ジャパン・プラットフォーム(JPF) 公式ブログ

緊急人道支援組織、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)のブログ。NGO・経済界(経団連、企業など)・政府(外務省など)が連携し、国内外の緊急人道支援を実施。寄付金・募金受付中。

助成団体紹介:福島県相馬郡新地町「NPO法人みらいと」

6月24日、福島県相馬郡新地町の「NPO法人みらいと」へ、事業モニタリングに伺ってきました。

地域全体で元気に安心して暮らせるまちづくりを目指し、フェーズに合った企画を積極的に取り入れています。理事長の目黒さんをはじめ、スタッフの皆さん全員が地元愛にあふれた熱い団体です。 

震災後、放射能の影響で子どもを外で遊ばせることをためらっていた時期が続いたことで、子どもの肥満がこの地域で問題となっています。

「キッズ耕せ」は、事前に線量をしっかり測り(新地町は震災後も放射能の影響は無い)土いじりをしながら、子どもたちが自分達で野菜や芋を植え、体を動かしながら農業体験をします。地元の農園の協力を得て7月5日に行われました。秋には育った作物を子どもたちで収穫し、芋煮会の予定もあります。
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体を動かす活動はもうひとつ、「体幹トレーニング教室」があります。「みらいと」のスタッフであるプロの柔道整復師さんが指導する運動で、幅広い年齢層の参加があり大変好評だったようです。f:id:japanplatform:20150509104022j:plainf:id:japanplatform:20150509110219j:plain

運動不足でADL(日常生活能力)が低下しがちな高齢者でも簡単にでき、寝ころびながら弱りやすい部分を重点的に鍛えられ、さらに皆さんで集まって楽しみながらできる体操です。
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また、引きこもりがちな方にとっても外に出る良い機会となり、顔見知りも増えて災害公営住宅への移行におけるコミュニティ形成のきっかけ作りにもなっています。
この体操を続けた「みらいと」のスタッフの中には5kg、10kg減と、かなりのダイエットに成功した方がいらっしゃいました!!

そして社会福祉協議会と連携した「高齢者見守りサポート」。
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この地域の高齢者災害公営住宅は9割着工済みで8割が入居済です。「みらいと」では3月から高齢者災害公営住宅の全戸訪問を開始していますが、最初は当然のことながら入居者の皆さんとは顔見知りではないため、活動を知ってもらうこと自体に苦心されたようですが、今では信頼を得て一戸一戸丁寧に入居者の顔色や話しぶりを見ながら、困っていることがないか、食事をきちんとしているか、部屋の様子に変化がないかなどを見守っています。
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同時に、普段から気を付けるべき健康情報や疾病予防についてわかりやすく書いた新聞「しんち未来人しんぶん」や、栄養バランスと保存のしやすさを考えた食品の配布もしています。新聞や食品の内容には、「みらいと」の皆さんの真摯な仕事ぶりが反映されていると感じました。

他地域でも災害公営住宅に移ってからの見守り体制について不安の声が挙がっている中、優良な先行事例となっていくでしょう。

さて、もうひとつ楽しい企画があります。
8月1日に「地域みんなで地域を盛り上げよう!」という熱い思いの詰まった第5回「やるしかねぇべ祭」が「みらいと」も実行委員会として参加し、開催されます。
楽しいイベントや花火大会など、盛りだくさんの内容です!

NPO法人みらいと|福島県新地町を応援するまちづくりNPO

写真(C)NPO法人みらいと

 

ジャパン・プラットフォーム 国内事業部 斎藤


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宮城県にある『ビールをお供えする神社』とは?

