ジャパン・プラットフォーム(JPF) 公式ブログ

緊急人道支援組織、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)のブログ。NGO・経済界(経団連、企業など)・政府(外務省など)が連携し、国内外の緊急人道支援を実施。寄付金・募金受付中。

はじめまして。藤原です。

はじめまして、8月1日からJPFで働いております、藤原です。

主に東北事務所を拠点に、福島県の避難指示解除地域における、地域づくりや特定の課題解決を行う団体のキャパシティービルディングやそれらの団体間ネットワークの基盤強化を行う復興庁コーディネート事業(以下、復興庁CDN事業)に従事しています。

ちなみに、JPFで働く以前は、国際色豊かなJPFとは全く違う、国内の地域づくりなどを行う、複数の非営利組織で働いており、東日本大震災前までは主に大阪、神戸、芦屋などの関西圏の中間支援NPOで働き、震災後は地元でもある宮城県の仙台や石巻などにある民間団体や行政機関で、復興支援団体の方々に対する支援や医療福祉介護施策に従事してまいりました。

■4年前と今の浜通り
8月から福島、特に浜通りでの事業に関わり、頻繁に浜通りに向かうと、沿岸部の避難指示解除地域では、長い間震災直後の崩れた家屋、忽然と人だけがいなくなった町並みだったところが、新たな造成現場になっている場所や、時折ですが、制服の学生が行きかう町並みになり、復興が進みつつある風景に変わってきています。この6年間、福島への関わりがほとんど無かった私としては
・いまだ多くの方が関わりながら除染作業が続いている事(完了した地域も多くあります)
・最近になりようやく復旧した国道がある事
・避難先から元の場所に戻るか、別の地を目指すかと言う決断は、避難されている方の個々人の境遇だけでなく、流動的な復興をめぐる環境や支援制度などの見通しなど、外部から見ている以上に、易々と判断できるものではない、複雑な状況に未だ多くの方がおられること
を知りました。

また、私の印象では『復興が進みつつある風景』と感じていますが、住民のある方は、
『3月12日以降の現在、何も変わっていないし、何も解決していない』とおっしゃられ、住民の方の心象風景には、そのように映っている方もいるということを、知りました。

■『つなぐこと』に重点を置いた支援
さて、私が関わっている復興庁CDN事業では、主に
①福島第一発電所事故に伴う避難指示が解除となった地域における住民や支援者のつながりや
②県域での震災由来の共通課題分野を取り扱う団体のつながり、ネットワークの形成支援
を行っています。

具体的には、ネットワークの中核を担う人材や集まり(ネットワークの組織体、ネットワーク体)への資金面・情報面での支援と事務所や会議などの『場』づくりを通じた
基盤整備(Capacity Building)を行っています。

復興庁の本事業の、ネットワーク体を支援する仕組みや施策は、私見ですが、珍しく、意欲的な取り組みであると感じており、この取り組みの結果は見えにくいものではあるものの、将来にわたり非常に意義深いものになると感じています。

今回の事業で支援や支援の予定をしている地理的ネットワークや課題別ネットワークは以下です。

◇地域ネットワーク
 ・おだかぷらっとほーむ(南相馬市小高地区)
 ・なみえぷらっとほーむ(仮)(浪江町)
 ・川内未来プロジェクト協議会(川内村)
 ・双葉郡未来会議(双葉郡全般)
 ・いわき~ふたばねっと(いわきから双葉郡にかけて)
 ・くらスタ(田村市都路)

◇分野ネットワーク
 ・心のケア
 ・生活困窮者
 ・避難指示解除
 ・子供の貧困

■避難指示解除地域の現在
JPFでは、南相馬市小高地区、浪江町、川内村、双葉郡をそれぞれ対象地区とする団体に、ネットワーク作りを主眼に置いた各地域でのコーディネーターを、計8人の方々にお願いしています。(コーディネーターをお願いしていないネットワーク体もあります。)

10月31日にコーディネーターを一同に会しての自由な意見交換会を開催し、避難指示解除後、“地域づくり”を行う皆さんの現状の思いや課題、将来に対する見通しなどをうかがいました。(8人中7人参加) 

避難指示が解除され、“帰還”が可能になったと言えますが、人口面や経済面は、避難前と大きく違い、個々人の生活の在り方やコミュニティの形成などを一から考え直し、
作っていかなくてはいけない状況です。

地域により状況は異なりますが、帰還された方は、
 ・避難前の人口の1割以下しか帰還民がいない地域
 ・若年の家族に通院や買い物を支えられていた家族の、年配者の方だけの帰還
 ・見知っている人が見当たらない地域
など、各地域共通する地域の状況が話に上り、今進んでいる“帰還”とは、昔住んでいた“場所”としての帰還であり、“生活の場”としては、まったく別の場所に帰還されたようにも、私には映りました。

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■地域のコーディネーターが今、考えていること、悩んでいること

その中、コーディネーターの方々は、帰還された方のコミュニケーションの場づくりや、帰還を思い悩んでいる方への地域の現状を伝える役割、震災をきっかけに移住を考える方への支援など、新たなコミュニティづくりに向け活動や活動に取り組むネットワークづくりを行っています。

個々のネットワークにおける活動内容等については、今後紹介させていただくこととして、今回の意見交換会では、
・“人口の回復”を目標値とする復興の区切りに対する疑問や提案
・“集落”で構成されてきたコミュニティと町や村という行政区画単位で考えられているコミュニティ再生計画とのズレについて
・“移住”や“交流人口”を増やしたいが、居住・宿泊などの住宅ストック活用が上手く進んでおらず、ミスマッチが生じていること
・安心して暮らせる地域に戻りつつあるものの、避難されている方や遠方の方々の持つ、震災直後に広まった、避難指示地域の“暗い”イメージ(治安の悪化など)が払しょくできないでいる
など、これからコーディネーターの方々の踏ん張りどころとなる内容から、住民や行政などと協働しながら切り拓いていかなくてはいけない内容など、コーディネーターの皆さんが抱かれている様々な思いや課題が共有されました。

私をはじめ、JPF福島担当は、今後も復興庁CDN事業を通じ、コーディネーターの方々の抱える課題解決やアイディアの実現を伴走型で支援していきます。

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JPF地域事業部
藤原