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伝統文化の復興!蘇る福島県虎捕山津見神社の天井絵237枚の狼たち

現在避難指示解除準備地域で、かつて日本一美しい村と言われていた南相馬郡飯館村と、南北朝の頃から北畠兼家が国府を置いていた伊達市霊山との間に、虎捕山津見神社という所がある。

後一条天皇の頃、墨虎という不思議な力を持った凶賊が、霊山に拠点をおいて近隣の豪族を支配しており、豪族たちも朝廷の命令に従わなくなっていた。後冷泉天皇の時代永承6年(1051年)、陸奥守源頼義が部下に墨虎の討伐を命じた。しかし山に隠れては現れる墨虎に苦戦を強いられていた。ある夜頼義の夢に山の神が表れ、「墨虎を捕らえんと欲せば、白狼の足跡をふみ追うべし」と告げた。頼義の命を受け藤原景道は白狼が出るような深く険しい山々を捜索していると、一際際立った足跡を見つけた。そしてそれを追っていくと墨虎が潜んでいる穴に辿り着き、背を向けていた墨虎に短刀を後ろから投げつけたところ、それが見事に刺さった。頼義は夢に現れた山の神に感謝し、墨虎を討った山に祠を設けて「虎捕山神」と称えた。

それ以降、その祠は虎捕山津見神社となり、この辺りは「刺す」から佐須という地名となった。

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そして、この神社の守り神は狛犬ではなく狼なのだ。

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2011年春福島第一原発事故の放射能被害により、飯館村にも全村避難指示が出て村には誰もいなくなった。しかしこの虎捕山津見神社の宮司老夫婦は、山の神に仕えるために残り続けた。ある日、ちょっとしたボヤがきっかけでこの虎捕山津見神社の拝殿は全焼してしまい、火災に巻き込まれた宮司の奥様も亡くなられた。消防隊が早くかけつけることができたら、ただのボヤで済んだかもしれないのだが、村には誰もいなかったので遠くから別の地域の消防隊が駆け付けたころには既に遅かった。この神社の天井には古くから伝わる237枚にも及ぶ狼の絵が飾られていたのであるが、それらも全て燃えてしまった。ちなみに本殿は山頂にあり火災を免れた。

JPFでは、この佐須地区で活動を展開する「ふくしま再生の会」というNPOが行う‘被災住民とボランティアと専門家の協働活動による飯館村佐須地区・松塚地区再生計画’に助成していた。そして、その活動の様子、進捗状況をうかがう目的で昨年末この地域を訪問した。

そこでこの狼の絵が東京芸術大学のプロジェクトで一部修復され、佐須公民館に展示されていることを知った。燃える前にオーストラリア人のプロカメラマンが天井に描かれた273枚全てを写真に収めていたとのこと。それを見ながら有志で狼の絵を復元しており、今年2016年の3月には全て完成し、福島県立美術館で展覧会を行った後、再建された神社の配拝殿の天井にはめ込まれる予定らしい。

公民館に狼の絵を中心に集まる住民の皆さんの誇らしげな笑顔を見ていると、こうした住民のアイデンティティを支える被災したものの復興も、人々の心の復興には欠かせないと実感した。

福島県立美術館での復元された狼の絵の展覧会にはみなさん是非福島に足を運んで下さい。

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白い狼(実際は白い山犬?)と狼とのあいびき:イノシシや熊狩りのために、勇猛果敢な猟犬を手に入れる目的でメスの山犬を山深くに繋いでおいて狼と掛け合わせる風習は他の地域でも見られる。

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白い山犬と狼とのミックス

 

ジャパン・プラットフォーム 国内事業部 福島地域担当 山中

 


 


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