みなさん、こんにちは。東京事務所の高橋です。

突然ですが、“ビール神社”と呼ばれる神社があることをご存知ですか?この名前だけ聞くと最近ビール会社が作ったように思われるかもしれませんが、実は地域に根付いた“ビール神社”があるのです。

その神社は鹿島神社という宮城県石巻市北上町にある神社で、通称“ビール神社”と呼ばれています。

なぜビール神社と呼ばれているかというと、日本酒ではなくビールをお神酒としてお供えするから。ではなぜビールをお神酒としてお供えしているかというと、その昔飢饉があった年に米が不作で日本酒をお供えすることができず、何とか収穫できた麦で作ったお酒をお供えしたということに由来するそうです。
なんでも、米が豊作となった年に日本酒に戻したところ悪い病気が蔓延したのだとか。そこから日本酒ではなく麦酒、そして現在はビールをお供えするようになったのだそうです。

そんな通称“ビール神社”ですが、2011年3月11日の大津波で周辺の民家とともに流失してしまいました。今は小さなほこらが祭られています。

最近ビールが好きになってきた私としては、いつか復活することを願ってやみません。

夏休みに東北を巡ろうと思っているビール好きの方、ビール神社復活の願いも込めて立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

■鹿島神社の場所

住所:宮城県石巻市北上町十三浜白浜227

仙台から車で約1時間半


ちなみに、神社の近くにある白浜海水浴場では、8月8日(土)、9日(日)で“二日間だけの海開き”が開催されるようです。こちらもぜひ。

 


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福島市内で霊山竹生島流棒術を習い始めました

ジャパン・プラットフォームで福島の地域担当をしている山中です。

私は、その土地に派遣されると、その土地特有の楽しみ、趣味を見つけるようにしている。それはその土地への愛着から、その土地の特性、アイデンティティなどを理解したいという思いと、あとは、長期化する現地駐在生活の中で、それがストレス・マネージメントのために有効だからである。これまでの現地駐在生活の中でも、中国の朝鮮族自治州でテコンドーを習ったり(ちなみに初段を取得)、東ティモールではスキューバーダイビングやシュノーケリングをしたりしていた。中国の朝鮮族自治州でテコンドーをしていると、中国人朝鮮族だけでなく、韓国人、北朝鮮人とも交流することができた。東ティモールではそれまで内戦で、外国人が入れなかったので、スキューバーダイビングという文化がなく、海の中は手つかずで、サンゴも完璧な形で残っており、ザトウクジラが水をかけて飛び跳ねたり、白ながすクジラが橋をかけて横切ったり、マンタとナポレオンフィッシュと同時に一緒に泳いだりもう大騒ぎだった。ジュゴンやマナティもいるが、出会うことはなかった。出会って恋に落ちていたら今ここにいないだろう。

今回、東日本大震災における現場での活動も4年を過ぎた。2011年3月19日に福島を通って陸路(東北自動車道)で宮城に入り、その後、女川に配属になり、その年の10月から岩手担当になった。2012年度は岩手から福島に出入りし、2013年度に福島に拠点を構えて早2年になる。避難者の心のケアの重要性や支援者のストレスの顕在化、支援疲れが現場の課題として挙がってくる中、そろそろ私も福島で、その土地特有の楽しみ、趣味を見つけようと思い始めた。そこで福島の古流武術である霊山竹生島流棒術に出会い、昨年秋から習い始めている。

福島と言えば、相馬の野馬追いが有名で、福島の代表的な古流武術として相馬の馬術があるが、同じく福島の代表的な古流武術として紹介される物に霊山竹生島流棒術がある。福島の霊山と言えば、避難指示地域には指定されなかったが、線量が高い地域があり、避難指示特別勧奨地帯とされたエリアがある。また霊山と言えば、会津藩の家老であった西郷頼母が戊申戦争後に霊山神社の神主をしており、そこで武田惣角に武術を伝え、それが大東流合気柔術として世に広く伝わり、それを元に合気道ができたという話がある。

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深い文化と歴史を持つ霊山神社

また西郷頼母は西郷四郎という養子にやはりその武術を教えたが、やがて彼は姿三四郎のモデルになるほど衝撃的に強く、当時の柔道、柔術の世界に大きな影響力を及ぼした。しかし、西郷頼母自身は表に出ようとはしなかったという。誰にでも分け隔てなく、その武術を伝えたというが、特に武術の流派を作ったりしたということはなかったようだ。最初、その西郷頼母が伝えたと言われる幻の武術を追い求めたが、巡り合うことはなかった。

