ジャパン・プラットフォーム(JPF) 公式ブログ

緊急人道支援組織、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)のブログ。NGO・経済界(経団連、企業など)・政府(外務省など)が連携し、国内外の緊急人道支援を実施。寄付金・募金受付中。

熊本地震から2年

 こんにちは。地域事業部の斎藤です。

 2016年4月14日、および4月16日に発生した震度7の地震、そして震源地を移動しながら大きな余震が続いたあの地震から、2年が経ちました。
 私が14日の地震を知ったのは、宮城の出張に行っていた時で、地震速報の「熊本で震度7」に驚き、急いでホテルのテレビで確認したのを覚えています。東京に戻ってからは、初動対応に追われ、JPF加盟団体はじめ関連する様々な団体や、被災された皆様のお知恵を頂戴しながら、夢中で過ごした2年でした。
 熊本では3年目に入るこの時期、様々なイベントが開催されました。私たちは15日朝から熊本入りし、まず西原村を視察しました。昨年11月にも訪れていて、その様子は以下のブログに掲載しています。
「熊本復興支援に必要な力を身につける活動研修事業」について、お知らせします。
2017-12-16
http://blog.japanplatform.org/entry/2017/12/16/195223
 未だ道路の通行止めが散見され、山肌は崩れたまま、家の土台部分もブルーシートで崩れを防止したお宅が多数あり、5カ月経っても変わらないように見えました。

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2018年4月の西原村の様子 ©JPF

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西原村唯一の建設型仮設住宅、小森仮設団地 ©JPF

 私自身、この仕事をする前は「仮設住宅に入れば、復興が進むようになる」と何となく考えていたところがありましたが、とんでもない間違いであったと痛感しています。
 また「仮設住宅」というと建設型のプレハブ住宅だけを思い浮かべがちですが、東日本大震災と同様、既にあるアパートや公営住宅をとりあえず仮の住まいとする「借上型仮設住宅=みなし仮設住宅」もあります。みなし仮設住宅に入居している戸数は、熊本地震では建設型仮設住宅の約3倍以上あります。当時空室であった通常の住居にバラバラに入居するため、外から被災者と分かりづらく、情報や支援が行き届きにくいことが指摘され続けています。
 3月末時点で、3万8000人以上の人々が、未だに仮の住まいでの生活を続けられています。
〇応急仮設住宅等の入居状況(H30.3.31現在)
http://www.pref.kumamoto.jp/common/UploadFileOutput.ashx?c_id=3&id=19798&sub_id=14&flid=144749

 さて、午後からは、JPFと共に復興に取り組む、特定非営利活動法人くまもと災害ボランティアネットワーク(以下「KVOAD」)が主催した【地域コミュニティ再生から見る震災後の熊本の未来】に出席しました。
https://www.facebook.com/events/1473334676128810/

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KVOAD 共同代表 樋口さん ©JPF

 登壇者は、現地で被災しながらも支援活動を続ける方々の他、東北や神戸・中越からも力を貸してくれているみなさんが集まりました。内容の一部を紹介します。
 基調講演をされた神戸まちづくり研究所の野崎隆一さんからは「一人ひとりの状況を、時間をかけて丁寧に聞き、適切なアドバイスをしたり専門家などにつないでいくのは、行政には難しいが民間団体だからこそできる」こと、また、KVOADの樋口務さんからは、発災当初からの支援ニーズの移り変わりを、Panasonicと協働して分析したプロジェクトの報告がありました。
 東日本大震災後、Uターンして岩手に戻り活動を続ける、いわて連携復興センターの中野圭さんからは、「復興の主役は地元の人間。仕組みよりも“気合い”」という、自分たち自身の思いと意志の大切さを伝えてくれました。
 益城町の避難所時代から被災者自身で日常を取り戻していくことを大切にしてこられ、現在は仮設住宅に住み支援者としても精力的に活動を続けている、益城だいすきプロジェクト・きままにの吉村静代さんは、震災以前から長きにわたり活動してきたまちおこしの経験を活かし、中野さんと同じく「主役はわたしたち」であること、「できる人が、できることを、できたしこ*(*熊本弁で、できる分だけ)」「顔の見える関係づくり」についての報告をしてくださいました。
 イベントが終わると、一同は懇親会に集結、熱い話で盛り上がりました。多くの地域から集まる人々の顔を見ていると、「ここはどこ?東北?東京?熊本?!」状態でした。
 このような場での繋がりでは、お一人おひとりの思いをご自身の飾らない言葉で話してくださるので、深く感じ取ることができます。

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左から、いわて連携復興センター・鹿野さん、カセスル熊本・金田さん、右手前、きままに・吉村さん ©JPF

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中央奥、この日唯一の20代?今後の活動について明確に希望を発言する、熊本大学災害ボランティア sunflower・大坂君 ©JPF

JPFの熊本支援も3年目に入ります。仮設住宅から自宅再建し戻られる方、一方で仮設住宅に残られる方など、それぞれの動きがバラバラになり、個別の丁寧な支援が必要になる長いフェーズになります。これからが生活の再建の本番といってもいいでしょう。

被災しながら支援を続ける方もたくさんいらっしゃいます。JPFは引き続き、現地の皆様のお知恵を頂戴しながら、お役に立てるよう尽力してまいります。

今後引き続き、まだまだこれからの熊本の様子に注目してください。

応援とご支援を、よろしくお願いいたします。

地域事業部 斎藤

▼JPF熊本地震被災者支援(九州地方広域災害被災者支援)サイトはこちら

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