ジャパン・プラットフォーム(JPF) 公式ブログ

緊急人道支援組織、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)のブログ。NGO・経済界(経団連、企業など)・政府(外務省など)が連携し、国内外の緊急人道支援を実施。寄付金・募金受付中。

平成30年7月豪雨災害状況:JPF現地連携レポート

今回の災害において被災された多くのみなさまに心よりお見舞い申し上げます。避難されている方はもちろん、災害対応に尽力されている地域のみなさまの生活が少しでも早く、元の平穏な生活に戻れるよう祈っています。

713日より724日まで、平成307月豪雨災害対応に伴い愛媛県に入りました。地域に入っている際は、なかなか落ち着いた時間が取れず、みなさんへのお知らせができませんでしたので、愛媛の状況と共にご報告します。 

JPFは75日の雨の降り始めから情報収集を始め、78日より西日本全体に及ぶ被害情報の把握のため、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)と調整のうえ緊急初動調査チームを愛媛県に派遣しました。調査チームの第2陣だった私は、713日より愛媛入りし第1陣からの申し送りを受け活動を始めました。 

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第一陣出発の様子

今回の災害はエリアが広域で、被害状況の把握がままならず、支援が足りていない地域や分野がどこなのか、いまだに明確にはなっていない状況です。新聞報道や災害対策本部資料、加盟団体、社会福祉協議会など支援関係者との情報交換などを行い、支援の過不足、抜け漏れが出ていそうな地域を現地調査するため、今治市や大洲市、西予市、宇和島市などを巡回しました。

 

愛媛県内では肱川流域の被害が大きく、大洲市と西予市のいたるところで河川が氾濫し、場所によっては5mを超える浸水となった地域もあります。鹿野川ダムの下流では濁流の影響で橋が通行不可の状況となっています。平時の川の水位からは想像もできないほど水位が上がっていることがわかりました。

川沿いはV字谷のようになっており、避難する場所が限られており多くの車両が水没し、暮らしの足に不自由が出ている方が多数いらっしゃいます。716日に高台に設置された避難所を訪れ話を聞きましたが、家の片づけと避難所の往復には臨時で送迎のバスが出ている状況だそうです。伺った避難所では地域の方々有志で助け合いのネットワークが作られ、交代で食事を作っていらっしゃいました。災害は地域の脆弱な部分を浮き彫りにしますが、同時に地域の方々の新たな助け合いも生み出します。避難所での運営の課題が多く上がる中、地域の方々による避難所運営サポートができており、日頃からの地域づくりの大切さを実感しました。

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7月14日 大洲市肱川流域、鹿野川ダムの下流の通行止めとなった橋

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7月16日 大洲市の避難所 望湖荘

西予市の野村地区では多くの家屋が浸水被害にあっており、社会福祉協議会を中心とした災害ボランティアセンターに集まるボランティアによる家屋の泥出しが重要です。西予市の災害ボランティアセンターでは15日に1000人を超えるボランティアが活動しましたが、連休後は活動人数が半分以下の状態が続いています。地域内のすべてのニーズに応えるためにはまだまだボランティアが必要な状況です。

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7月14日 ボラセン資機材の洗浄の様子

 宇和島市は西予市と同様に災害ボランティアセンターの活動人数の伸び悩みという課題の他、断水の影響とみかん畑への被害が甚大です。

断水に関しては、宇和島市内吉田地区の浄水場が埋没し復旧にかなりの日数(数か月)がかかる見込みで、臨時の浄水施設が建設されることになりました。しかし、その完成見込みは復旧の目途が早まり8月上旬となっています※。地域の方々は避難所に入られていない方も含め、自衛隊の入浴施設や、給水を受けなければいけない状況が続いています。地域内各所に生活用水が溜めてあり、住民の方々はそこに水を汲みにこなければなりません。家で炊事もできないため、炊き出しの時間になると周辺の地域から避難所となっている公民館へ、食糧を取りに来るような状況です。