こうした情報を収集しているうちに辿り着いたのが、霊山竹生島流棒術であった。

霊山竹生島流棒術は、その昔、南北朝の頃、北畠顕家が霊山に比叡山の僧兵を連れて来た時、その僧兵が自分達の体得している竹生島流棒術を地元の人に伝えたという。現在、長崎にも竹生島流棒術が残っているが、元々は同じところから派生しているが、今では技がかなり違うのだとか。

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新緑の美しい初夏の霊山神社

福島は霊山の他にも都路など都にゆかりのある地域が多々ある。小野小町がいたという小野という地域もある。しかし、そうした土地も放射能の被害にあっている。福島は少し山に入ると、清流が流れ、木立が豊かで植物の種類も多い。日本の原風景とも言える美しい森と川のせせらぎと古い民家が目につく。常にどの作物も5位以内に入っていた農業や高級後の宝庫だった漁業が放射能により打撃を受けたことも残念だが、こうした文化や歴史も大きな打撃を受けているのだ。

ジャパン・プラットフォーム 福島地域担当 山中


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岩手県沿岸部の子どもを取り巻く背景にについて ~保育ニーズ、放課後の居場所、子どもの減少~

こんにちは、岩手担当の高久です。

前回、2月に掲載したブログ、「共に生きる」ファンド締め切り前の現場スタッフがしていることとは?の記事には、助成金申請を考えている団体さんへの相談対応の様子をお伝えしました。今回は、日々地域担当が行っている重要な業務の一つ、である地域課題の把握と整理についてお伝えします。

岩手、宮城、福島に駐在している地域担当の日々の業務としては、各地で開催されている情報交換のためのネットワーク会議への参加、JPFの「共に生きるファンド」で助成している団体さんへの事業実施状況のヒアリングなどを行っています。地域担当が地域を周る中で収集してきた情報をもとに、いま、被災地ではどのような状況なのか、どの様なニーズがあり、ニーズへの対応状況などを分野ごとに整理し、関係団体などへ定期的に配信しています。

たとえば岩手における子どもを取り巻く環境に関する情報を整理していると、2つの課題が浮かび上がってきます。

  1. 岩手県沿岸部では、震災後18歳未満の子どもの数が減少
  2. 岩手県沿岸部での、保育士の有効求人倍率が上昇。待機児童数も増加。

地域を回り様々な方の話を伺う中で、震災後、祖父母や両親らが犠牲になるなどの理由で家族構成・家庭環境が変化し、家庭内で子どもを見守る環境が変化したということを耳にします。また、震災後、生活再建などのため、女性の就労意識が高まったことにより託児・保育ニーズが増えたといえるのではないでしょうか。これらは、就学児童についても同様で、放課後の子どもの居場所のニーズも増加していて、そういった状況から岩手県沿岸部での保育士のニーズは高まっている反面、労働条件や待遇などの理由で求人を出しても人が集まらない現状があります。

一方、震災以降の18歳未満の子どもの数の減少の背景には、内陸避難や県外避難世帯が、避難先で定住を決断したケースや、親が震災後職を失ったことで内陸に移転するなど、沿岸部から流出しているケースなどが考えられます。

f:id:japanplatform:20141029115316j:plain写真:岩手県沿岸部の災害公営住宅

地域担当としては、さまざまな情報をもとに、多角的、客観的に分析し、ニーズ情報の発信やリソースのマッチングなどのお役に立てればと考えております。

以下は岩手日報の掲載記事の中からの関連記事からのメモです。内容を活用される場合は、掲載元をご確認ください。

日々メディアからの情報もアーカイブし参考にしています。

 

 [沿岸の人口流出について] 
※参考:岩手県内の15歳未満の人口は159,000人(出典:「人口推計」(総務省統計局))

■子どもの減少(内陸部への流出)http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/news.cgi?sh=20150302_2

沿岸部では、18歳未満の子どもの減少が深刻化している。2010年と14年を比較すると0~18歳の減少率は沿岸12市町村で13.5%、全県の減少率に比べ5.4㌽高い。最も高かった大槌町は25.2%に上る。震災後職を失ったことで内陸に移転したことなどが背景にあるとみられる。(岩手日報2015年3月2日)

■子どもの流出(陸前高田のケース)

