・斎藤縣三さんのお話しを伺いました。

ここでは、障がいがある方、高齢者、外国人など、住宅の確保に配慮が必要な方々を対象とした居住支援の取り組みや外国人支援の事例が紹介されました。さまざまな事業にチャレンジしながら、地域住民と共に課題に取り組む姿から、多くの学びを得られるフィールドワークとなりました。

ソーネOZONEの前で©JCIE

最後に|難民支援は「地域づくり」の一部

2日間のイベントを通じて、難民支援や外国人支援は特別な活動ではなく、「誰もが暮らしやすい地域づくり」の一環であることを改めて実感しました。「隣人」としての関係を築くこと、そして多様な人々や団体、企業が共に学び、変わっていくことこそが地域や社会全体の変化へとつながっていきます。

10年以上にわたって支援を続けてきたDANの歩みとともに、“ともに生きる”社会のかたちを模索する貴重な時間となりました。

このアウトリーチ事業も、いよいよ最終年度。締めくくりに向けて、これまで培ってきた知見とネットワークを活かし、本事業の成果を次のステップへしっかりとつなげていきたいです。

 

難民背景を持つ女性の自己実現を支えるISSJ活動報告―起業支援の料理試食会を振り返って(休眠預金活用事業)

社会福祉法人日本国際社会事業団(ISSJ)は、日本国際交流センター(JCIE)とジャパン・プラットフォーム(JPF)が共同で実施する「アウトリーチ手法による外国ルーツ住民の自立支援」事業の実行団体の一つです。ISSJはこの事業の一環で、難民背景を持つ移民女性の社会統合を促進する事業に取り組んでいます。

昨年12月には、飲食店経営を目指すミャンマー出身の女性を支援する試食会を開催しました。企業や支援団体の関係者に加え、地域でパン教室を開いている方など、約10名が参加。彼女たちが実際に提供したいと考えているハチノスカレーやスパイス香る煮物など、6品がふるまわれました。

また、試食だけでなく、ミャンマーの現状や日本のミャンマーコミュニティについての共有の時間も設けられ、参加者にとっては文化や課題を学ぶ貴重な場となりました。

メインのハチノスのカレーとサイドメニューに加えて、デザートまでいただきました@JPF

難民の背景をもつ移民女性の多くは、不安定な雇用環境や教育機会の中断など、さまざまな課題に直面していますが、それでも彼女たちは自己実現の希望を持ち、夢に向かって進んでいます。少しの支援が、彼女たちが次のステップに向かう力となります。今回の試食会は、彼女たちの夢を形にする第一歩となるとともに、参加者との交流を通じて理解を深める機会にもなりました。

今後もISSJは、彼女たちの挑戦を支え、地域とつなぐ取り組みを続けていきます。