ジャパン・プラットフォーム(JPF) 公式ブログ

国際協力NGOをサポートする認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)のブログ。NGO・経済界(経団連、企業など)・政府(外務省など)が連携し、国内外の緊急人道支援を実施。寄付金・募金受付中。

「減災サステナブル」という考え方

こんにちは。ジャパン・プラットフォーム(JPF)国内事業部長の阿久津です。
東日本大震災以降、私は年末年始に東日本被災地を自分のクルマでまわり、復興の様子を自分の目で確かめることが、自分の中で恒例となっています。これまでに太平洋沿岸の被災地は、北は青森県の八戸市から、主要三県の岩手・宮城・福島はもちろん、南は千葉県の旭市まで、ほとんどすべてを6年間かけて訪れてきました。
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今回はすべての市町村の中で最も死者行方不明者数が多かった石巻市(2016年3月11日時点で3,975名)を中心に現在の防潮堤建設の様子を見てきました。
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いつもは一人で行くのですが、今回は頼もしい友人が同行してくれました。千葉大学大学院工学研究科で人工システム科学を研究している浅沼博教授です。

浅沼博先生のチームによる「減災サステナブル」の研究はとてもユニークで壮大です。たとえば、防潮堤と言えばコンクリートで固められた波風を受けても微動だにしない頑強なイメージを持つ方々が多いと思います。しかし、彼らの発想は全く逆です。フニャフニャして粘り気がある材質で強度を増したり、海に浮かべ津波が来たらその高さに応じて大きくなる防潮堤まで自由自在です。しかも、スマート&ローコストで自然にやさしいのが特徴です。災害時には何mにも立ち上がり、平常時には海面に浮かび波の力で発電するシステムも研究されています。地震や津波のような自然災害による被害を「完全にゼロにする」ことはできないけれども、「限りなくゼロに近づける」減災は科学の力でいくらでもできる、そのような持続的発展性を高めていくという考え方です。

浅沼氏と訪れた石巻市から東松島市に至る防潮堤は、高さを感じさせない工夫が随所に見られ、意外に圧迫感はありませんでした。
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その分、場所によっては、第一、第二、第三と防潮堤を何重にも張り巡らせているために、維持費を含めかなりのコストがかかるようにも見えました。
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また、重要施設の多くは東松島市の常磐線野蒜(のびる)駅のようにすでに高台移転されているので、少なくとも以前に比べれば住民の安全は一定レベルまで確保されつつあると感じました。
f:id:japanplatform:20170106102135p:plain野蒜(のびる)駅

f:id:japanplatform:20161228132300j:plain野蒜駅

一方で、建設中の防潮堤はすべてコンクリートで固められている訳ではなく、内側は土なので強度には限界があります。
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また、津波の到達高度(遡上高)が30mを越えるようなスマトラ島沖地震(2004年)や東北地方太平洋沖地震(2011年)を想定すれば、十分な高さと言えないのは明らかでした。
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世界各国はこれまで軍事防衛という枠組みの中で、航空宇宙など最先端の研究にしのぎを削ってきました。日本もそれで良いのか。その方向性の中で最先端の科学技術を競い合って勝ち目はあるのか。知的な発想の転換を行うのであれば、最先端技術の研究等を軍事防衛に代わって防災減災分野で行えないかという新たな発想です。地震・津波・火山噴火などの災害をバネに人材・科学技術を磨くという考え方です。浅沼氏は「日本は単なる科学技術立国ではなく、安全・安心を世界に届ける永世中立技術立国となるべき」と訴えています。一方、「減災サステナブル」という考え方を進展させていくと、科学技術というハード面と対(つい)をなす形で、防災減災を実現していくための人的ソフト面の分野が存在しているように私は思いました。私は浅沼氏にその中核に本来はNGO/NPOがあるはずだということを伝えました。2017年はその意味でもNGO/NPOの飛躍の年にしていきたいと考えています。本年もご指導の程よろしくお願い致します。