ジャパン・プラットフォーム(JPF) 公式ブログ

緊急人道支援組織、認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)のブログ。NGO・経済界(経団連、企業など)・政府(外務省など)が連携し、国内外の緊急人道支援を実施。寄付金・募金受付中。

【熊本地震被災者支援:火の国会議200回目の節目を迎えて - 復興の経験を次につなげるKVOADの活動】

特定非営利活動法人 くまもと災害ボランティア団体ネットワーク(以下「KVOAD」)が熊本地震発災直後から、支援団体や地域団体などの情報共有や課題解決を主な目的とし開催してきた「火の国会議」が、2018117日に200回を迎え、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の公式Facebookでも紹介しました。

https://www.facebook.com/japanplatform/photos/a.146936028725762/1993383127414367/?type=3&theater

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2018/12/4 第204回 熊本「火の国会議」会議の様子 ©KVOAD

今年は、西日本の豪雨災害や、北海道胆振東部地震など、大きな災害が多発し、被災地熊本の状況をなかなか発信できずにいましたが、復興期をむかえ仮設住宅(建設型および借上型)から、再建した自宅や災害公営住宅など恒久住宅への転居という大きな波が来ようとしている現地の様子を、ご紹介したいと思います。

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私たちの頼れるボス。超多忙にもかかわらずいつも早起き、KVOAD代表理事 樋口さん ©KVOAD

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司会はお手の物。南阿蘇村住民の生活再建支援にも取り組む、KVOAD宮崎さん ©KVOAD

現在、仮設住宅に入居する方の数は、約10,000世帯、23,000人で、発災から1年後の昨年4月の約47,000人、2年後となった今年の4月の約38,000人に比べるとかなり減っています。

 【応急仮設住宅等の入居状況(H30.10.31現在) 】http://www.pref.kumamoto.jp/common/UploadFileOutput.ashx?c_id=3&id=25562&sub_id=3&flid=168870

特に今年は、自宅を再建し仮設住宅を出る方の動きに勢いが出てきており、建設型仮設住宅の約4割に空きが出ているとのことです。

借上型住宅(みなし仮設住宅)の提供期間も、熊本市では来年4月以降、ほんの一部の世帯を除き、延長が認められないことが決まっています。

今後、災害公営住宅の整備も進みますが、行政は、生活再建の目途が立たない世帯に対して、個別に対応していくとのことです。 

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この日は、いつもの情報共有会議の後の検討課題として、見守り支援者からの視点から熊本YMCA藤川さんより、御船町地域支え合いセンターの事例紹介がありました。 ©KVOAD

このような事態に備えて、JPFと協働で支援活動を担っているKVOADは、当初から変わらず県や市町村、支援団体、被災者からの情報を収集して、先手を打つ支援を日々考えています。

そんな熊本の支援団体の動きのうち、特徴的な活動を紹介します。

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参加した支援団体の皆さん ©KVOAD

①熊本地震での震災復興支援の足跡やノウハウを今後に繋げたい

~くまもと災害ボランティア団体ネットワークへの資料整理・分析プロジェクト~

https://www.panasonic.com/jp/corporate/sustainability/citizenship/pnsf/probono/kvoad.html

これは、KVOADがPanasonicさんのプロボノ支援を受けて、火の国会議の全議事録をデータベース化し、災害が発生した際にいつ、どんな困りごとが多く発生するかという変化を蓄積したものです。例えば、「避難所」というキーワードは最初の6か月、「入浴・トイレ・衛生」は5か月、「ブルーシート」は3か月、毎回のように会議の議題としてあがりましたが、それ以降はほとんど話題にあがらないということを、一目で把握できます。災害発生後、時間の経過とともに変化するキーワードを導き出すことで、今後災害が発生した際にどんな課題があるのかを早めに予測でき、他の地域での災害でもおおよそ同じような変化となることを見越し、支援策を前もって準備することができます。

 ②「むすぶっくプロジェクト」

https://www.kvoad.com/2018/10/blog-post_23.html

被災者が生活再建などのためにまとまって暮らしていた仮設住宅から引っ越し、新たな環境での生活を始めると、それぞれが違う場所で生活することで支援が届かなくなり、困りごとがあったときに気軽に相談できる相手がいなくなってしまいます。そこで、新しい生活環境でも繋がりを切らずに支援が受けられるよう、被災者と地元の支援団体をつなぐ「支援の手引き書=むすぶっく」の作成を進めています。「新しい災害公営住宅などで再びコミュニティを作るきっかけが無い」、「引っ越ししたいけど大きな荷物をどう処理したらいいのかわからない」、などの困りごとの解決をどこかに相談したいという時に、辞書のように使ってもらえる情報誌になります。

 

その他、JPFでは、来年2019年1月に、支援関係者向けに【支援活動計画作成のポイントと、事業計画書/終了報告書類の書き方講座】の開催を予定しています。

JPFは、2017年からKVOADとの協働で、熊本が地域のチカラで復興できるよう「地域力強化」を支援方針に掲げ、施策の一つとして「地元の中間支援団体の発掘と立ち上げ事業」を行い、2017年は5団体、2018年は2団体に助成しています。

https://www.japanplatform.org/contents/kumamoto_tsunagu/

残念ながら事業の採択に至らなかった団体もありました。その理由として、「被災者のニーズにヒットする支援事業の計画をどう立てていいかわからない」、「内容が伝わる事業計画書をどう書いていいかわからない」という状況があることがわかりました。その解決のため、地域で今後も支援を担う団体向けの、「ニーズを把握した、被災者のためになる事業の作り方と、書類の書き方」をJPFxKVOADならではのやり方で、一緒に学ぶ機会としたいと思っています。

詳細については、決まり次第告知しますので、是非ご参加ください。

 

ジャパン・プラットフォーム(JPF)地域事業部 斎藤 真樹