陸前高田市の小中学生の人数を比較すると、2010年から14年で400人以上減った。同市の教育長は、「転居した先で新しい関係ができ、また地元に戻る機会を見つけられないでいるのではないかと」とみる。(岩手日報 2015年3月)

■沿岸から内陸への動き

被災して沿岸部(県外含む)から転居し、内陸の学校に通う子どもが増えている。2014年度は内陸9市だけで、少なくとも494人に上っている。盛岡市教委によると、各校での聞き取りに基づく市内の被災小中学生は12年度167人、13年度201人、14年度230人と増加している。(岩手日報 2015年3月3日)

[未就学児童を取り巻く状況]

■待機児童
岩手県の待機児童の数は、震災前にくらべ、3.6倍に急増している。生活再建のため、女性に働こうとする意欲が高まり、企業進出で就労機会も広がった反面、施設、人材といった、保育環境が整わないことが原因である。(岩手日報 2014年8月)

(県全体 2010年 53人 → 2014年 193人)

(釜石 2010年 0人 → 2014年 39人)
(宮古 2010年 0人 → 2014年 15人)

■保育士不足(URL)
保育士の有効求人倍率を2010年12月と2014年12月で比べると、本県(岩手)は1.13から1.59、宮城は0.76から1.86、福島は0.69から1.86に上がった。被災地沿岸部は、ハローワーク大船渡管内4.4、宮古管内3.0など都市部並みの高い数字だ。大槌町役場佐々木民生部長は「仕事の大変さの割に賃金が安いため敬遠されている。大槌町安渡保育所では、ハローワークや町の広報誌で募集したが、応募ゼロだった。資格があっても別の仕事に就く人も多い」と分析する。(岩手日報 2015年3月)

[小学生などの放課後の居場所]

■学童保育に関して
東日本大震災で大きな被害を受けた沿岸部では、仮設住宅への転居で登下校にかかる時間が長くなったり、祖父母や両親らが津波の犠牲になったことなどが要因で、学童保育登録者が増えている。一方、資金面や人員確保などの課題がある。沿岸部12市町村では、震災後学童保育の登録者集が増え、2010年に2178人に対し2014年には2460人に増加している。(岩手日報 2014年9月)

■放課後の子どもの居場所
震災後に家族構成や親の仕事が変わるなどした沿岸部では、放課後に子どもが安心して過ごせる場所の確保が課題となってきた。県教委によると、2014年に放課後の「公的居場所」が未設置の沿岸小学校区は18で、10年度から13減少した。設置率は14年度82.6%。全県91.0%には及ばないが10年度比で8.6%高い。釜石市は、12年度までに放課後児童クラブを全9小学校に設置。さらに、放課後に帰宅する児童ら向けに放課後子ども教室の整備も進める。震災で半減し一時2か所になった教室は現在6カ所に増えた。子ども教室の場合、震災後の運営費は国が全額負担。導入しやすい条件にあり、一層の増加が期待されるが、実施には障がいがあるという。市教委によると「子どもの遊びをなぜ大人が見るのか」「遊ばせるとうるさい」などの声があり、住民理解の醸成は課題。(岩手日報 3月3日)

[制度に関して]

■4月からの子育て支援制度
待機児童の解消などを目指した「子ども・子育て支援新制度」が4月から始まる。保育所と幼稚園の機能を併せた「認定こども園」のほか、0~2歳児向け少人数保育サービスなどを充実。親がパートや休職中でも保育を利用できるようになり、子どもの預け先の選択肢が広がる。一方で、都市部を中心に保育士は大幅に不足。経営面の不安などから新制度の枠組みへの移行を決めかねている施設も多く、どこまで利便性が高まるか見通せていない。政府は「待機児童解消加速プラン」を掲げ、2015年度は8万2千人分の保育の受け皿を確保。待機児童が多い0~2歳児を対象とした「小規模保育」など少人数保育サービスを広げる17年度末までに保育士も6万9千人増やす必要がある。保育士資格がない人にも担い手になってもらうため、補助的役割として「子育て支援員」制度を新設する。子どもの小学校入学時に、親が仕事を辞めざるを得ない「小1の壁」を解消するため、「放課後児童クラブ」(学童保育)も拡充する。昨年7月の内閣府調査では、回答があった全国の私立幼稚園6833園のうち、15年度に認定こども園に移行するとしたのは828園にとどまった。(岩手日報 2015年3月30日)

