ジャパン・プラットフォーム(JPF) 公式ブログ

緊急人道支援組織、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)のブログ。NGO・経済界(経団連、企業など)・政府(外務省など)が連携し、国内外の緊急人道支援を実施。寄付金・募金受付中。

福島での避難指示解除や帰還のその後と    困窮状態打開への取り組み

 今回は福島の避難者の現状や生活の様子、支援活動についてお伝えします。

福島では現在、川内村など避難指示が解除され、帰村宣言*1が出されたところでは、支援が打ち切られてしまいます。しかし、就労や商売から病院や買い物などまで、生活の拠り所を原発のある富岡町に頼ってきた川内村の多くの人々は、自分たちだけ帰還しても生活が成り立たないと考えています。また、生活の一部から相当部分を、岩魚を釣ったり山菜を取ったりして足しにしてきましたが、空間線量は下がったとは言え、まだまだ山菜や川魚は危険という認識があり、森の恵みを利用して生きてきた人々にとっては、空間線量が下がっても、森の中に入って森と共に生きるのでなければ、帰っても生活が成り立たない、或いは帰る意味がないという人もいます。

そんな中、帰るに帰れず仮設住宅に残り、困窮状態に陥る人が出て来たというSOSのメッセージが昨年暮れから今年にかけて発せられました。この事態を何とか打開しなければと立ち上がった自治会長を中心に、NPO法人「昭和横丁」が設立されました。そしてこの昭和横丁を後方支援していたのが、郡山にあるNPO法人「コースター(以下コースター)」です。このコースターからの相談で、ジャパン・プラットフォーム(以下JPF)でも、NPO法人「シャプラニール=市民による海外協力の会」やNPO法人「福島やさい畑復興プロジェクト」などの団体を繋ぎ、レトルト米や野菜の期限付き緊急配付が行われました。さらに帰還先も含めて広域に渡る、中長期的な包括的支援の仕組み作りに取り組むため、JPFの共に生きるファンドでも助成することになりました。

 

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昭和横丁による横丁市場

 

今では緊急的な困窮状態は脱し、住民の出番と副収入づくりとして、NPO法人福島やさい畑復興プロジェクトから支援された野菜や南三陸の被災企業から仕入れた海産物の販売を郡山市にある3ケ所の仮設で「横丁市場」として始めました。このことが困窮者の生活再建や自立を促すだけでなく、支援の続く富岡町の避難者と支援の切られた川内村の避難者の間で深まっていた溝を埋め、交流の再開に繋がりました。富岡町の方々も積極的に買いに来るようになり、声を掛け合うようになりました。実は富岡町と川内村は元々隣同士ですが、避難先でもいくつかの仮設住宅地で隣同士なのです。

さらに販売所の傍らに寄り合いの場を設けることにより、富岡町の避難されている方々と川内村の避難されている方々の交流がさらに促進されて、いろいろな話し合いがされるようになり、少しずつ関係が修復されてきています。

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寄り合いの場での井戸端会議

 

しかし、今後こういった避難指示解除と帰還宣言に伴う、緊急状態、或いは生活再建、自立へのプロセスが大きな課題になっており、行政を交えた包括的な取り組みが必要になっています。もちろん空間線量だけを基準に支援を打ち切り、強引に帰還を推し進めようとする政策にも疑問が持たれています。帰還を推し進めるには、空気を吸えること以外の失われた元々の生活環境も整わなければ、生活を継続することができません。

 

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川内村村長の訪問

 

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ジャパン・プラットフォーム福島地域担当:山中

 

*1:川内村内の原発20km圏内ではまだ避難指示の解除はされていません。