ジャパン・プラットフォーム(JPF) 公式ブログ

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新型コロナウイルスと災害、新しい避難を考える その2 ~益城町での避難所運営訓練(熊本地震被災者支援)

こんにちは!ジャパン・プラットフォーム(JPF)地域事業部熊本担当の斎藤です。

5月24日、益城町の総合体育館において、新型コロナウイルス感染の状況下での災害を想定した避難所運営訓練が実施され、私もオンラインで参加した26日開催の第275回火の国会議の中で、訓練の様子が共有されました。 

今回のブログでは、そこから見えてきた課題なども含めて、コロナ対応をふまえた避難の在り方を、梅雨入り前のこの時期に紹介します。

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©KVOAD

◎訓練の概要

  • コロナ下での災害時、町職員を対象とした避難所立ち上げと運営訓練
  • 個人防護具(Personal Protective Equipment; PPE)着脱、受付開設、居住区設置、生活空間設置、体調不良者対応、避難所駐車場の車中避難者の受付
  • 各訓練の検証

くまもと災害ボランティア団体ネットワーク(KVOAD)のホームページより、訓練の様子を動画(約5分)でもご覧いただけます。

【新型コロナウイルス感染症対応避難所運営訓練】

2020年5月24日@益城町総合体育館                                 https://www.kvoad.com/2020/05/blog-post_26.html

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©KVOAD

避難所の運営の主体は、本来は避難者である住民です。しかし、感染症拡大の深刻な可能性がある初めての課題に取り組むため、運営の主体は町の職員とした訓練となっていました。訓練の結果、以下のようなことがわかってきました。 

段ボールの間仕切り

飛沫感染防止のため、立ち上がった状態でも広がりづらい2メートルの高さが望ましい。また、空間を今までのようにカーテンではなく、ダンボールで囲うことで生活空間内の温度が上昇するため、特に夏場には熱中症リスクも考慮する必要がある。

ダンボールへ直接消毒ができないため、事前にビニールでラッピングしておくことで消毒作業を軽減できる。

避難所の収容可能人数と仮設トイレや手洗い場の設置

通常の避難時だと300人程度収容できる場所だが、フィジカル ディスタンシング(ソーシャル ディスタンシング)を考慮に入れた訓練では50人程度になった。今回は、既存のトイレが使用できる前提での訓練であった。

避難者の安全確保

感染症対策をしたうえでの避難所運営では、受付時に全員の避難者情報を登録することにしたため、安全対策面のレベルはあがるのではないか。

車中泊避難の場合、場所の安全性や避難者の安全確保

県の指針では、車での避難場所は避難所以外の場所を推奨している。ナンバーを含めた避難者の情報を、受付で登録する。

被災地以外からのボランティアや支援団体の受け入れ

感染拡大のリスクを考慮しながら、被災地の要請に応じて受け入れる場合もあれば、受け入れを止めざるを得ない場合もある。

被災地以外からのボランティアや支援団体のマンパワーに頼れない場合の、被災地の中間支援組織の必要性

これまで以上に被災地が中心となって対応できる力をつけ、それを(場合によっては遠隔で)サポートできるような外部支援との調整機能が重要となる。

毎年のように豪雨災害が発生し、また、震度4を超える地震が各地で頻発する中、益城町の取り組みを、他の地域でも参考にしていただければと思います。 

JPF地域事業部 

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◎関連報道

朝日新聞 2020年5月27日9:00

https://www.asahi.com/articles/ASN5V72GZN5VTLVB00V.html

テレビ熊本 2020年5月25日19:48

https://www.fnn.jp/articles/-/45782

FNN 2020年5月24日

https://www.nippon.com/ja/news/fnn2020052445413/

熊本日日新聞 2020年5月24日 20:30 

https://this.kiji.is/637251537133028449

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©KVOAD