ジャパン・プラットフォーム岩手地域担当: 高久


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海外事業部スタッフが東北視察ツアーに参加しました

こんにちは。ジャパン・プラットフォーム(JPF)海外事業部の鳴海と申します。普段はアフガニスタンやパキスタンのプログラムを担当しています。

2015年3月、仙台で行われた第3回国連防災世界会議の機会をとらえて、JPFは宮城県の東日本大震災の被災地や復興事業の行われている地域を訪問するツアーを実施しました。普段はアフガニスタンや南スーダン等海外のプログラムを担当しているスタッフ数名も、JPFの日本国内での活動や被災地の現状を知るためにツアーに参加しましたので、そのツアー内容の一部や感じたことをご紹介したいと思います。

まずは、仙台から車で1時間半ほどのところにある宮城県沿岸部の七ヶ浜町へ向かいました。七ヶ浜は地震と津波により壊滅的な被害を受けましたが、行政とNPOが連携しながら復興へ向けて様々な取り組みがなされている様子を、渡邊町長と七ヶ浜で支援活動を実施しているNPOレスキューストックヤードの松永氏から説明を受けました。 
また被災した方々が裁縫や木工など手作りを楽しみながら交流を楽しむ場として運営されている「きずな工房」を訪問し工房で作業をしている皆さんからお話を伺いました。3月上旬ということで、皆さんが手作業で作ったひな人形が飾られていましたが、本当に可憐で華やかで見事な作品でした。

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 午後は石巻に移動し、NPOみらいサポート石巻の事務所を訪問。“震災の語り部”である佐藤さんのお話を伺いました。
被災当時佐藤さんはご高齢のお母様と一緒に自宅におり、近くのお寺に逃げたそうです。お母様の手を引きながら何とか泳いでお寺までたどり着いたものの、頭と顏がやっと出るくらいの高さまで水かさがどんどん増してきて、とても生きた心地がしなかった、とのお話は伺っているだけでどんなにか辛い体験だっただろうととても苦しい気持ちになりました。
このような余りにも辛い経験だったにも関わらず、佐藤さんは震災を風化させないため、また今後の防災に活かしてもらいたい、との思いから、語り部としての情報発信を続けていらっしゃるとのことで、心から頭が下がる思いがしました。

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 その後、同じくみらいサポート石巻スタッフの案内で、タブレット端末やスマートフォンで使用できる「石巻津波伝承AR」というアプリを使いながら、石巻の街を歩きました。

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このアプリを使うと、石巻の各所の「震災前」「震災直後」「震災後」「未来図」を映した写真が見られるのですが、いま自分が立っている場所は現在瓦礫がすっかり除去されているけれど震災直後はどれだけ大変な状況だったのか、写真を通してですが見ることが出来、非常に不思議な気分になると同時に面白い取り組みだと感じました。
以下の写真は、視察で立ち寄った石ノ森萬画館の「震災直後」「震災後」「未来図」です。エントランスの外でアプリに写る写真と同じ場所に立ち震災直後と現在の風景を見比べることができ、より実感がわきました。

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今回のツアーの中で印象に残ったのは、複数の方が、「チリ地震の津波を経験したおばあちゃんから、次に大きな地震が来たら必ずすぐに逃げなさい、と言われた。その言葉があったから私は助かったのよ。」ということをおっしゃっていたことです。色々な情報があふれていても、直接人から人へ伝えられるコトバこそが次世代を助ける力になるのかも知れません。だからこそ、語り部という活動は貴重ですし、直接被災していない私にも語り部さんから伺った話を他の人たちに伝えていくことが出来るのではないかと感じました。

更に、私は普段アフガニスタンを始めとする海外の復興事業を担当していますが、今回のツアーで学んだことは海外の様々な被災地での活動にも活かせることが沢山ある、ということも大きな発見でした。例えば、長引く避難生活を送る人の心のケアをどうしていくか?震災や紛争が原因で元々住んでいた土地から避難すると地域住民同士のつながりが切れてしまい相互扶助が難しくなるという問題にどう取り組むか?など。国内・海外を問わず緊急の事象が起きた時に人が抱える問題にそれほど変わりはないのかも知れません。だからこそ、JPFの中でも担当の枠を超えて学びあい、これからの良い支援活動につなげていきたいと思います。

