今回の地震において被災された多くの職員の方々、復興支援NPOのみなさんなど、くれぐれもご無理なされませんように。地域のみなさまの生活が少しでも早く、元の平穏な生活に戻れるよう祈っています。
JPFは9月6日に調査出動を決定し、緊急対応のために、私は第1陣として北海道に向け出発しました。
7月には西日本豪雨対応についてブログを書いたばかりですが、今年は本当に災害が多く、こうしてブログ記事を書きながらも、明日からの愛媛県の雨の状況も大変気になります。日本中で心穏やかに過ごせる日々が続くよう祈らずにはいられません。
北海道胆振東部地震が起こり、9月6日段階では北海道全域が停電しており、新千歳空港は閉鎖していました。また、電話が不通の地域が多く、現地での移動のためのレンタカーや宿の予約が取りづらい状況の中、確実に移動できる陸路で6日のうちに下北半島の北端大間まで移動し、翌7日の朝に函館行きのカーフェリーにて北海道へ入りました。
函館行きのフェリーは北海道支援に向かう警察官や行政職員の方々などが多く、今年度、宮城県の防災訓練でお見掛けしていた宮城県職員の方にお会いし世間の狭さを実感しました。
函館につくと、一部店舗で電気が復旧しだしたところで、ガソリンスタンドなど営業が再開され長蛇の列ができている状況でした。ホームセンター店舗の前には昨日品切れになった商品リストが入口に張り出されており、東日本大震災の記憶が蘇りました。
完売していた商品は「単一電池」、「水」、「水缶」、「カセットガス、コンロ、ボンベ」、「発電機」、「灯油用ポリ缶」、「モバイル充電器」、「車載充電器」、「ホワイトガソリン」、「ランタン」でした。東日本大震災の際は、上記の他、「炭」があった記憶があります。災害が起こった時、何を備蓄しておけばよいのか参考になりますでしょうか。
函館より、移動の車中、被災地の情報や宿泊先の手配などのバックアップを東京に残ったスタッフから受けながら、今回の地震で最大深度を記録した厚真町まで車で移動しました。JVOAD(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク)など関係団体と連絡を取り合い複数団体が札幌に入るという情報を得たため、JPFは宿の取れた苫小牧を中心に、むかわ町、厚真町の状況確認を初日のミッションとしました。厚真町吉野地区方面を目指し、移動の車中も道路のひび割れの状況や、建物の被災の状況、農地や周辺店舗の営業状況などを確認しながら移動します。最大深度7を記録した地震のため、震源に近づけば近づくほど道路の段差や、ひび割れが大きくなります。信号もついているところ、ついていないところが不規則にあり、誘導もない状態の中、細心の注意を払って運転しました。
途中、避難所などあれば立ち寄り、状況が許せば運営の状況や周辺地域の状況などを伺いました。
厚真町吉野地区の総合福祉センターは、テレビで報道されている斜面崩落のあった地域に近く、避難されている方はもちろん、給水や炊き出しの提供を受けるためにやってくる近隣住民の方や、自衛隊、日本赤十字などの支援関係者、報道関係者などで騒然としています。状況によっては避難所運営者の負担を増やさないよう、トイレ設置状況や、給水、炊き出しの様子、避難所に張り出されるチラシなどの目視の確認に留める場合もあります。
吉野地区は報道される頻度が高く、支援者が一定数、集まっている状況と判断し、むかわ町の状況確認に向かいました。夕方となっていたため、全体は回れませんでしたが一部地域で建物の倒壊状況が確認され、翌日再度状況確認のため、むかわ町に入ることに決め、宿泊先の苫小牧へ移動しました。幸い宿泊先は電気も水道も復旧しており、コンビニなどの陳列棚はからっぽでしたが、周辺の飲食店も営業していました。
8日はむかわ町の確認から入りました。7日に数軒確認していた倒壊家屋ですが、予想以上に多くの建物が倒壊しており、避難生活が長期化する可能性のある住民の方々がいらっしゃる状況が確認されました。
空き店舗や空き家のように見える建物も多いことから、避難生活の長期化が予想される住民の方がどのくらいいらっしゃるのか行政の方々と協力しながら正確に把握していく必要があります。
個別団体での状況確認を行いながら、現地入りした支援関係者とも連絡を取り合い情報交換を行います。必要な支援を効果的に行うために、それぞれの団体が持つ情報を交換します。
効果的な支援を行うために支援が必要な状況を確認することも大切ですが、一方で支援の抜け漏れを防ぐという観点で、支援が必要ないという状況を確認することも大変重要です。実はこの日、むかわ町に入る前に隣町である平取町の状況を確認しています。平取町のように大きな被害状況が伝えられていなくても、様々な視点で少しでも懸念点や不明点がある場合、本当に外部団体による支援が必要ない状況なのかどうかを可能な限り確認しています。
一度で現状を確認できなかった地域には、何度か足を運び、気になる点がなくなるよう状況把握に努めています。厚真町吉野地区のように大きな土砂崩れを起こした地域は通行禁止となっており近づけませんが、通行止めとなっていない地域でも主要幹線道路から一本入ったところに思わぬ震災の爪痕が残っていることがあります。厚真町の新町公園付近の状況は熊本地震を思い起こされる光景でした。
地域の状況を把握するうえで、JPF事務局の我々にとってJPF加盟NGOほど頼りになる存在はありません。現場に入っている加盟NGOとは常になんらかの形で連絡をとり情報交換しています。
9月9日は札幌の状況確認に入りました。
発災から丸二日経ち、電気や水道の復旧が一定の進捗を見せ、店頭に並ぶ商品が増え始め、道路の復旧工事に着工する様子が確認できました。
9月9日@札幌市 スーパーの店頭に野菜や果物が並ぶ
9月9日@札幌市 コンビニの棚にも少しずつ商品が並ぶ
一方、液状化が起こり、盛んに報道されている清田区里塚地区などは水道の復旧も遅れており、土砂に埋もれたり、建物の基礎が大きく傾いてしまった建物などの復旧にはかなりの時間がかかりそうです。
札幌に入ると、折れたり、倒れている街路樹が多いことに気が付きます。多くは台風21号の被害の爪痕であり、改めて連続した災害に直面している北海道のみなさまの状況がわかりました。
発災から5日目を迎えている現在、ようやく被災状況の全容がわかってきた状況です。厚真町、安平町では断水が続いており、復旧には1か月程度かかる見込みで、冬に入る前に自宅でお風呂に入れない方が出てこないか心配です。避難生活が長期化する方々が一定出てくる見込みで、体調を崩されたりする方が出てこないかなど心配なことはたくさんあります。 地域の方々の復旧復興はこれからが本番です。地元主導の持続的復興のためにJPFとして何ができるか、引き続きしっかりと状況把握を行い、JPF加盟団体や地域のみなさまと共に考えていきたいと思っています。
JPF地域事業部岩手、宮城担当/緊急対応部 三浦
写真はすべて(C)JPF