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7月15日 宇和島市吉田公民館前の自衛隊入浴支援

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7月17日 宇和島市吉田地区の様子

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7月17日 宇和島市吉田地区の様子

宇和島市はみかんの産地(聖地)ですが、今回の豪雨はみかん畑に大きな被害を与えています。みかん畑は急な斜面を、土を盛り上げ、もしくは石垣を積み上げて段々畑となっていますが、多くの場所で斜面が崩落しており畑の復旧作業にどれだけの時間がかかるのか見当もつきません。また、みかん畑が密集している地域は宇和島市中心部より車で30分程度かかり、道も細く土砂崩れの影響で孤立している世帯が多くあったような地域です。

今後、多くのボランティアが必要になるのは間違いありませんが、本州から遠く離れた宇和島市中心部からさらに離れたところにありアクセスが大変困難です。去年は台風被害で収穫が激減し、今年は豪雨被害と2年連続の収穫減。そこに追い打ちをかけるように農地復旧という重荷が農家の方々にのしかかっています。営農をあきらめる方も出てきていると聞いています。

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7月20日 宇和島市

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7月20日 宇和島市

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7月20日 宇和島市

巡回で得られた情報は、毎晩松山市で行われる愛媛県、愛媛県社協、愛媛県中間支援組織との情報共有の場で共有しています。また、地域を巡回する際は、その地域で活動しているJPF加盟団体や支援団体のみなさんと情報共有、意見交換をしています。また、加盟団体など現地入りする際はなるべく同行しています。遠野まごころネットが愛媛入りした際は、共に現地調査の一環として、西予市野村小学校でプラン・インターナショナル・ジャパンが実施している「こどもの居場所支援」の現場を訪れました。その際、シャンティ国際ボランティア会(翌日から野村小学校でサロンを開催予定)と、同じくプラン・インターナショナル・ジャパンの活動を視察していたセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが偶然にも一堂に集まり、それぞれの団体が持つ被災者やニーズに関する情報を交換しました。団体から活動の状況や課題、地域の状況を聞くと共に、JPFからは県域で共有されている情報や企業支援や近隣の協力できそうな団体情報などを提供しています。

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7月10日 愛媛県社協情報共有会議

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7月16日 大洲市内にて情報交換

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7月19日 西予市野村小学校にて

また、723日には愛媛県社会福祉協議会と、えひめリソースセンターを中心とし、愛媛県庁や内閣府、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)、くまもと災害ボランティア団体ネットワーク(KVOAD)、JPFが協力する形で、第一回えひめ豪雨災害・支援情報・共有会議(仮称)が行われました。愛媛県内で支援活動を行う団体と社会福祉協議会、行政が集まり、それぞれの持つ情報と課題を共有し支援の効率化を図る会議になります。こちらの会議の運営支援をJPFが一部お手伝いしています。

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7月23日 えひめ豪雨災害・支援情報・共有会議(仮称)

広島県、岡山県を筆頭に、超広域のエリアで被害の出ている平成307月豪雨水害は地域の方々を中心に中長期の支援活動になるのは間違いありません。まだまだ被害の全容が明らかになっていない状況ですが、西日本全体の被害状況と地域の状況を随時判断し、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)やJPF加盟団体と協力し、地域のみなさんと共に歩むJPFならではの事業を今後も展開していきます。今後も西日本豪雨水害の状況に関心を持っていただけるとありがたいです。

そして、同時に、JPFが対応した災害だけでも、朝倉の水害、熊本地震、東日本大震災の復旧復興も現在進行形です。組織で個人で、仕事でボランティアで、さまざまな立場でできることを一緒に考えていきましょう。よろしくお願いします。

ご寄付はこちらから

http://www.japanplatform.org/programs/westernjapan-disaster2018/

 

地域事業部 三浦

 

写真はすべて(C)JPF

  2018731日訂正