ジャパン・プラットフォーム海外事業部 アフガニスタン・パキスタンプログラム担当:鳴海

 

アプリは下記よりダウンロードできます

■For iOS

石巻津波伝承AR

石巻津波伝承AR

  • Ishinomaki Future Support Association
  • 教育
  • 無料

■For Android

石巻津波伝承AR - Google Play の Android アプリ

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関西の企業様に、東日本大震災復興の現状をお伝えしてきました。

宮城地域担当の三浦です。

先日、グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク*1の関西分科会様よりご依頼をいただき、東日本大震災の復興の現状をお伝えしてきました。

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東日本大震災発災より50か月が過ぎて、なお8万世帯近くの被災者が仮暮らしをされていること*2、災害公営住宅など工事は着工しているものの、完成はしておらず多くの方の避難生活はまだまだ長引くことが予想されること、事業を再開したものの震災前の売上まで戻っている企業は少ないこと。

また、まだまだ時間のかかる復興を地域の力で成し遂げるために、住民を主体としてコミュニティを無理なく支えて行ける枠組みを整える必要があることをお伝えしてきました。

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 被災地の現状や復興の最前線で奮闘している支援団体の活動などお伝えしたい想いはたくさんあり、企業の皆様が知りたいと思っていることにどれだけ配慮できたのか、参加された企業の方々がご満足いただけるものになったのか不安が残りますが、これを機に対話を深めさせていただければと思っています。

復興の現状をお伝えする機会を与えていただき、これまでの活動と現状、これからの活動について整理することができました。大変貴重な機会を与えていただきました。

参加いただいた企業の方からは、「東日本の復興は終わっていると思っていた」、「関西にいると東日本の状況を知る機会がほとんどない」、「復興支援に関心があるが何をしたらよいのかわからない」、「コミュニティの重要性がよくわかった」等のご意見をいただきました。

JPFでは、被災地の状況を定期的に発信していく取組を行っておりますが、まだまだ工夫が足りないこと、また復興に関心がある方へ十分にはお伝えできていないことがよくわかりました。

JPFとして、また宮城地域担当として価値ある復興支援を行うためのヒントをいただきました。

東日本への支援という暖かいお気持ちを、しっかりと被災者や被災地域に伝えていく橋渡しの役割り、JPFとして今後も大切にしていきたいと思います。

ジャパン・プラットフォーム 宮城県 地域担当:三浦


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*1:グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワークとは各企業・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠 組み作りに参加する自発的な世界的な取り組みの日本のローカルネットワークです。http://ungcjn.org/

*2:平成27年1月現在 内閣府調べ

発災から4年、今なお続く余震:東北で震度5強

 5月13日早朝、東北地方の広い地域で観測された宮城県沖マグニチュード6.8(推定)の地震には、久々であったこともあり、本当にびっくりしました。東日本大震災直後には慣れてしまってさえいた緊急地震速報にも大いにたじろいで、一瞬「何をなすべきかの思考回路」が停止してしまいそうでした。

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 皆さま初めまして、ご紹介が遅れましたが、私は今年度から新しく赴任いたしましたジャパン・プラットフォームの東北事務所長兼国内事業部長の阿久津幸彦です。

 

4年前の震災直後、3月14日~6月までは、政府現地対策本部の責任者として、その後9月までは初代の復興大臣政務官として岩手・宮城・福島で主に初動対応にあたらせていただきました。その後も東北の復興が気になり、何度も被災地を訪れる中で、東北が大好きになってしまい、この度、心機一転、再び、東北の地でお世話になることとなりました。ちなみに祖母の話では、私の七代前の先祖は仙台出身の武将だ

ったそうで、これも何かのご縁と感じております。

国内事業部の仕事もありますので、東北と東京を行ったり来たりする日々となりますが、皆さま、よろしくお願いいたします。

 


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