今回は福島県浜通り避難指示解除地域のボランティア状況について、ご紹介したいと思います。
みなさんの中には、東日本ではボランティアがもう要らなくなったと思っている方も多いのではないでしょうか?
ところが、避難指示が解除され、帰還が進む福島県浜通りの南相馬市小高区や浪江町では、今まさにボランティアが必要とされています。
ジャパン・プラットフォーム(JPF)では、「共に生きる」ファンドを通して、こうした今も続く福島県浜通りのボランティアニーズに対応している、「災害復興支援ボランティアネット」の活動を支援しています。
災害復興支援ボランティアネット(以下、ボランティアネット)では、今でもボランティアの依頼が殺到し毎日問い合わせがきているのですが、慢性的なボランティア不足のため、なかなか対応が間に合っていないとのことです。最近では浪江町への帰還者が増えてきており、依頼がさらに増えているとのことです。避難指示が解除されて1年以上になる浪江町では現在までに800人が浪江町に帰還していると言われていますが、実は1000人以上の方が既に住んでおり、自治会の方によると夜間人口は1400人程いるという情報もあります。
とくに帰還する前に家とその庭を綺麗にしてもらいたいという依頼がボランティアネットには多く寄せられており、浪江町役場も積極的にボランティアネットのパンフレットを設置したり、問い合わせ先を紹介したりしているそうです。町役場から直接、同団体のボランティアセンターに依頼があるケースも増えているとのこと。
同時に、頻発している日本国内各地での災害対応により、多くのボランティアスタッフが分散しており、人員不足に陥り、なかなか作業件数が減らないという実態があります。冬場を迎え、ますますボランティアが減るのではないかと心配されています。
一方、企業や民間団体の中には予算を組んで1年に何回か来てくれる組合や、重機持ち込みで来てくれる団体もあり、大変心強いそうです。福島県の新人研修でも、行政職員としては行けないので、有志として参加しているケースもあるそうです。
南相馬小高区では、清掃作業の8割程は終了しているそうですが、逆に空き家で雑草等の手入れがされていない所が目立つ状況で、害虫や害獣など市街地の生活環境整備は急務となっています。しかし、依頼者からの要請がないと手をつけられないという状況もあります。同団体では、害獣対策のため柿の木などの果樹の木伐採の依頼も受けているそうです。
帰還はしないが、自宅を綺麗にしておきたいという人も多く見うけられます。
仮設に住んでいる方の中には鬱になってしまい片付けができない人が多く、引っ越しもできない状況もあります。住まいを綺麗にしてもらったという情報が人伝てで流れて自分も綺麗にしてもらいたいという気持ちになる人が多いそうです。荒れ果てた家を綺麗にしてもらったことで、避難者の心も整理されスッキリすることが多いとのこと。
似たような流れで、同じ地域の人が帰還したから、自分も帰還しようと思う方も増えており、自分の家も綺麗にして欲しいと依頼が増えているそうです。
ボランティアさんと話をしたいからか依頼者本人も一緒に草むしりをするというケースも出てきており、自立を促すきっかけにもなっているそうです。
同団体では、放射能汚染のために殺傷指示が出た牛を飼い続けている「希望の牧場」の飼料なども、刈った草を選別して供給しており、地域でもさまざまな所から感謝されています。
みなさんも我こそはと思う方は、是非一度、災害復興支援ボランティアネットにお問い合わせください。
写真はすべて(C)JPF
ジャパン・プラットフォーム(JPF)地域事業部 山中 努